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ダイナミックワールド

メディア王マードック氏と駐北京米大使ロック氏の「第三者」問題に中国がかかわる?
2013-12-13. 日暮高則
中国語に「第三者挿足」、つまり第三者が足をはさむという言葉がある。通常言われている意味は、結婚生活に夫婦以外の人が介入し、夫婦関係にひびを入れること。最近、中国にかかわる2つの国際的な第三者挿足問題がクローズアップされた。一つ目は、オーストラリア出身のメディア王ルパード・マードック氏(82)が今夏、中国人妻文迪さん(44)と離婚したが、その原因についてなんとトニー・ブレア元英国首相が文迪さんと深い関係になったからといううわさが出てきたこと。2つ目は、華人系としては初めて米国の駐中国大使に就いたゲーリー・ロック氏(中国名駱家輝=63)がこのほど突然、オバマ大統領に離任を申し出たが、これについて「北京での大使の不倫が原因」という情報が流れていること。いずれも真偽のほどは不明だが、中英、中米の外交問題にもかかわるだけに、単なる男女の問題では済まされない“事件”である。

マードック氏は、父親の事業を引き継いでオーストラリア各地のメディアを買収し、同国初の全国紙ジ・オーストラリアンを創刊した。そのあと、海外に飛び出し、イギリスの伝統紙タイムズやアメリカの映画会社20世紀フォックス社を買収、さらには米国でテレビ・ネットワークFOXも設立するなどメディア、映像方面では世界的な著名人となった。中国人妻の文迪さん(英語名ウェンディ・デン)と結婚したのは1999年6月で、彼にとっては3番目の妻。当時、マードック氏は68歳で、さんは30歳だった。

文迪さんは山東省済南市に生まれ、江蘇省北部の徐州で育った。広州医学院に学び、そのあと米国のカリフォルニア州立大学、イェール大学商学院に留学した。マードック氏と知り合ったのは、彼女が1996年イェール大のMBAを取得した後、当時マードック氏が傘下に収めていた香港の衛星テレビ「スターテレビ」で働いていたときだ。同局の部内会議で、さんはたまたまマードック氏と会議で一緒になった際、彼に向かって「あなたの対中国戦略はどうして無茶苦茶なの」と大胆に発言。その率直さがかえって新鮮だったのか、マードック氏はその後、さんをスターテレビの副社長に抜擢、中国訪問時に通訳として同行させるなどして関係を深めていった。

1999年当時、マードック氏は2男1女をもうけ、30年連れ添った2番目の妻アンナとまだ婚姻関係にあったが、さんのために離婚。同年6月25日、米ニューヨーク港に豪華遊覧船を浮かべ、世界的に著名な人を招待して華燭の典を挙げた。文迪さんは身長176センチで元バレーボールの選手でもある。容姿端麗で体力もあるが、気も強い。2008年、英国国会で公聴会が開かれた際、ある男がマードック氏に近づき、パイを投げようとしたのを見て、夫の後ろに座っていた彼女は果敢に飛び出し、素手で男に飛び掛かり、夫をかばったことで一躍有名となった。

しかしながら、年齢差もあって2人の関係はやがて冷えてくる。結婚時にマードック氏はすでに前立腺がんを患っていることが明らかになっていたが、医学的な療法を使ってさんの妊娠を図ったとされる。2人の間には、2人の女の子が生まれ、今年、それぞれ11歳と9歳となっている。だが、女盛りの彼女は夫に満足し切れず、他の男性と関係を持つようになったと言われる。香港誌によれば、この男性の中に、ソーシャルネットワークサービス「マイ・スペース」の創始者で最高経営責任者(CEO)のクリス・デウォルフ氏(47)、グーグルの元CEOエリック・シュミット氏(59)の錚々たる名が挙がっている。さらに世間を驚かせたのは、愛妻家で知られるブレア元首相(60)も入っていることだった。

マードック氏が2005年、5億8000万ドルでマイ・スペースを買収したとき、妻の文迪さんが同社の経営戦略担当となり、デウォルフ氏と親しくなったようだ。シュミット氏は2010年、さんがスタートさせた「Art.sy」というサイトに投資し、その時に2人が親密になったとうわさされた。さらに、ブレア氏との関係は、2003年、米英両軍がイラク攻撃したときにさかのぼる。ブレア首相は、戦争参加への世論づくりをしてもらうため、発行部数が多く、影響力が大きいマードック氏傘下のタイムズ紙、ニュース・オブ・ザ・ワールド紙の協力を得ようと同氏に接近。これが縁で、ブレア氏がマードック氏の娘の名付け親になるなど家族ぐるみの付き合いになったという。

