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チャイナ・スクランブル

肖建華氏の“強制連行事件”によってまたまた崩れた香港の一国二制度(上)
2017-03-07. 日暮高則
中国企業「明天控股集団(トゥモウローグループ)」のオーナーであるカナダ国籍の華人、肖建華氏が今年1月末、滞在していた香港のホテルから姿を消し、いまだにその消息は明らかになっていない。地元メディアでは、肖氏が中国の公安機関によってひそかに国内に連行され、取り調べを受けているという見方が一般的。その理由としては、「肖建華氏は中国の主要幹部、特に江沢民元国家主席と関係が深い高級幹部の子弟、姻戚者の資産管理に関わっていたから」と言われている。事実ならば、中国の腐敗摘発当局としては、肖建華氏の供述で、高級幹部子弟による汚職構造の全容解明を進めたいと考えるのは無理もない。ただ、一昨年には香港人の書店・出版関係者が同地から拉致された事件があり、今回も肖氏が中国内にいることが判明したら、「港人治港(香港人による香港統治)」を原則とする一国二制度を再び踏みにじる事態であり、香港人の北京への不信感をさらに募ることになる。

明天控股集団は1999年に肖建華氏によって設立された投資会社で、中国国内に金融ネットワークを持つ。また、インターネットや不動産、保険業も傘下に収め、肖氏は現在中国、香港で9つの企業のオーナーを務める。企業の資産総額は1兆元で、個人の財産も400億元は下らないという。その肖氏は香港に20年滞在、最近5年間は高級ホテル「フォーシーズンズ・ホテル(四季酒店)」に陣取り企業経営の指揮を執っていたが、旧暦大晦日の1月27日、突然消息を絶った。同社では当初「海外で病気療養中だ」と語り、中国当局とのかかわりを否定した。だが、香港警察はその後、「肖氏は27日に香港・大陸間の出入境口を通って大陸に行った」と発表、中国にいることを認めた。多くの香港メディアは、肖氏の大陸入りについて「自主的なものでなく、中国当局の“機関員”による強制的なもの」と報じている。

肖建華氏は1971年生まれで今年45歳。歳若いのに大金を動かしていることから太子党(高級幹部の子弟)と思われがちだが、そうではない。山東省の貧しい農村に育ち、父親は中学教師という平凡な家庭出身だ。ただ、北京大学出の母親の血を引き継いだせいか、自らも成績優秀で、15歳の時に大学入学資格の統一試験に合格、飛び級で北京大学法律系に入った。北京で民主化運動があった1989年当時、未成年ながら同大学の学生会会長をしていたが、本人は政治に関心がなく、民主化運動には参加していない。むしろ天安門事件(6・4事件)後は積極的に当局側に協力したと言われ、大学の資金援助で「科学技術公司」を立ち上げ、コンピューターのビジネスを始めた。これをきっかけに商才を発揮、香港を拠点に金融、保険などの分野にも手を広げていった。

過去に大陸から身一つで香港に来て事業を成功させた人は、長江実業の李嘉誠主席はじめ数多い。肖建華氏も彼らと同様のいわばサクセスストーリーを絵に描いたような人であり、本来なら当地マスメディアにもっと登場し、もてはやされていいはずだ。ところが、彼は香港で豪邸を持たず、複数の女性ボディーガードに守られながらホテルのサービスアパートメントでひっそりと暮らしてきた。その理由について、米華人系メディアは中南海消息筋の話として、「肖氏が国内の大物幹部、特に江沢民元国家主席系の幹部家族らの海外資産管理を請け負っていたことが関係している」と指摘した。香港の地元誌では、肖氏は自らの事業展開を香港ベースにすると決めた後、不動産、投資業のほか、幹部の隠し資金の運用、マネーロンダリングという闇の仕事にも手を染めてきたとの見方がされている。

ちなみに、山東省にあった肖建華家は大家族だ。両親と英語教師をしている一番上の姉肖蘭さん、次姉の愛華さんは中国国内にいるが、兄の新華氏、三姉の忠華さん、妹の永紅さんの3人は香港に呼び寄せられ、肖建華氏の仕事を手伝っている。兄新華氏はかつて山東省にある中国建設銀行の肥城支店で働いており、金融に詳しいため、香港では明天系企業群の財務、企業買収などを任されているようだ。また、香港に出てきた姉妹2人にはその夫たちとともに不動産売買を担当させていたと見られ、香港内の高層ビル、商業施設の膨大な資産は彼女2人の名義で所有されている。これらの購入原資は、もちろん政府系銀行の融資もあるだろうが、メーンは中央幹部子弟すなわち太子党が提供したものではないかという見方が香港では一般的である。