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ダイナミックワールド

人民元の高騰
2010-07-29. 三河さつき
人民元の値が高騰している。といっても、為替レートではない。「第四套」と呼ばれている1987年4月27年から97年4月1日までに発行された人民元札のことだ。今は発行されていないので、だんだん市場から姿を消しつつあるのだが、これが昨年あたりからコレクター間の取引きで、値段がつりあがり、この半年で平均して50%値上がりしているそうだ。

7月26日付けの中国各紙によると、80版とよばれる80年代から90年前半にかけて流通した50元札は2350元の値がついた。80版50元札は5月前には2700元の値段がついて、そのあといったん1900元にまで値がさがったが、再び上昇しているというのだ。80版100元札も700元の値段がついている。80版2元は32元、額面の実に16倍だ。そんなに古くもないお札がここまで価格がつりあがるのは、コレクター向け人民元旧札市場が最近の新たな投機先として注目され、株も不動産もいまいちななか、市場にだぶつくお金が流れているかららしい。

旧札市場では、第一套と呼ばれる1948年12月発行の人民元は1角札が400万元もするし、第3套とよばれる人民元札のなかで1960年発行の2元札は1500元で取引されている。この価格は常に上下し、短期の売買で利ザヤを稼ぐこともできるし、長く持っていれば株より確実に値上がりする。

こういう現象がおきる背景には、中国では偽札が社会問題になるほど多く、一説には流通量の2割前後が偽札といわれているからだ。お札の偽造防止のためにも、デザインや印刷技術を更新するサイクルが短い。2012年秋にも第6套とよばれる新札が発行されるといわれているが、そうなると今流通している赤い毛沢東札もいずれ値があがるのではないか、と考える気の早い輩は札を銀行に預けるのではなく、タンスにごっそりもっていたりするのだ。

もっとも、そうやって隠し持っていた古いお札にも、偽札が混じっていることは多く、「1962年4月から2000年7月まで流通していた第三套人民元を収集していた重慶市民が、その真贋鑑定を銀行に依頼したところ、ほとんどが偽札と判明した」といったニュースも地方紙の片隅にしばしば掲載されている。

中国では、人民元為替レートの上昇が、輸出と投資依存の経済成長パターンから内需依存型に転換するうえで助けになり、国内インフレの調整効果もあると、肯定する声が人民銀行(中央銀行)関係者の間で大きくなっている。急激な切り上げが今すぐはないとしても、人民元をいつかは国際基軸通貨に、という期待が内部で盛り上がっていることは、報道や公式の会見などからうかがえる。その前に金融市場の自由化や中央銀行の独立性を守るため法の変更や整備が必要だろう、という指摘は当然あるのだが、偽札があふれ投機目的で今なお流通している札の価格が額面以上に跳ね上がるような人民元が、はたして本当に自由化して国際社会の信用に耐えうるのか。

私は人民元の自由化より、手元の青い100元札や赤い毛沢東が新札登場によって値上がりすることの方に期待してしまう。