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アジアの今昔・未来

第429回
旧ソ連独立国の数少ない「勝ち組」のカザフ(その4)

2017-10-23. 伊藤 努
カザフスタンは1991年の旧ソ連崩壊に伴い誕生した若い国家で、独立25周年の今年、中央アジア諸国の中で初めて国際博覧会(万博)を首都アスタナに招致したのも、同国の経済発展と政治的安定を国内外に示し、将来に向けてさらなる国家の基盤を固めようとする狙いがある。独立後に一貫して政権の座にあるのは、旧ソ連時代から共産党幹部だったナザルバエフ大統領で、同氏は2015年の大統領選でも98%近い得票率で圧勝し、通算5度目の当選を果たした。強力なリーダーシップと並ぶ者がいない権威によって、内政は安定しているものの、77歳と高齢のため、円滑な権力委譲がなるかどうかが外国メディアの目下の主要関心事だ。

平和と調和の宮殿
シンガポール建国の父、故リー・クアン・ユー首相の影響を受けたとされるナザルバエフ大統領は自国の将来を見据え、1997年に「競争力における世界50カ国入り」を目指す「2030年までの長期発展計画」を発表。その後、課題は当初の予想を上回る速度で達成されたとして、5年前には「先進30カ国入り」を目指す新たな長期計画を打ち出した。近年は近代化の取り組みのための「5つの制度改革」、多数派カザフ人主導の多民族国家で必要とされる「国民の一体化を目指す文化的行動指針」などの戦略文書を策定し、他国の経験にも学びながら独自の国づくりを進めている。

大統領が特に力を入れているのが、国家の近代化、現代化に欠かせない人材の育成と国民意識の醸成で、人口の3分の2を占めるカザフ人主導の安定した多民族国家づくりに向け、「カザフスタン国民」の一体化を目指すさまざまな施策を講じている。アスタナ市内には、巨大なピラミッドを模した「平和と調和の宮殿」や旧大統領府だった「初代大統領図書館」など、ナザルバエフ大統領をたたえる展示物が収められた威容を誇る建築物が幾つもあり、個人崇拝の印象を少なからず感じたが、国民生活を向上させてきた実績は市民の間でも総じて評価されているように思われた。

人口1800万のカザフスタンは共和国として独立以来、ナザルバエフ氏の強力なリーダーシップとエネルギー資源の輸出による潤沢な外貨収入によって、1997年の遷都(南東部の最大都市アルマトイから現在の新興都市アスタナに首都移転)を混乱なく実施したのをはじめ、インフラ整備や経済・産業、社会福祉、教育などが着実に発展しており、中央アジア諸国を含む旧ソ連の新興独立国の中では政治的、経済的に最も安定している国の一つになった。中央アジアでは近年まで、タシケントに首都を置くウズベキスタン(人口3200万人)が地域のリーダー国ということで見方が一致していたが、中央アジア諸国で初の万博開催などにみられるようにカザフスタンの経済的、外交的な地位の向上に伴い、同国がこの地域の新たなリーダー国と目されるようになっている。

ソ連崩壊に伴い新たに独立を果たしたものの、大国ロシアとの関係が悪化したり、政情不安や経済不振に見舞われたりしている国が多い中で、経済発展段階ではすでに移行期経済に入り、その一段上を目指して国づくりにまい進するカザフスタンは数少ない「勝ち組」のように思われた。