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アジアの今昔・未来

第440回
ベトナムの新興宗教、カオダイ教

2018-01-31. 直井謙二
ベトナムにはカオダイ教という新興宗教がある。何の予備知識もないままタイニンにある総本山を訪ねた。タイニンはタイニン省の省都でホーチミン市から北西100キロ、カンボジア国境に近い場所だ。

季節は乾季だが、気温は高く暑かった。門をくぐるといきなり大きな聖堂が目に飛び込んできた。聖堂にはすでに真っ白なアオザイを着用し、数百人の信者が整然と座り込んでいる。(写真)男性は黒い帽子を女性は白い鉢巻をしている。聖堂の柱には龍が巻き付いていてどことなく中国風だが天井はドーム型で雲のフレスコ画が描かれヨーロッパ調だ。正面にはカオダイ教のシンボルの天眼が描かれていて、ネパール・カトマンズの寺院を連想させる。

信者も観光客も靴を脱いで聖堂に入るよう義務付けられている点は仏教寺院に似ている。聖堂の中に掲げられている巨大な宗教画に目が留まった。中国服をまとった聖人と欧米様式の服をまとった聖人、それにアオザイのような服を身にまとった聖人の3人が雲の上で巨大な碑文を書いている。

中国服の聖人は「天上天下」「博愛公正」と書き、欧米様式の服を着た聖人は英語で「Justice」などと書いている。3人の聖人の頭はまるでキリスト教の宗教画のように丸い光が描かれている。全く教義が分からないまま祈りが始まった。ろうそくのような物を持った人の後ろに立ち、聖書のようなコーランのような信者の祈りが聖堂に響き渡り、独特の空気が支配していた。

帰国後、カオダイ教について調べてみた。ベトナム人のゴ・ミン・チェンによって20世紀初めに興された新興宗教で今では100万から300万の信者を抱えているが、信者のほとんどがタイニンに集中しているという。カオダイ教はキリスト教、イスラム教、仏教さらには儒教や精霊信仰を包括した教義だという。カオダイ教はユニークな教義から宗主国だったフランスや南ベトナム政府から迫害された。

中国服を着た聖人が「博愛公正」と書いていた聖堂の碑文を思い出した。古くから宗教対立で庶民は苦しんできた。キリスト教徒とイスラム教徒、ヒンズー教徒とイスラム教徒の対立に加え、現在も中東では同じイスラム教徒同士がスンニ派とシーア派に分かれ流血の対立を続けている。トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都に認定する動きを見せるなど対立が激化しそうだ。宗教対立は世界中にテロの恐怖を生む。全ての宗教を包括するという一見奇抜な教義は一考に値すると感じた。