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23条条例化の動きが再出現、習国家主席の直接管理で香港の統制色一段と強まりそう(上)
2018-01-16. 日暮高則
香港では今、域内の”ミニ憲法”と言うべき基本法23条の趣旨に沿って、中央政府に敵対するような組織や行動を取り締まる条例の成立を目指す動きが再び出てきた。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が昨年12月、特別区政府内の会議で、「23条を含むさまざまな懸案の問題は我が執政時代〈2017−2022年〉に処理するテーマである」と語り、2019年末までに決着をつける意向を示した。会議では、23条条例化とともに、香港市民にも中国国歌の歌唱を義務付ける国歌法の順守条例制定や、大陸・香港間に現在2つある出入境検査を一カ所にまとめる「一地両検」を進める方向も示された。これらの施策はいずれも香港と大陸の一体化を図るもので、一国二制度のうち「二制度」より「一国」の方が強調されつつあることを裏付ける。このため、香港市民はこれまで享受してきた自由さが奪われていく恐れを感じ、悲観論が広がっている。

香港基本法の23条には、「特別行政区は、国を分裂させたり、叛乱を煽動したり、中央政府を覆したり、国家機密を盗んだりするような行為を禁ずる法律(条例)を自ら制定しなければならない」とうたっており、その中では、「海外の政治組織が香港内で政治活動を禁止し、香港内の政治組織と接触することも禁ずることを規定する」ことも求めている。23条の具体化に向け、2003年、当時の董建華行政長官が「国家安全条例」という形で立法会〈議会〉に提起した。だが、多くの市民が「香港の法治と自由を脅かすものだ」として反発、主権返還記念日の7月1日には、50万人を超す人が法制化反対のデモ行進をし、政府に翻意を促した。その結果、北京の胡錦濤政権と董建華長官は「(主権回復後6年で)時期尚早」と判断し、強行採決を取りやめた経緯があった。

23条にある「中央政府を覆す行為の禁止」を素直に解釈すれば、北京政府は共産党一党支配であるので、香港で「共産党打倒」とか「一党独裁反対」などと言えなくなる。さらには「反乱の煽動禁止」を拡大解釈すれば、デモ行進、集会どころか、印刷物の配布や公的な場での自由な意見陳述もできなくなる恐れがある。つまり、表現、結社の自由などの基本的人権が限りなく侵されかねない。さらには、諸外国の組織や団体と交わることを禁止されているので、民主派や独立派が台湾や米国、英国、日本などの団体と交わることも難しくなろう。大陸内では、法律に基づかず、権力側の自由裁量で人が拘束されることもあることから、香港市民は「国家安全条例によって大陸と同じことが起こりかねない」と懸念したのだ。

ネットメディア「香港01」は年明け早々、内部消息筋の話として、「北京当局は2019年内に基本法23条を立法化することを目指している」と明言、その第一の理由として「一般に行政長官の支持率は任期の後半に下がるものであり、(昨年7月にスタートした)林鄭月娥長官も2020年になる前に人気が衰え、政治的な力を失うであろうから」という情勢判断を挙げた。また同筋は「2020年に立法会議員の選挙がある。23条条例案を通すとなれば、(政府側が反対運動弾圧など)強硬姿勢を取ることもあるので、これが選挙の直前であれば、親中国派議員に対する市民の投票行動にも影響する。影響を抑えるには緩衝(冷却)期間が必要であるので、条例案は来年9月議会に提案し、遅くとも2019年末までに成立を図るスケジュールだ」と語った。

また「明報」によれば、林鄭月娥行政長官は昨年12月17日に特別区政府の局長、副局長など主だった幹部を集めて、その前週に北京で行った中央政府への執政報告について説明した。その際に林鄭長官は「習近平国家主席は積極的、肯定的に自分を評価してくれている」と自画自賛したあとに、今後の執政の重点目標に言及。「これから一年の間に、国歌法の香港適用や一地両検などの重要政策を推進する」と述べ、さらに「これは今後一年以内のことではないが、23条法制化も現在の特別区政府(本人の任期中)でやらなくてはならないテーマだ」と強調したという。林鄭長官は恐らく北京で、習主席から2020年をデッドラインとして懸案の23条条例化を図るよう発破をかけられたことは間違いない。