topics & News to Home
霞山会とは
月刊『東亜』
講演会・シンポジウム
中国への研究留学
日本への研究留学
東亜学院中国語学校
東亜学院日本語学校
日中交流
霞山会館
交通案内
各種お申し込みForm

■中国マクロ経済分析
 慶應義塾大学駒形研究会

■霞山学生会
■リンク集
■サイトマップ
一般財団法人霞山会
東京都港区赤坂2-17-47
赤坂霞山ビル
TEL.03-5575-6301
FAX.03-5575-6306

韓国百名山

第27回 地域を分かつ自然の障壁 岷周之山
2016-07-25. 森正哲央
725morismall.jpg
岷周之山から石奇峰、三道峰を望む
今回紹介する岷周之山は小白山脈の中央部に位置し、その一帯は古くから地域を分かつ自然の障壁となってきた。三韓時代には馬韓、弁韓、辰韓、下っては新羅と百済の境界となり、現在は忠北清道、全羅北道、慶尚北道の3道の道境となっている。また、岷周之山から約12キロ北の秋風嶺(548m)は、京釜線が敷設された後に聞慶・鳥嶺に代わってソウルや忠清道と慶尚道を結ぶ交通の要衝となり、現在は京釜高速道路、国道4号線が線路と交差しながら走っている。

岷周之山(1241m)は静かな山行が楽しめる緑豊かな山だ。北の角虎峰(1202m)から岷周之山を経て、石奇峰(1242m)、三道峰(1176m)へ勿閑渓谷を巡るようにつらなり、山容はとてもなだらかで登りやすい。夏になると勿閑渓谷は、大勢の家族連れや若者でにぎわう。角虎山西麓の肇動里にはコンドミニアミム、キャンプ場などの施設がそろった岷周之山自然休養林も整備されている。主な登山口は、永同郡龍化面肇動里、茂朱郡雪川面大仏里、金泉市釜項面海印里で、中でも山勢が穏やかな永同郡上村面勿閑里が起点の勿閑渓谷コースがおススメ。今回は勿閑里から登り、三道峰まで縦走、勿閑渓谷を下ってみた。

前日は京釜線・黄澗駅がある永同郡黄澗面に泊まり、翌朝バスで勿閑渓谷へ向かう。草江川沿いに走ること約35分、終点の永同郡上村面勿閑里で下車する。広い駐車場に車は一台もなく辺りは静まりかえっていた。渓谷沿いに舗装道を行くと多くはないが食堂や民宿もあり、店前の水槽で大きな虹鱒が泳いでいる。駐車場から10分も歩くと、1972年創建の凰龍寺が見えてくる。主な建物は大雄殿だけの小さな寺だ。寺前から吊橋を渡るとフェンス沿いの薄暗い林道となる。「渓谷水保護区域」と標示があり、川には近づけない。
 
植林を15分行くと最初の分岐で、道標には「岷周之山まで近道3キロ」と出ている。ここを右折してチョクセ谷へと入っていく。数分行くと木橋があるが、渡らずに右へ。緩やかな勾配の歩きやすい道が続く。しばらく進むとチョクセ谷三叉路にでる。道標がないが左の道へ。足元はゴロゴロした石が増え、少し歩きにくい。勾配は少しずつ増してくるが、息があがるほどでもない。尾根にでる手前の樹林にヤマブキソウが群生し、黄色い花が可憐に咲いていた。

三叉路から1時間で鞍部につき、右へ100m行くと岷周之山の山頂。「岷周之山 海抜1241M」と刻まれた石碑があり、展望は良い。南に突き出たようにそびえるのが石奇峰で、その左の丸い頂が三道峰。快晴なら両ピークの間に伽耶山が望める。北には、サルゲ峰とも呼ばれる角虎峰が座す。サルゲとは足踏み臼の支点になる石のことらしい。子犬を連れた男性と会う。この日初めて会った登山者で、「今日は徳裕山が見えないね、あの辺りに見えるんだけど」と南西の方角を指した。春霞が出ている。

先ほどの鞍部へ戻り、道境の稜線伝いに石奇峰を目指す。2.9キロあり、1時間半の道のり。稜線の右手が全羅北道、左手が忠清北道で、アップダウンは緩い。クロフネツツジが多いがまだ蕾だ。5月中旬ごろには開花し、角虎山から三道峰まで8キロにわたって稜線を赤く染めるとのこと。石奇峰の山頂部は小さな岩場で、固定ロープを手に攀じ登る。

石奇峰の50m下の岩には、3つの頭が塔のように重なったユニークな三頭磨崖仏像が刻まれている。製作年代は不明。崖仏像を見るには山頂手前の岩場を登らず迂回路を行く。仏像下の窪みには水場もある。石奇峰から三道峰まではさらに40分。途中の八角亭は、ひと息入れるのにちょうど良い。
 
三道峰は名前の通り、忠清北道、慶尚北道、全羅北道の3道の境界をなす。朝鮮半島を北から南へ伸びる白頭大幹に含まれ、秋風嶺、黄鶴山(1111m)を経て南下してきた白頭大幹は、三道峰を経て大徳山、徳裕山へとのびている。かつて三道峰の山頂には各道ごとにケルンが積んであった。ケルンが高い道ほど縁起が良いとされたことから、各道民がその高さを競い合ったという。今では地域間の和解を象徴する大和合記念塔が建ち、毎年10月には、金泉市・永同郡・茂朱郡の市・郡民が集まり、和合の日記念行事を開いているそうだ。

三道峰から木段を下っていくと20分で三麻谷峠(1010m)で、ここから尾根と別れて凰龍寺まで3.5キロ、緩やかにミニミ谷を下る。20分で渓谷にぶつかり、玉沼瀑布を下に見ながら手摺付き木道を通る。その先の分岐から川沿いに滝壺にでれるが、足をのばす人は多くないのか道は荒れていた。さらに30分ほど緩やかに下り、チョウセンゴヨウの薄暗い森を過ぎると朝の分岐に戻る。

●アクセス(バス)
・ソウル〜黄澗 一日3本 2時間30分
・永同〜黄澗〜勿閑渓谷 永同から黄澗まで35分、黄澗から勿閑渓谷まで25分所要