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アジアの今昔・未来

第411回
薬局など個人商店を取り巻く今―「街の風景に見る店舗の盛衰」(その2)

2017-06-09. 伊藤 努
前回は昔ながらの街の寿司店が時代の急激な変化に伴う客離れなどから次々と姿を消し、それに代わってマイカーで来店する客用の大型駐車場を備えた回転寿司のチェーン店が家族連れやカップルらでにぎわっている飲食業界の商法の革命的変化を点描した。今回は業界こそ違え、時代の流れで同様の運命をたどった街の薬局など個人商店を取り巻く状況を取り上げたい。

筆者はたまたま、大学病院で定期的に専門医の診察を受け、服用する薬の処方箋を出してもらっている事情から、大学病院の前にある調剤薬局の世話になっている。外来患者が多数利用する大学病院の近くという立地条件の良さからか、診察後に病院から直行する客(患者)が多く、何人もの薬剤師を配置している点も共通する。

2つの大学病院に通っているので、こうした大病院の近くで店舗を展開する調剤薬局のチェーン店がほぼ同じ組み合わせであることに驚くが、視線を街中(まちなか)の薬局に向けると、家族経営のような小さな薬局は相次いで店じまいし、大衆薬などの医療製品や健康・衛生用品、化粧品など多くの品々を一手に扱う全国展開の「ドラッグストア」に取って代わられている。都会を中心に街の昔ながらの寿司店がチェーン展開する回転寿司店に駆逐されている構図とそっくりだ。

薬局に限らず、八百屋、青果店、鮮魚店、精肉店、酒店、米穀店、乾物屋、電器店といった各地の商店街になくてはならなかった個人営業の商店も、大型スーパーの相次ぐ進出によって軒並み店舗存続の危機に見舞われた。筆者が住む都下の私鉄沿線駅の地元商店街は大手スーパーがひしめく小売り業激戦区だが、昔からの商店主らの創意工夫や懸命な集客努力もあってまだ健闘しているようだ。だが、全国各地で商店街の店が客離れに伴う売り上げ減少などで櫛(くし)の歯が欠けたように閉店に追い込まれる「シャッター商店街」が増えている。

確かに、買い物で商店を利用する客の立場からすれば、食品や家庭用品、アルコール類などの飲み物が一つのスーパーで買いそろえることができる便利さは捨てがたい利点で、客足が個人商店から便利な大型スーパーに流れていくのは自然の勢いと言えるのかもしれない。筆者の近所には、10軒近い大手スーパーが林立しており、どのスーパーにもほぼすべての食料品やアルコール類などの飲み物が取りそろえられていることを考えれば、個人営業の店は太刀打ちできないだろう。

知り合いの一人暮らしの高齢者は家電製品を買い替える際、安売りを宣伝する大型家電量販店ではなく、近くにある個人経営の電器店で買い求めているが、理由を聞くと、使っている電器製品が故障したときなどに店主が親切に相談に乗ってくれるからだと話していた。高齢化社会を迎え、馴染みのお客さんにはこのような形で家電製品の買い替えを続けてくれる人が少なくないとこの電器店主も教えてくれた。こうしたケースでは昔ながらの売り手と買い手の親密な人間関係が見て取れる。薬局を含め、個人商店の復権がなるような消費者行動を望むのは時代錯誤なのだろうか。(この項、続く)