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華北の「外国」建築をあるく

第29回 天津のカソリックの中心:西開天主教堂
2017-08-22. 東福大輔
天津の商業の中心といえば、なんといっても南京路だ。百貨店やショッピング・モールが広い道路の両側にビッシリと立ち並び、自動車・徒歩ともに最大の交通量を誇っている。その南側の、商業施設に挟まれた道の先にそびえ立っているのが20世紀初頭に建てられた「西開天主教堂(シーカイティエンジュジャオタン)」である。

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教会前の商業施設は教会に配慮したデザインになっている。
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教会内部はアーチが連続する。パステル・ブルーが可愛らしい。
実はこの南京路、20世紀の初期までは天津を東西につらぬく運河で、その北側にはフランス租界が広がっていた。租界の中心を南北につらぬく「フォッシュ元帥通り(現在の濱江道)」の突きあたりにフランス租界の飛び地として設けられたのがこの教会である。今では「フォッシュ元帥通り」は南京路に分断され、その雑踏に呑み込まれてしまって往時の姿は見る影もないが、教会前の商業施設のしつらえは教会に配慮したものとなっており、そこに辛うじて痕跡を見ることができる。

建物名の「天主教」はカソリックを示していて、中国においては「基督教」または「耶蘇教」のプロテスタントや、「東正教」のロシア正教とは明確に区別されている。現在の中国政府にとって、キリスト教、とりわけローマ法王を頂点とする強固な組織をもつカソリックは「(ひかえめに言って)管理」の対象である。ローマ教皇庁と切離れた「中国天主教愛国会」という政府公認の組織には信者500万人が属しているといわれるが、実際には政府の方針に反対するより多くの信者たちが地下教会で信仰しているようである。この教会はカソリック天津教区の「司教座聖堂」、いわゆる「カテドラル」であるとされているが、これはローマ教皇庁の認めるものとは別のものだろう。実際のところ、この教会は中国政府とバチカンに引き裂かれた存在だといえる。

この教会は、天津市で最大のネオ・ロマネスク様式の聖堂である。ロマネスクとは、元々はアーチを多用した中世の古い建築様式だが、近代になって復古的に採用されるようになった。この建物では、フランスから輸入された二色のレンガがボーダー柄に積み重ねられ、正面と中央両端に合計三つの可愛らしい形のドームを載せており、わずかな東洋趣味が見てとれる。60年代には文化大革命で紅衛兵の襲撃を受けたり、また70年代には天津近郊で発生した唐山大地震でドームが損傷したりと何度か閉鎖されたが、80年代に修復された。

西開天主教堂では、ほぼ毎日、早朝にミサがある。特に日曜日には早朝の大ミサに続いて英語のミサも行われている。筆者はその終わりがけに内部を見学させてもらったが、人の多さと熱気に圧倒された。中国のキリスト教徒は、発表されている割合だけでも日本を遥かにしのぐ信者がいるという。また、仕事で会う人たちにも日本人以上に熱心な信者が少なくない。これは単に偶然なのか、日中のメンタリティの違いなのか、それとも両国の政治状況の違いによるものなのか、考えあぐねている。

<西開天主教堂>天津市和平区西寧道11。天津地下鉄1号線および3号線「営口道」駅より徒歩5分。聖堂の開放は平日5:00〜16:30、日曜は5:00〜20:00。
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