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アジアの今昔・未来

第413回
あまりに便利なコンビニ全盛時代―「街の風景に見る店舗の盛衰」(その3)

2017-06-27. 伊藤 努
前回の本欄では日本各地にある多くの街の商店街から家族経営の専門商店が客離れで次々と閉店を余儀なくされているシャッター商店街の現象を取り上げ、具体的な商店として薬局のほか、酒店、米穀店、電器店などを挙げた。原稿を書きながら気づいたことなのだが、筆者が知る幾つかの街の商店街では、店を閉店した後に新規開店したコンビニ店のオーナーが米穀店、簡単な言い方ではお米屋さんだったり、酒店の店主だったりするケースが多いようだ。

業界関係者にとってはこうしたことは常識中の常識かもしれないが、門外漢でも合点がいく理由が幾つかある。というのは、大型スーパーなどの商店街への出店が法律で規制されていた30年ほど前までは、日本人にとっての主食の座に長くあった穀類の米や、日本酒、ビールなどアルコール類の販売がいずれも許認可制で、新規業者が簡単には参入できない厚い壁があった。しかし、小売業界を含む各種業界分野の規制緩和の流れの中で、販売免許によって守られてきた米穀店や酒店など独占販売業者の岩盤も徐々に崩れていき、新規参入した大型スーパーでも米やアルコール類の販売が解禁されると、昔ながらの米穀店や酒店はたちまち客離れの打撃を受けることになったのである。大手スーパーでは、販売政策からアルコール類の安売りも可能で、そうなると個人営業の酒店は一層の逆風に見舞われることになる。

小売業界に規制緩和の流れが押し寄せた時期は、日本で新型の小売店であるコンビニが爆発的に増えていった時代と重なる。大手スーパーが日本各地で次々と展開していったのと同様に、それまで日本にはなかった業態のコンビニが出現し、瞬く間に爆発的な出店ラッシュの時期に突入した背景には、若者のライフスタイルの変化や昼夜逆転の都会での生活様式を逆手に取った24時間営業の導入などに加え、コンビニの名称である「便利さ」をとことん追求した出店側の経営努力がある。

また、社会のコンピューター化が急速に進行するにつれて、コンビニで公共料金の振り込みができたり、店内に設置された現金自動預払機(ATM)で入金・出金ができたりと、コンビニは文字通り、「便利な金融機関」の役割も果たすようになった。極端に言えば、食べ物の調達からちょっとした買い物、金融サービスの利用といった具合に、生活のほぼすべてをコンビニに任せることも可能な時代である。もちろん、新聞や雑誌も買うことができるし、挽きたてのコーヒーも飲めるので、喫茶店の役割も代行している。

顧客の便利さをとことん追求するコンビニ業界ならではの発想というべきか、サービスの進化はとどまることを知らない。近年は、少子高齢化の時代の流れを受け、若者世代だけでなく高齢者向け、一人世帯向けの品ぞろえに力を入れたり、都内の地下鉄駅構内の駅販売店がコンビニ店に取って代わったりと、市場の動きに敏感に対応する能力の高さには驚くばかりだ。

こうしたコンビニ店の躍進を支えているのが、店舗での商品の売れ行きをコンピューターで一元管理し、そのビッグデータを基に商品の仕入れや配送などを行っている点だ。コンビニ店の繁栄はIT(情報技術)社会の申し子でもあった。(この項、続く)