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アジアの今昔・未来

第449回
教え子との再会と郷土史家のメッセージ

2018-04-25. 伊藤 努
都内で桜が満開の3月下旬のある昼さがり、兵庫県西宮市で高校教諭を務めている石戸信也さんから携帯電話に電話がかかってきた。何でも、春休みの休暇を使って関東地方に研究資料の収集に来ている由で、今は一通りの日程を終え、神田にいると話し、「できれば久しぶりにお会いしたい」との用件だった。たまたま、その日の夜は予定もなかったので、即答し、午後5時半にJR新橋駅の機関車広場で待ち合わせることを約束し合い、電話を切った。

間もなく還暦を迎える石戸先生については、1年余り前のこの欄(第401回)でも紹介したが、筆者が関西にある大学院で集中講義をしていた際に授業・演習を受講していた社会人の大学院生だった方である。1年前に東京で再会したのは、2年間の博士前期課程(修士課程)を終え、修士論文の最終審査を受けている最中に上京した折、歓談したので、それ以来1年ぶりの再会ということになる。

今回の東京を含む関東方面への旅は、早稲田大学の演劇博物館や鴎外荘、群馬県伊香保の竹久夢二記念館の再訪、神田神保町での資料探し(昭和初期の蓄音機レコードの稀少盤などの入手)などだったそうだが、高校の社会科教諭としては、今回もまた専門的な旅の日程のように見受けられた。しかし、石戸先生は高校教諭としての「顔」以外に、神戸をはじめ兵庫県などでは知名度が高い郷土史家という「研究者の顔」もお持ちで、『神戸のハイカラ建築 むかしの絵葉書から』(神戸新聞総合出版センター、2003年)、『失われた風景を歩く 明治・大正・昭和』(同、共著、2002年)など著書・共著も多い。

今回の再会に当たっても、1868年の神戸開港から150周年の節目を記念してまとめられた昨年末刊行の新著『絵葉書で見る神戸 ハイカラ・モダンの時代』(神戸新聞総合出版センター、2017年)をわざわざお持ちいただき、恵贈を受けた。新著は、石戸先生が個人的に収集したおびただしい数の絵葉書を原色のままにテーマごとに掲載し、解説を加える内容となっているが、200ページ近くの本は上質紙ですべてカラー印刷となっており、数年前に似たような体裁の本の編集を協力した経験のある筆者は思わず、「コストが高くついたでしょう」などと失礼な質問をしてしまったほどだ。

飛び切りすばらしい絵柄の絵葉書数枚を配した新著の帯には、「明治・大正・昭和。ミナト神戸の原風景をめぐる旅へ。」の宣伝コピーがついているが、帯の裏側には「こどもたちや若者に、この神戸という街の多彩な表情と深い歴史をより正しく知ってもらいたいし、また市民として次世代に伝えることは大切である。(プロローグより)」の著者のメッセージが記されている。税込み定価2000円で、国際都市・神戸の魅力と歩みが満喫できるなら、何と割安な旅行代だろうかと思ったものだ。

さて、サラリーマンでにぎわう新橋では筆者行きつけの居酒屋に招いたが、たまたま、新橋界隈に関西の大学院での集中講義1期生の中国人留学生、高鵬君が社会人として働いていたことを知っていたので、同君にもフェイスブックを通じて誘いの短文を送り、合流してもらった。石戸先生と高鵬君はもちろん初対面だが、六甲山系中腹のキャンパスで学問の修業を受けた同窓生ということで、すぐ意気投合した。思いもよらなかった携帯電話への連絡で、10年に及んだにわか大学教師の日々が懐かしく思い起こされた一夜となった。