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習主席、党大会直前に主要軍幹部の人事断行−長期政権へクーデター防ぎか(上)
2017-09-07. 日暮高則
来月開催予定の中国共産党第19回大会を前に、8月末、軍の重要人事が突然行われた。一番驚かせたのは、軍事委員会の上位にある房峰輝聯合参謀部参謀長が解任され、その後任に陸軍司令員の李作成上将が就任したこと。房参謀長は高齢で退役するのではなく、汚職容疑で軍紀律検査委員会の審査対象になったからという。房氏のほか張陽軍政治工作部主任ら3人の上将クラスも解任され、やはり審査を受けているもようだ。「政権は鉄砲から生まれる」と建国の指導者毛沢東主席がいみじくも指摘したように、選挙に依らない一党独裁国家であれば、権力維持のために“暴力装置”の軍隊を支配下に置くことは不可欠。習近平国家主席は、今秋党大会で党のトップ総書記2期目(5年間)に入るが、2期に飽き足らず長期政権を目指しているようで、そのための軍権掌握とも受け取れる。

房峰輝参謀長の解任は唐突な形で明らかにされた。国防部(省)所管のネットサイトが8月26日深夜、「軍事委聯合参謀部参謀長の李作成がこの日、タジキスタンの首都ドシャンベで、中国、パキスタン、アフガニスタン、タジキスタン4カ国軍隊による反テロリズム協力機構の代表者会議に出席したパキスタン陸軍参謀長と個別に会談した」という情報を流したのだ。同月21日には、「房峰輝参謀長が北京の八一大楼(軍事委ビル)で、タイの武装部隊最高司令官と会談した」とのニュースが流れているので、房氏の解任劇はこの日から数日内にあったことになる。新華社などの正式発表がないことから、この人事の異常性が感じられた。

軍権を握る党中央軍事委員会は、18回党大会体制スタート時、文官の習近平主席の下に、軍人の範長龍、許其亮の両副主席、さらに常万全(国防部長)、房峰輝、張陽、趙克石(後勤保障部長)、張又侠(装備発展部長)、呉勝利(海軍司令員)、馬暁天(空軍司令員)、魏鳳和(ロケット軍司令員)の8人の平委員がいた。聯合参謀部参謀長は軍制改革以前の総参謀長であり、軍主要4組織のトップ。事実上、軍事委で主席、副主席に次ぐポストである。房氏に関する正式発表がないことから、さまざまな憶測を生んだが、後日意外な形で真相が明らかにされた。香港紙「星島日報」が9月1日、房峰輝、張陽両氏、杜恒岩政治工作部副主任が解任され、軍紀律検査委の審査対象になったことを伝えたのだ。加えて、馬暁天空軍司令員も更迭され、同様の嫌疑がかかっているとの報道もある。

香港、米系華文メディアは、房峰輝参謀長解任の原因について、「房氏は郭伯雄前軍事委副主席(汚職などで訴追済み)とは同郷(陝西省)で、軍内の親しい仲間同士。郭氏の影響下にある蘭州軍区で21集団軍の軍長を務め、郭の推挙の下で出世の階段を上り、軍中央入りした」(星島日報)と指摘した。香港・明報はまた、「房峰輝は郭伯雄の最大の側近だ。2014年に徐才厚、郭伯雄両副主席が検査委の審査対象になるとのうわさが出た時、房氏は北京の民族飯店で郭伯雄の家族と食事を共にした。その際、房峰輝は“だれであろうとボスに手出しするならば、私が一撃で倒してしまう”と言っていたほどだ」と、郭氏の忠実な部下であったことを強調している。

世評ではこれまで、房峰輝氏は胡錦濤前国家主席の数少ない「股肱の軍幹部」だと言われてきた。2013年3月、周永康政法委員会書記や薄熙来重慶市書記らが北京で武警部隊を動員し、ミニ・クーデターを起こそうとしたことがあったが、当時北京軍区司令員だった房氏が胡氏の要請を受けてすぐに鎮圧に向かった。それだけに、房氏と郭伯雄氏の親密さが今さらクローズアップされるのは奇異な感じも与えるが、北京の軍消息筋は「実は(軍に基盤を持たない)胡錦濤に房峰輝の北京軍区司令員就任を推薦したのは郭伯雄だった」と明かしている。郭伯雄元副主席は習近平政権になったあとの2015年、汚職などの罪により審査対象となり、16年には記事訴追され、終身禁固刑に処せられている。

明報によれば、張陽氏も徐才厚前副主席(汚職などで訴追されたが死去)との関係浅からぬ軍幹部であるという。徐氏はずっと軍内の思想工作方面を歩んできたが、張氏も42集団軍政治部主任、旧広州軍区政治委員など徐氏と同じ道をたどり、2012年の18回党大会時に総政治部主任となった。やはり拘束、審査のうわさが出ている杜恒岩氏も、済南軍区政治委員から軍中央の政治工作部副主任に上がった政治畑の幹部。徐才厚氏と同じ遼寧省出身で、彼の影響を強く受けている。呉勝利氏は今年1月、海軍司令員を退任した。1945年生まれなので、老齢による退役と見られていたが、最近、呉氏が規律違反で検査委に調べられていることが明らかにされた。彼も郭氏との関係が取りざたされている。要は、今年に入って摘発された軍幹部はいずれも徐才厚、郭伯雄両前副主席とつながりがあったことが原因となった。