topics & News to Home
霞山会とは
月刊『東亜』
講演会・シンポジウム
中国への研究留学
日本への研究留学
東亜学院中国語学校
東亜学院日本語学校
日中交流
霞山会館
交通案内
各種お申し込みForm

■中国マクロ経済分析
 慶應義塾大学駒形研究会

■霞山学生会
■リンク集
■サイトマップ
一般財団法人霞山会
東京都港区赤坂2-17-47
赤坂霞山ビル
TEL.03-5575-6301
FAX.03-5575-6306

韓国百名山

第42回 手軽に登れるソウル南端の緑豊かな自然公園 冠岳山
2017-11-24. 森正哲央
1124morismall.jpg
気象レーダーの右手に恋主峰と恋主台を望む
今回は漢江の南にそびえ、ソウル特別市と京畿道安養市、果川市の境界をなしている冠岳山を紹介したい。古くから開城の松嶽山、坡州の紺岳山、抱川の雲岳山、加平の華岳山とともに「京畿五岳」の一つとされ、花崗岩からなるその秀麗な姿から小金剛とも呼ばれてきた。

風水地理説の解釈によれば、ソウルの朝山にあたる。朝山は生気(一種のエネルギー)が強い吉祥の地、明堂の南に座し、木・火・土・金・水を万物の元素とする五行思想では火に見立てられる。その山容は炎の形をした火星形で、火による災難をもたらすと考えられてきた。

李王朝を開いた李成桂がソウルに都を定めた時には、厄除けの意味をこめて、冠岳山の山中に恋主寺を重建、円覚寺を建立している。光化門の両脇に建つ水獣ヘッテが南の方角、つまり冠岳山に睨みをきかせているのも同じ理由だという。ソウル・南大門(崇礼門)が2008年に放火で焼失した際には、「冠岳山の火気に負けた」という風説が広まった。

東にはムノミ峠を越えて三聖山(481m)、クッキ峰(440m)、将軍峰(411m)がつらなる。三聖山の名は、高麗末にここで指空、懶翁、無学の高僧3人が修行したことにちなむ。恋主庵、慈王庵のほか、観音寺、仏成寺、三幕寺などの山寺、高麗時代の将軍・姜邯賛(943〜1037)が生まれた落星垈、李朝時代の教育機関だった果川郷校など麓には史蹟が多く、1968年には都市自然公園に指定された。

北西の新林洞には最高学府のソウル大学、南の三聖川一帯には安養芸術公園が位置し、多様な散策コースに恵まれ、週末ともなれば多くのハイカーでにぎわう。毎年5月にはツツジ祭りが開かれる。今回は北のソウル大入口から山行を開始し、山越えして南の安養市へ下ってみた。

地下鉄2号線ソウル大入口駅で下車。3番出口そばの停留場から5515番バスに乗ること約5分でソウル大正門につく。休日ということもあり他の路線バスからもザックを担いだハイカーが次々と降り立ち、登山口ヘと向かう人波ができていた。

ソウル大の正門から約100m歩道を歩くと出会いの広場につく。ハイカーらの待ち合せ場所となっており、おでんなどの軽食、ストックやアイゼン、手袋など登山用品を置いた売店が並んでいる。広場横の冠岳山詩図書館があるので寄ってみた。2011年に開館、小さいながら日本や中国など外国の詩集も充実している。使用している建物は以前はチケット売場だったそうだ。

約1キロ先の第一広場までは川沿いに広い舗装路を歩く。第一広場の手前で左折して小道に入り、噴水や詩碑などがある湖水公園を過ぎると、樹林の本格的な山道となる。湖水公園から橋を何度か渡り進んでいくと第四キャンプ場の十字路にでる。この辺りまでは、散歩に来たのか、手ぶらで歩いている人も多い。山には不釣合いなコート姿の人も見かける。リストラされた会社員が家族に内緒で、冠岳山に来て時間をつぶしているという新聞記事を読んだことを思い出す。冠岳山は、それだけ都会に近く訪ねやすいことの証左だが、なんとも哀しい情景だ。

十字路を直進するとムノミ峠を越え南の三聖川に抜けることもできるが、冠岳山の山頂へは左折して沢の奥へと進んでいく。勾配がきつくなり、沢から溢れた水が氷っている場所では足をとられそうになった。足元は岩が多く、最後の方は不規則な石段となる。

十字路から1時間30分、息をきらしつつ稜線に出ると急に展望が広がった。東には果川の街が広がり、ソウル大公園そばの果川貯水池が凍って白く光っていた。銀色に光るドーム屋根は、国立果川科学館の天体投影館。約200m先の切り立った岩上に気象レーダーがあり、その後ろが最高峰の恋主峰。一方、南に視線を移すとKBS送信所のアンテナが高く天を衝くように建っている。

岩の尾根を移動して恋主峰へ向かう。山頂は傾斜のある滑らかな巨岩で、大勢の行楽客が弁当を広げるなどくつろいでいた。カップめんやマッコリを売る露店も出ている。恋主峰直下の絶壁は恋主台と呼ばれ、果川八景の一つに挙げられる。恋主台のテラスに恋主庵応真殿が建っており、一人がようやく通れるほどの岩の間を下りると、たくさんの参拝客が集まっていた。

山頂から460mの恋主庵へ下り、境内の自販機でコーヒーを買い、ひと休みする。恋主庵は新羅時代の677年に義湘大師が冠岳寺として創建、李朝時代の1411年に太宗の息子、孝寧大君が現在の位置に移設した。

恋主庵からは紫霞洞川に沿いに果川市中央洞へ下るコースがあり利用者が多い。だが時間もあるので1キロほど南の仏聖寺のそばを通り、安養市東安区に抜けることにした。

仏聖寺の周辺は地図に載っていないものを含めて散策路が縦横にのび迷いやすい。途中の望海庵(標高500m)からは夕霧の中ぼんやりと安養市街が望めた。天気が良ければ安養八景にも選ばれた美しい日没が見られるそうだ。日が暮れ薄暗い中、東安区冠岳洞の現代アパート前に出る。900mほど先の大通り(冠岳大路)からはソウルはじめ各地へ向かうバスが出ている。

●アクセス(バス)
・地下鉄2号線・ソウル大入口駅〜ソウル大正門前 3番出口そばの停留場から5511番か5515番バスに乗車。5分所要(ソウル大入口へはソウル各地からバスあり)