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アジアの今昔・未来

第439回
インターネット活用企業が入居する経済開発区の視察記

2018-01-31. 伊藤 努
筆者らジャーナリスト訪中団一行が昨年11月中旬に訪れた浙江省桐郷市は周辺に同省省都の杭州(人口800万人)や商都・上海(同2400万人)といった大都市に囲まれ、鉄道・道路などの交通網も整備され、中国国内でも経済的に発展している江南地域に位置している。桐郷市の人口は110万人と、日本的感覚では「大都市」だが、人口数百万、一千万を超える中国的物差しの大都市はほかにゾロゾロとあり、人口が14億近い中国の基準では地方の中小都市となる。

その桐郷市の共産党委員会が党中央の指示を受けて力を入れているのが、インターネット関連産業など先端的分野の企業を誘致しての産業振興の取り組みだ。こうした地元経済発展戦略の重要な柱の一つとして、市内に経済開発区を設置し、自動車産業や新素材関連の企業、「インターネット・プラス」と名付けられたネットを活用した企業を対象に投資奨励の優遇措置を打ち出して企業誘致の活動を積極的に展開している。

桐郷市の経済開発区の事務所で責任者の説明を受けた後、同開発区での視察の目玉となっていたインターネット活用企業が入居する建物に移動し、三つの会社の業務活動を見学した。いずれも、中国で今はやりの「インターネット・プラス」の新分野に参入した意欲的な新興企業ばかりだ。

建物1階に入居していたのは、中小企業向けの商標やブランドの仲介取引を展開している企業で、こうした仲介業務のニーズがあるというのも、中国独自の社会主義市場経済発展の大きな過渡期で起業家精神の旺盛な経営者がさまざまな産業分野で企業を立ち上げ、手っ取り早い方法で不要となった企業の商標やブランドを買い取るという商習慣や商慣行があるからだろう。日本で言えば、弁理士の仕事分野のようだ。この会社では、パソコンなどIT機器の操作に長けた年齢の若いスタッフが中国国内で不要となった商標やブランドをネット上で見つけては、そうした商標やブランドなどの知的財産権の取得を希望する企業関係者に仲介し、売買につなげるという分野で業績を上げていた。

建物2階に入居していたのは、衣類やおもちゃなど子供向けの商品のデザインをインターネットを使って見つけては、自社で製造・販売できると判断したデザインを利用するライセンスを相手企業から買い取り、中国の国内外で販売する企業だった。2階のフロアを全部使っていたこの会社には、あちこちの棚に子供向けの商品が展示され、どのような衣類や玩具のデザインを買い取ったのかがすぐに分かったが、職場はデザインの発掘、販売などの部門に分かれていたほか、企業向けのホームページの作成代行といった部門もあり、若いスタッフはいずれもITのスキルが高いことがうかがえた。従業員のほとんどが地元出身者で、こうした新興企業は雇用創出にも一役買っているわけだ。

同じ建物の中で最後に訪れたのは、何と無人機(ドローン)の設計・製造を業務とする会社だった。会社が入居しているフロアには、展示用の無人機が5機ほど並んで置かれており、奥の部屋には設計事務所があり、数人のスタッフがパソコンの画面をにらみながら、業務を行っていた。筆者ら一行を案内してくれたマーケティング担当のスタッフによると、桐郷市の経済開発区に事務所を構えたのは投資上の優遇制度のほかに、経済開発区に進出している先端的企業の開発・技術支援も得られるためという。このメーカーが開発・生産している無人機には、ヘリコプターの形状をしているものもあり、いずれも人がいない地域での上空からのパトロールや監視業務用として販売を予定しているとのことだった。ちなみに、1機当たりの値段は日本円にして500万円前後とのことで、さしずめ高級外車並みの価格だ。

このように、「インターネット・プラス」と言っても、さまざまな業容の会社があることが分かり、こうした新興企業が中国の産業高度化に大きな役割を果たしていくのだろうと感じた。