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チャイナ・スクランブル

主権返還後20年目の香港、「二制度」より「一国」強まり動揺する経済界、住民(中)
2017-07-13. 日暮高則
公式の経済指標の良さとは裏腹に、依然将来に不安を覚えるビジネスマンがいることも確かだ。例えば、現地経済界の大御所として知られる長江実業グループの総師李嘉誠氏。傘下企業である地場通信大手企業2社の株式を売却する可能性を探っていることが地元紙で報じられた。この2社とはハチソン・テレコミュニケーションズ香港(HTHK)の固定回線部門、ハチソン・グローバル・コミュニケーションズ(HGC)で、売却最低設定額は10億米ドルだという。ハチソン・テレコムは香港の政府系機関、病院、証券取引所など重要施設のほか、180万戸の家庭に電気を提供しており、2016年の収入は前年比4%増の41億2700万香港ドルと確実に利益を確保している安定企業だ。それなのにどうして売却するのか、長江実業側は理由を明らかにしていない。

長江グループは過去9年間、徐々に中国、香港の不動産、企業株式を売却しており、その額は1000億人民元以上と言われている。その上、香港の有望な大手インフラ企業までも手放すとなると、李嘉誠氏が中国国内のみならず、地場の香港に対しても明るい見通しを持っていないことを物語る。李氏は今、中国、香港で回収した資金を主に英国に投入している。2011年、同国の水道施設大手企業「ノーザンブリアン・ウォーター(NW)」を24億ポンドで買収したほか、翌年には、長男の李沢鉅氏に命じて英国の天然ガス会社「ウェールズ&スウェストユーティリティーズ(WWU)」を買い取っている。そのほか、鉄道会社や商業施設も買収、長江実業はほとんど英国の企業となろうとしているようで、李氏ファミリーもそのうち拠点をロンドンに移すのではないだろうか。

金持ちや大手企業経営者は欧米に移るが、中間層は最寄りの台湾への転居を考える。台湾内政部移民署の統計によれば、香港・マカオから台湾への移民は2013年の4724人から一気に2014年に7498人まで跳ね上った。同年秋には学生たちが民主的選挙の実施を求め、主要道路を占拠した雨傘運動があったほか、15年には中国の反体制出発物を出していた銅鑼湾書店の関係者が香港やタイから連行される事件、16年に繁華街旺角での学生、警察の大規模衝突事件があった。これで2015、16年の移民者は1万5000人前後に上った。今年も香港に滞在中の中国人ビジネスマン肖建華氏の拉致事件が発生しており、増加傾向は続きそうだ。党中央の意向を受けた香港特別行政区政府が政治的締め付けを強め、言論、報道の自由などが脅かされている。そこで若い層を中心に香港に見切りをつけた人が続出している。

香港の信頼性を回復する役目は林鄭行政長官が負うことになったが、果たしてその任にたえられるのか。林鄭女史もこれまでと同様、3月に親中国系のメンバー1200人による投票で選ばれた。雨傘運動で若者たちが求めた全民選挙とはかけ離れた相変わらずの“小サークル”選挙だ。雨傘運動当時、同女史はナンバー2の政務官として学生側と交渉に当たったが、十分な対応をしなかったばかりか、その後の弾圧を主導したため、評判は良くない。逆に、その強硬姿勢が北京には評価されたようだ。元香港中文大学の数学教授であった夫と、英国の大学で数学を学んだ2人の息子はいずれも英国籍を持ち、今もそこに滞在している。女史は香港の単身赴任者で、中国で言うところの“裸官”である。

行政長官を監視、対抗すべき立法会(議会)も今ひとつ大きな力になりえていない。かつては民主党が大きな力を持ち、民主化運動をリードしていたが、今は野党が公民党、民主党、工党、人民力量、民協(民主民生協進会)などと細かく分かれ、統一行動が取れていない。毎年6月4日、1989年の天安門事件の記憶を残すため 銅鑼湾のビクトリアパークで開かれる追悼集会も徐々に参加者を減らしている。一時期、大陸からの来訪者も含めて18万人にも上ったが、今年は11万人程度(主催者発表)。独立派が乱入して式を妨害した昨年のようなことはなかったが、「大陸人や学生の参加者が減っている」(地元紙)とのことで、香港人は今、闘うより逃げの姿勢になっているようだ。