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チャイナ・スクランブル

2023年以降の政権延長をにらみ習近平主席の権力集中進む−毛沢東時代の再来か(上)
2018-03-08. 日暮高則
中国の習近平国家主席は3月開催の全国人民代表大会で、国家主席、副主席の任期を撤廃することなどを内容とする憲法の改正を図った。これにより、習氏は2023年以降も最高ポストにとどまり、場合によっては終身の権力者になることも可能となった。香港などのメディアは「中国共産党は一党独裁でなく、個人独裁になった」などと書き、習氏の権力集中に危機感を募らせている。“習独裁”であれば尚のこと彼の今後の政策選択が注目されるが、そんな折に党理論誌に「私有制を消滅させ、共産主義を実現させよう」などと叫ぶ老マルキストの論文が出た。昨年来、蓄財に励んだ民間企業の有力ビジネスマンが次々に調査、拘束され、習政権2期目の経済政策は、企業の大型合併、統制色を強めていく方向性が垣間見える。かつての毛沢東主席時代のように、共産主義の“幽霊”が跋扈することになるのか。

中国の現行憲法79条で、国家主席、副主席の任期は2期10年を超えないと規定しているが、党中央は2月25日、この規定を撤廃する憲法改正の方案を提示した。第19期3中全会を26日から開催する前日にわざわざ提出議案を発表したのは、相当の反響があることを覚悟したためであろう。なるほど世界中のメディアは、習近平氏が終身政権化を目指した動きとして大きく取り扱った。党機関紙「人民日報」は3月1日、「任期撤廃はあらゆる面で党の指導力を強固にするための重要な手段であり、党や国の指導者の引退制度を変更、指導部の終身制度を意味するものではない」と弁解のような論文を掲載した。だが、昨秋党大会で後継候補になるべき50歳台の幹部を政治局常務委員に入れなかったことと合わせて、習近平氏が2023年の任期切れを超えて権力掌握に意欲を示す“有力証拠”となったことは否定できない。

実は、昨秋の党大会以降、習近平氏周辺では早くも個人崇拝を図るような動きが始まっている。大会前は、習主席に対し、「党の核心」という表現が多かった。それが大会直後の最初の政治局会議を伝えるニュースで、官制メディアは「習近平総書記は全党が擁護し、人民が愛戴し、まさに恥じることなき党の領袖」などとして「領袖」を使った。その後、少数民族地域から「各族人民が愛戴する領袖」との表現が出、貴州省からはとうとう「偉大なる領袖習近平総書記」との呼称も出現した。「偉大なる領袖」というのは文革期に毛沢東主席を礼賛するために使われた決まり文句であり、党中央もさすがにこの形容詞は「文革の再来を意識させる恐れがある」とすぐに止めさせた。

その代わりに、習氏の福建、浙江両省勤務時代の腹心である蔡奇氏(現北京市書記)が「マルクス主義政治家、思想家、理論家、戦略家であり、先を読む卓見と確固たる信念を持った新時代の総設計師」と呼び、「総設計師」「舵取り」「戦略家」などの呼称が使われ始めた。ただ、これでは習主席を際立たせるに不十分と見たせいか、最終的に党中央のイデオロギー担当である王滬寧政治局常務委員は「人民の領袖」「領袖で総師」などのように、「偉大」は付かない形で「領袖」も使えるよう指示したようだ。以前の指導者である小平氏の「改革開放の総設計師」、江沢民、胡錦濤両氏の「党と国家の最高領導人」などという呼称に比べたら、ワンランクアップした形になっている。

香港誌によると、最近出版された「習近平の社会主義の文化建設に関する要約論文集」に習主席の過去の談話、講演、報告など70数編の文章が掲載されているが、その中で習氏が特に強調しているのが思想、イデオロギー、ネット情報に対する厳しい管理。まさに毛沢東時代の統制社会に戻るよう求めているようだ。また習氏は、文革を否定した小平路線を批判するような動きにも出ている。氏は1982年に憲法改正を図った時、「党は憲法、法律の範囲内で活動し、国の立法、司法、行政機関、経済・文化組織、人民団体の主体的な活動を保障すべきだ」と党と国家との分離を強調したが、習氏は反対に党をオールマイティーの存在に位置付けた。習主席の盟友王岐山氏もある署名論文の中で、「小平氏は党の指導を明確にしなかった」と暗に批判し、「習総書記は党の指導を強めることに絶対の自信を持っており、いささかの譲歩もない」と書いている。