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習主席が王岐山書記の身辺調査を進める理由と国家監察委員会創設の行方(下)
2017-05-11. 日暮高則
党大会開催時に67歳なら政治局常務委員に残れるが、68歳になった者は引退しなければならない「七上八下」という党の不文律があるとされる。江沢民氏ら一部の人間を除いて1990年代から該当者はこれに従ってきた。王岐山氏は1948年7月生まれだから、今秋大会時には69歳になっているため、本来なら残れない。ところが、香港サイドなどでは、習近平氏の下放時代からの盟友であり、引き続き汚職摘発を進めるためには王氏の助力は欠かせないとの観点から、習氏はさまざまな方策を使って王氏を政治局常務委に残すことを考えてきたと言われる。しかし、習氏が王氏の発言権拡大や検査委の権力増大などを感じたとすれば、これまでの人事構想を捨て、王岐山氏の引退を認める方向に転換する可能性がないわけではない。

すでに、紀律検査委の副書記には、今年1月、習氏の七大ブレーンの一人とされる李書磊氏が着任している。党大会を直前にして親しい配下を検査委に入れたのは、勘ぐれば、王岐山氏の監視の意味があったとも推測できる。李氏は14歳で北京大学に合格したという神童で、中央党校副校長を務めていた時に書記局常務書記兼中央党校校長となった習氏と知り合ったもようだ。その後、習氏が長くいた福建省党委の宣伝部長を2カ月という短期間務め、2015年12月には北京市紀律検査委書記に異動、さらに1年ほどで党中央検査委の副書記になった。異例のハイスピードの転勤、昇進はおよそ習氏のバックアップなしにはあり得ない。それだけ、習氏がその能力を高く買っている証拠だ。ただ、検査委書記は政治局常務委員クラスのポストである限り、李書磊氏がすぐに王氏の後任になることは考えられない。

さて、今年の党大会の審議を経て来春新設されるとされる「国家監察委員会」とは、果たしてどんな組織なのか。汚職摘発でこれまで機能してきた党中央紀律検査委はあくまで政治局常務委員会に隷属する党の機関であり、非党員を調査の対象にできない。中国のほとんどの政府、機関、企業幹部は党員であるとはいえ、少数ながら非党員の幹部もいる。そうであれば、国家の機構として汚職摘発の組織を持たなくてはならないというのがそもそもの考え方のようだ。「監察委」の言葉が最初に出てきたのは、昨年11月7日の紀律検査委の専用サイトで、「北京市、山西省、浙江省で国家監察体制の改革を試験的に行う。この3省では監察庁に代えて監察委を置く」ことが高らかに宣言された。

国務院の中にも監察部があり、監察庁はその地方の出先だが、監察部も監察庁もあくまで政府機関の役人の監視に限られる。そのほか、汚職取り締まりの機関としては、国務院に「国家予防腐敗局」や「審計署(会計検査機関)」があり、検察には「反貪汚(汚職)賄賂局」や「反涜職侵権局」がある。こうした多くの機関があるのは合理的とは言えないため、今後はすべての機関を廃止し、代わって国家監察委が統合していくのではないかと見られる。つまり、政府であろうと、検察院であろうと、法院(裁判所)であろうと、軍であろうと、党員非党員にかかわらずだれでも取り締まりの対象にするというのがこの機関の役割なのだ。今年中に3市、省で試行し、来年3月の全人代で正式決定する計画だとされる。

機関のレベルとしては国務院、最高法院、最高検察院、軍事委員会と同等となりそうだ。そこでそのトップ、国家監察委員会主席にだれがなるのかが注目される。王岐山氏が「七上八下」の不文律ルールを破り、党大会で政治局常務委員の続投が決まったら、彼が就任するのが自然の流れで、香港誌などでもそういう見方をしていた。ただ、習・王の仲たがいを狙う勢力もあるように、党内には過激な汚職追放を進める王岐山書記への反発も根強い。場合によっては、習氏がそういう勢力に迎合して王氏以外の人選をすることもあり得る。党大会まであと5カ月、水面下の混沌とした動きは予断を許さない。