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アジアの一期一会

第18回 北朝鮮と携帯電話でつながれるか
2018-01-01. 小牟田 哲彦
 世界屈指の情報閉鎖国家と言われる北朝鮮の国内で携帯電話が使用されるようになったのは、21世紀になってからである。いったん流通が始まった後で一時的に国内での携帯電話使用が全面禁止されたこともあったが、2008年以降は国内用の携帯電話が急速に普及しているようだ。

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平壌の国際通信局。平壌で携帯電話が普及し始めた当初は、ここに市内有数の携帯電話ショップがあった
 彼らが持っているスマホは、外見上は日本を含む世界各国で使用されているスマホとほとんど変わりがない。画面を見せてもらったことがあるが、アプリのマークなどは日本のそれと同じものが使われていたりする。スマホで撮った写真をメッセージに添付して友達とやり取りしたり、人気の音楽ファイルを共有する、といったこともしているとのこと。北朝鮮国内のオンラインショップや国内向け情報サイトなどが広く利用されているという。ただ、世界中でアクセスできるインターネットに接続できるわけではないようで、外国人である私たちの携帯電話と相互通話やメール交換もできないらしい。

 そもそも、北朝鮮旅行時に私たち外国人旅行者が携帯電話を持ち込もうとするには、いくつかのハードルがある。外国人旅行者が北朝鮮国内に自分の携帯電話を自由に持ち込めるようになったのは2013年からで、それまでは、入国と同時に旅行会社の通訳兼ガイドに必ず携帯電話を預けなければならず、出国まで返してくれなかった。預けている最中にどんな管理をされるのかは全くわからないので、登録相手の連絡先や通話履歴といった情報が凝縮されている自分の携帯電話を北朝鮮へ預ける勇気は当時の私にはなく、日本へ置いていった。今は強制的に預けさせられることはないが、”何かあったとき”に備えて、入国前にスマホやタブレットの中のデータを整理する日本人旅行者は珍しくない。他の国へ行くときには決してやらない旅行準備だろう。

 日本のスマホを北朝鮮に持ち込むと、表示時刻は2015年8月から導入された北朝鮮の標準時間(日本や韓国より30分遅い)に切り替わる。カメラなど、通信手段以外の機能を使用する分にはほぼ問題ない。北朝鮮国内で専用のSIMカードを購入すれば、国際電話はかけられるとのこと。

 中国の携帯電話だと、国境に近い地域なら電波が届くので、中国国内と同じように電話として使用できることはよく知られている。国際列車で中国から出入りすれば、どのあたりまで中国国内の電波が届くのかがわかる。北京からの国際列車が出入国する鴨緑江沿いの国境都市・新義州で試してみたら、中国の携帯電話は問題なく使えた。

 かくして、少なくとも平壌や国境の新義州など一定規模以上の都市部では、一般市民や外国人が街頭で携帯電話をかける光景は、今や珍しくも何ともなくなっている。ただ、私たち外国人と頻繁に接触するであろう国際旅行会社のガイドが持つスマホであっても、自撮りした観光地での記念写真をデータ交換することさえできない。専用バスやレストランでは隣の席に座っていて、お互いのスマホの画面で家族写真を見せあうこともできるのに、その写真を目の前のスマホに送信することができないところにも、「近くて遠い日本と朝鮮」を実感するのである。