topics & News to Home
霞山会とは
月刊『東亜』
講演会・シンポジウム
中国への研究留学
日本への研究留学
東亜学院中国語学校
東亜学院日本語学校
日中交流
霞山会館
交通案内
各種お申し込みForm

■中国マクロ経済分析
 慶應義塾大学駒形研究会

■霞山学生会
■リンク集
■サイトマップ
一般財団法人霞山会
東京都港区赤坂2-17-47
赤坂霞山ビル
TEL.03-5575-6301
FAX.03-5575-6306

韓国百名山

第40回 新羅王朝滅亡にまつわる伝説が息づく 月岳山
2017-09-12. 森正哲央
naoi912small.jpg
切り立った霊峰(右)と中峰(左)
1984年に国立公園に指定された月岳山は、山岳型国立公園としては5番目に広く、忠清北道堤川市、忠州市、丹陽郡、慶尚北道聞慶市の3市1郡にまたがっている。公園内には夏雪山、文繍峰、大美山、黄腸山、龍頭山、錦繍山、道楽山など800〜1100m級の峰が幾重にも連なり、公園最西端に位置する月岳山は、巨岩の霊峰(国師峰・1094m)がひときわ鋭い。

古くから霊山として朝野の篤い信仰を集め、新羅時代には国家的な祭祀が執り行われた。雪岳山、雉岳山などと共に「韓国の五大岳山」の一つにも挙げられる。月岳山は、新羅王朝の太子と皇女、麻衣太子と徳周公主にまつわる伝説に彩られ、80年代にヒットした周美の演歌「月岳山」に歌われた。神秘的な雰囲気と相まって、訪れる人々の想像力を刺激している。

主稜線は南北にのび、北には主峰の霊峰を中心に中峰、下峰(933m)が、南には万寿峰(985m)はじめ磨崖峰(960m)、布岩山(961m)、龍岩峰(895m)、徳周峰(893m)が連なる。

西麓の松界渓谷(東達川)、東南麓の用夏九曲の清流が美しく、夏には大勢の避暑客でにぎわう。特に用夏九曲は水門洞瀑布や水谷龍潭瀑布はじめ大小の滝で名高い。

主な登山口は、公園管理事務所がある堤川市寒水面松界里の内松界と外松界、徳山面寿山里、神勒寺入口の徳山面月岳里の計4カ所。今回は、松界里の外松界から磨崖峰を経て霊峰に上り、内松里へと下山してみた。

前日は堤川に泊まり、翌朝バスで寒水面松渓里へ向かう。清風面まで来ると、右手には青々とした湖が現れる。忠州ダムによってできた忠州湖で、湖畔には観光・レジャー施設が点在している。徳山里を経て、忠州湖にかかる松界橋を渡ると松渓里。内松界の集落を過ぎ、松界渓谷に沿って走ること数分、上流の外松界についた。ひんやりとした清涼な空気を吸い、まずは1キロ先の徳周寺を目指し、徳周谷へと入っていく。

探訪支援センター前からは、歴史自然観察路と舗装道が、交差しながら徳周寺まで続く。途中、松界八景のうち第7景の水鏡台、第5景の鶴巣台、徳周山城の東門を過ぎる。水鏡台は、鏡のように澄んだ澱みに面した平らな岩で、新羅時代には祭祀が執り行なわれた。徳周山城は周囲15キロにもおよび、13世紀の元軍侵入時、忠州の住民らが城内に逃れたといわれる。東門は復元されたもののようだ。

587年に創健された徳周寺はかつて月兄山月岳寺と呼ばれたが、敬順王(生年不詳〜978)の娘、徳主公主にちなんで徳周寺と呼ばれるようになった。月岳山では次のような故事が語り継がれている。

――新羅滅亡後、徳周公主は兄の麻衣太子らと都の慶州を離れ、王朝再興を期して金剛山へと向かった。月岳山南の鷄立峴(ハヌル峠)で夜を明かした時のこと。夢に観世音菩薩が現れ、「峠を越えた地で石仏を彫り、民に慈悲を施すがよい」とのお告げを聞いた。同じ夢を見た兄妹は、峠を越えて月岳寺に留まり、北斗七星が照らす峰の下に磨崖仏像を彫った。麻衣太子は数年後に金剛山へと発ったが、徳周公主はこの地で仏に帰依し、一生を終えた――。

周美の「月岳山」にも歌われ、この伝説は巷間に広く知られている。歌のヒットと国立公園指定は、ともに1980年代中盤なので、あるいは関連があるのかも知れない。徳山面月岳里の神勒寺入口に2010年、歌碑が建立された。

徳周寺で大きな頭の薬師如來立像と、梵字が刻まれた大仏頂呪梵字碑を見たら、菩薩像横の小橋を渡り本格的な山道へと入る。ミズナラやチョウセンゴヨウが茂る樹林の緩やかな登りで、小橋を何度か渡る。急ぎ足で追い越していった女性が、息を切らしながら戻ってきて「友人が待っているから引き返さないといけないの。磨崖仏像前の賽銭箱に入れて」と5万ウォンを託された。

徳周寺から1時間、木段を登りきると、切り立った巨岩に磨崖仏像が辺りを睥睨するかのように刻まれていた。高麗時代の作とされ、高さ14m余り、目鼻や衣の線が今も明瞭だ。早速、磨崖仏前の板の間にあがり、賽銭箱に先ほど預かったお金を納めた。

磨崖仏像より上は今日一番の登りで、急な階段で立ち休みを繰り返す。右手の山肌が急峻で、白い岩がいたるところ露出していた。磨崖仏像から1時間で尾根にでると、目前に大きく霊峰の南壁が飛び込んでくる。切り立った絶壁で、荒々しく迫力がある。霊峰の左後方に寄り添う三角形の岩峰は中峰だ。

落ち葉を踏み快適な尾根を10分も行くと、三角点のある小ピークにつく。特に表示はないが、ここが磨崖峰(960m)。さらに20分、ヘリポートを過ぎ、すこし下ると無人の公園管理所がある松界三叉路にでた。三叉路を直進し、西側斜面から霊峰の北へと回り込む。ところどころ落石防止のフェンスが張ってある。

神勒寺三叉路をやり過ごし、しばらく進むと普庵三叉路につく。普庵までは3・7舛良玄┐あるが、山火事防止のため一時閉鎖中だった。急階段をひと登りで、ゴツゴツした尖った岩の山頂にでる。広々とした視界が開け、中峰の先に忠州湖、眼下に長閑な内松界の集落を見下ろす。快晴なら原州の雉岳山まで遠望できる。

先ほどの松界三叉路まで戻り、尾根を離れて樹林の間を急下降する。徳周谷と違い、岩がないので歩きやすい。55分で渓谷にぶつかり緩やかな勾配に。橋を渡って5分も行くと山神閣、さらに慈光寺前を過ぎて道路にでる。以前はここに東窓橋観覧券売場があったが、2007年に実施された国立公園入園料廃止のため撤去されている。400m先の食堂「松界ガーデン」横の広場から忠州行きバスに乗車、山行を終えた。

●アクセス(バス)
・東ソウル総合バスターミナル〜月岳山 8本。1万3000ウォン。3時間所要
・堤川〜松界 982番バス。2本
・忠州〜外松界 246番バス。4本