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韓国百名山

第36回 黔沼湾を望む渓谷や滝が美しい半島の山 辺山
2017-05-02. 森正哲央
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黔沼湾(熊淵湾)を眺めながらの山行
三方を海に囲まれた辺山半島は、標高300〜500mの山地からなる。山と海、深い峡谷が一体となり、変化に富んだ景色が人々を魅了、「韓国八景」「湖南(全羅道)五大山」の一つにも挙げられる景勝地だ。古くは、釈迦が説法したインドの山にちなんで楞伽山、中国古代の神仙思想で仙人が住むとされる瀛洲山や蓬莱山の名で呼ばれた。

1971年に道立公園に指定され、88年に国立公園に昇格。辺山国立公園は、西南の海岸を含む半島の広い範囲におよび、そのうち中央部の山地は内辺山、その周りの海岸線一帯を外辺山と呼ぶ。

内辺山には、南西に三神山、望浦台(492m)、双仙峰(459m)、落照台、南に観音峰(424m)、細峰、龍角峰、玉女峰、北に義湘峰(崎上峰・509m)、サトゥ峰、飛龍上天峰、牛角峰、東に三芸峰、サンヨ峰がつらなり、北西に人造湖の扶安湖が青い水をたたえている。最高峰の義湘峰には軍事施設があり、立入禁止となっている。

主な山行スポットは、古刹・史蹟が集まり、渓谷が美しい南・南西地区と、開岩寺周辺の東地区だ。百済時代の634年に創建された開岩寺の裏山には、禹金岩と呼ばれる巨岩が突き出て、周囲には禹金山城の遺構が残る。禹金山城は、倭・百済連合軍と唐・新羅連合軍が戦った白村江の戦いの主戦場の一つ、周留城と推定されている。

一方、外辺山は彩石江、赤壁江と呼ばれる海食崖が有名で、夏には辺山、古沙浦、格浦の海水浴場とともに行楽客でにぎわう。内辺山の主な入口は、扶安郡辺山面の藍輿峙と獅子洞、鎮西面石浦里の来蘇寺と元岩。今回は、南の来蘇寺を起点に、直沼瀑布、落照台を経て北の藍輿峙へ抜けた。

前日は扶安邑からバスで35分の小さな漁村、黔沼湾(熊淵湾)に面した鎮西面黔沼里に泊まる。黔沼港は、黔沼湾の奥にある弃差舛土砂で埋まり浅くなったため、植民地時代に造られた港だ。一帯の特産は塩辛で、週末になると魚市場や道路沿いの土産物屋は観光客でにぎわう。周囲には塩田も広がっていた。

翌朝、バスで石浦里笠岩村の登山口へ向かう。約10分と近い。駐車場前の国立公園事務所で話を聞くと、山火事防止のため、4月末まで観音峰、細峰、臥龍沼一帯は立入禁止となっていた。

食堂街を抜けると、どっしり太い2本の欅が現れる。それぞれ1000年と700年の樹齢を誇り、堂山祭(村祭)の神木(神樹)として大切にされている。「楞伽山来蘇寺」の額が掛かった一柱門(左右1本ずつの柱で支えた山門)から境内へ続く600mの表参道には、常緑針葉樹の樅が空を覆わんばかりに茂り、ひんやりとした大気に包まれる。

細峰、観音峰南麓の来蘇寺は、百済時代の633年、頭陀和尚によって創建された。当時は大蘇来寺と小蘇来寺に分かれていたが、小蘇来寺だけが来蘇寺として今に残っている。蘇来寺がいつ来蘇寺と変わったのか不明だが、百済を破った唐の将軍・蘇定方が訪れたことがあり、来蘇寺になったともいう。

参道を200mほど戻って右折し、橋を渡ると本格的な山道となる。観音三叉路まで50分ほど急な勾配が続く。松の生えた支尾根に出ると南には、黔沼湾のパノラマが広がり、眼下に来蘇寺の屋根瓦が光っていた。満開のシオガマザクラが青空に映え、ひときわ華やか。

観音峰、細峰方面は入山規制で入れないので、観音峰三叉路まで登ったら、チェバキ峠(160m)へ下る。この辺りは露岩が続くが、滑やかな一枚岩で歩きやすい。鉄段を上り下りする。北側の視野が開けると、谷間にひときわ青い小さな堰止湖があった。

チェバキ峠で元岩からの道と合流。さらに5分で、望浦台を源流とする中渓渓谷(直沼川)にぶつかる。新緑のもと野鳥のさえずりを耳に、清らかな流れに沿って30分も歩けば、辺山を代表する名勝、直沼瀑布が姿を見せる。落差30mの大きな滝で、水飛沫をあげ「実相龍湫」と呼ばれる翡翠色の滝壺に流れ落ちる様は迫力十分だ。

噴火口に似た噴玉潭、天女が入浴をしたという仙女潭の淀みを経て、観音峰の尾根から見えた堰止湖の横を過ぎると三叉路にでる。ここから自然保護顕彰塔の後ろに伸びる山道を月明庵(400m)へ向けて再び登り返す。50分、2キロの道のり。またひと汗絞られるのが嫌なら、渓谷沿いに辺山面獅子洞の探訪支援センターへ抜けて、山行を終えても良い。

新羅時代、浮雪居士(生没不詳)によって創建された月明庵からは、東側の見晴らしがよく、レーダードームのある辺山最高峰の義湘峰、屏風のような岩壁が特徴の牛角峰が望める。月明庵そばの尾根には、黄海に沈む夕日が美しい落照台という巨岩があるが、残念ながら立入禁止で見ることはできない。 

月明庵から5分も登れば、ルート最高所にあたる峠の双仙峰三叉路(390m)にでる。双仙峰は目と鼻の先だがここも閉鎖中。峠からは辺山面知西里の藍輿峙へ下降する。枝越しに左手に黄海、右手に扶安湖が垣間見えた。藍輿峙には、公園管理所、トイレ、車が数台駐車できる空地がある。車道を25分歩いて知西里の住宅街に出ると、扶安行きのバスがでている。

●アクセス(バス)
・扶安〜黔沼里 7本・8時10分〜18時50分。35分所要
・扶安〜来蘇寺 1本・10時15分
・黔沼里〜来蘇寺 10分所要
・知西里〜扶安 25分所要