マードック氏という夫を通じてこうした政治家やネット企業の大物と付き合っているため、香港情報などでは、「文迪さんは中国国家安全部(対外情報、スパイ組織の機関)から派遣された人ではないか」との見方がずっとあった。つまり、西側のネット情報を中国側に有利にさせるために送り込まれた“女スパイ”という位置づけだ。ただ、さんがブレア氏と親しい関係になったとされるのは、利用価値の高い彼の首相時代でなく、最近のこと。香港紙によれば、さんがマードック氏所有のカリフォルニア州の牧場にブレア氏を誘ったが、そのメールが間違ってマードック氏自身に届いてしまい、同氏は2人の関係を疑って牧場の従業員を尋問。その結果、さんとブレア氏は3回、この牧場で一緒に夜を過ごしたことが分かり、マードック氏は激怒、離婚に踏み切ったと言われる。

結局、11月20日、ニューヨークの裁判所で2人の離婚が成立し、14年の結婚生活は幕となった。2人の子供は文迪さんが引き続き面倒を見るが、「彼女が得る慰謝料は2000万ドル以下ではないか」と見られている。前前妻の子を含めて4人の子供の面倒を見た前妻アンナには17億ドルを支払っているのに比べて少額だが、これもさん側の“不貞”が原因であったとすれば、致し方ないのかも知れない。実際に不貞があったのかどうか、これは当事者以外に分からないが、ブレア氏はスポークスマンを通じて「不倫は事実無根」と否定している。
他方、突然離任を求めたゲーリー・ロック大使は、これまた愛妻家で知られ、中国国内でもすこぶる評判がいい。というのは、彼が2011年夏に妻子4人を連れて着任した際、シアトルから飛行機のエコノミー座席に座り、しかも大使自身が背中にバッグを背負うといういでたちで北京空港に降り立ったためだ。しかも、飛行場で大使を出迎えたのもワゴン車だった。さらにのちのち目撃者談として、「シアトル空港で新大使はコーヒー店に並び、しかもポイント券で買おうとしていた」との情報も流れ、気さくな振る舞いに中国の聴衆は、「およそ中国の幹部では考えられないこと」と絶賛した。

これに対し、中国の公的マスコミは、大使となった人がそこまで庶民的なことをする必要はないのではないかとし、「良い子ぶりを見せるため、過剰な演技をしている」と皮肉を飛ばした。さらには、光明日報などは「中国民衆の気持ちを米国寄りにさせ、西洋崇拝、外国賛美の奴隷的精神に変えようとしている」とまで深読みして分析した。だが、そうした公的マスコミが批判すればするほど、同じ華人系であるという親しみもあってか、ネットなどではますますロック大使への人気は高まっていった。

ロック大使が有名になったのはそればかりでなく、北京の空を汚すPM2・5を大使館独自で測定、それをネットに流していること。これは、中国側発表の数字は信じられないという無言の意思表示であるため、早速中国側は反発、「このやり方はウィーン条約に違反する」と批判した。だが、米大使館側はこの測定を止めていない。また、薄熙来元重慶市書記の部下である王立軍副市長が成都の米領事館に亡命を求めて逃れてきた際、ロック大使は「王は腐敗分子であり、政治庇護の対象にならない」と断固拒否。しかし、この2カ月後に山東省の盲目の人権活動家陳光誠氏が北京の大使館に来たときはしっかり彼を保護した。けじめをつける大使だった。

その彼が11月20日、オバマ大統領に「来年早々にシアトルに戻りたい」と辞意をもらした。米国の大使は大統領の任期と同様4年が普通だが、ロック氏はまだ2年強を経ているに過ぎない。この突然の意思表示に、各マスコミは原因を探り始めた。「PM2・5のひどさに嫌気が差したのだ」とか「ひょっとすると、3年後の大統領選に民主党候補として名乗りを上げるのでは」との見方が出た。そんな中、米国の中国語ニュースネット「多維新聞網」は、信頼できる消息筋の話として、「ロック大使の離任要求は個人的な生活の問題が原因」と指摘、この中で「婚外情(不倫)」の可能性もあることをほのめかした。また、この不倫が北京で発生したとしながらも、大使の相手が中国人なのか米国人なのかについては触れなかった。

多維新聞網は、中国高官内に情報源を持ち、比較的信頼性が高いとされる。このため、不倫説は徐々に高くなっている。ただ、ネットなどでは、「駱家輝大使の評判がいいので、意図的に作った情報」とか「たとえ女性がいたにしても、それは中国側当局が仕組んだものでは」との見方も出ている。もし不倫が事実で、相手の女性が中国側のスパイだとしたら、大きな外交スキャンダルになろう。ロック大使は華人系であることを誇りにし、同じく華人の末裔である妻を愛し、子煩悩としても有名。ただ、血の濃さにかかわりなく、中国側には厳しく対処してきた。このため、辞意表明に対し人民日報系の外交紙「環球時報」が早速反応、「ロック大使と大使館はこの2年強、われわれに煩わしさを与えてきた」と論評した。中国が大使に不快感を持ち、離任を歓迎していることは間違いないようだ。