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チャイナ・スクランブル

23条条例化の動きが再出現、習国家主席の直接管理で香港の統制色一段と強まりそう(下)
2018-01-16. 日暮高則
中国では、国歌「義勇軍行進曲」を侮辱するような行為を禁止する国歌法があるが、香港では近年、大陸との同一化を嫌がる若者が意図的に国歌斉唱の際に替え歌を歌ったり、ブーイングしたりする傾向がみられる。このため、北京の全人代常務委員会が昨年11月、国歌法の香港適用を内容とする法改正を図った。これを受けて特別区政府は、違反者には最大で禁錮3年の刑事罰を課す国歌法の香港適用条例作りを進めている。また、一地両検は、従来中国−香港間で2つの検査があった出入境手続きを簡素化し、直通鉄道などでは一カ所の検問で済むようにするもので、すでに昨年11月、香港立法会で議案が成立し、大陸側の税関当局と具体的な方法論で話し合いを進めている段階だ。垣根が1つになれば往来が簡単になるので、双方の人民は歓迎ムードだが、民主派は逆に垣根の低さでますます香港の大陸化が進むとばかりに嫌がっており、妨害工作に出ている。

香港で再び国家安全条例の議案が提出されたら、市民はどう出るのか。大方は「2003年と同様に、大規模な反対運動がおこるのではないか」と予測している。ところが、すでに「海外の政治勢力と接触しない」を盛り込んだ安全条例を先取りするような措置が取られ、徐々に“外堀”は埋められつつある。その象徴的な出来事は、昨年10月、英国保守党人権委員会のベネディクト・ロジャーズ副会長の香港入境拒否事件だ。この入境拒否は北京政府が関与していたようで、国務院外交部は直後に「外交は中央の管轄である。だれを入境させるかは中国の主権にかかわることだ」と主張した。一方、林鄭長官も「中央が認めないのであれば、香港も拒絶せざるを得ない。拒絶の詳細は私からは明らかにできない」と語り、香港の出入境は中央政府の専管事項であることを追認した。

これは23条問題とは関係ないが、林鄭月娥行政長官は昨年秋の施政報告演説で、「初等教育の中に中国の歴史を独立必修科目として組み入れなくてはならない」と述べ、改めて教育も含めて大陸との一体化を図っていくことを力説した。こうした大陸・香港の一体化方針は、19回党大会での習近平国家主席の政治報告でも強調されている。習主席は香港・マカオ問題に触れた中で、「一国二制度の貫徹」を言いながらも、「中央が香港・マカオの全面的な管理統治権を維持し、特別行政区政府の高度自治権と有機的に結合し…」とし、高度自治権より中央の管理統治権を前面に打ち出してきた。これは、習近平氏が今後、香港・マカオへの統治姿勢として、「五十年不変」の方針に構わず「一国」統治の普遍化を進めていく意図を示したものであろう。

習氏がこれだけ香港で強く言い出したのは、北京中央の管理体制に変動があったことも関係する。党中央の香港・マカオ工作協調小組組長としてこれまで特別行政区を掌握してきたのは曽慶紅元国家副主席や張徳江全人代常務委員長ら江沢民系の幹部であった。しかし、張徳江氏は今年3月の全人代会議で引退し、新たな全人代常務委員長として香港管理の総責任者になるのは栗戦書前党中央弁公庁主任。習近平主席の側近中の側近だ。実は、林鄭女史の前の梁振英行政長官も江氏との関係が深かったため、習氏は梁氏の続投を忌避したと言われる。つまり、習近平主席は2期目になって初めて香港管理の実権を掌握したわけだ。江沢民、胡錦濤の両元主席時代は自由の幅を許容していたところがあったが、習氏は国内のネット規制や人権派人士の取り締まりなどを見ても分かる通りかなりの強硬派であり、香港管理は一段と厳しくなることが予想される。

このため、民主派には悲観論が広がっている。蘋果日報によれば、香港民主党の胡志偉主席は「(19回党大会時の)習近平報告から見て、共産党が今後、香港で強硬路線を取ってくることが予想される。共産党の理解では、香港の全面的な管理統治権を確保した上での一国二制度なのだ。大陸と香港間の対立はさらに激化するだろう」と予測する。一方、香港独立派は、2016年2月、繁華街モンコクで起きた騒乱事件などを理由に、現実に刑事訴追を受けるなど追い詰められており、一部は台湾に逃亡した。一般市民でも台湾に移住する人が増えている。習近平政権2期目で、香港市民の前途はますます暗くなっているようだ。