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アジアの今昔・未来

第410回
日本の大学の客員教授になったドクさん

2017-06-01. 直井謙二
ベトナムで結合双生児として生まれたドクさんが広島国際大学の客員教授に就任し平和や命の大切さを日本の学生に講義するという。12年ほど前、定年に際して社報に載せた文章「ドクちゃんもドクくん過ぎてドクさんへ」が頭に浮かんだ。

ドクちゃんを初めて取材したのは30年ほど前のことで、まだベトちゃんと結合状態だった。当時4歳だった二人の姿を見て成長は無理だと思った。同時にベトナム戦争でアメリカ軍が散布したダイオキシンが含まれた枯葉剤の恐ろしさを感じた。

ベト・ドクという命名はベトナムの「ベト」、旧東ドイツの「ドク」に由来する。二人はベトナムと旧東ドイツの社会主義国同士の友好のシンボルだった。その後、冷戦の負の遺産を背負ったベト・ドクを救ったのは日本の日赤医療センターだったことはすでに書いた。
第200回「近衞霞山会新名誉会長とかわした四半世紀ぶりの立ち話」

分離手術後も二人を取材した。ベトちゃんは残念ながら脳に障害が残ったが、ドクちゃんは驚異的な回復を見せた。写真は分離手術を執刀したアー医師とドクちゃんに術後の経過をインタビューしたときのものだ。(写真)アー医師は術後の経過は順調で問題ないと自信を示していた。アー医師は元北ベトナムの軍医、ベトナム戦争で負傷した多数の兵士の執刀経験を持つ優秀な外科医だ。2、3年おきにドクちゃんの入院するホーチミン市のツズー病院を訪ねたが、アー医師の言葉通りドクちゃんはすくすくと育った。

やがてドクちゃんは車いすに乗ってサッカーを楽しむようになり、もはや「ちゃん」付けはふさわしくなくなっていた。いつの間にか筆者のレポートもドクくんと「くん」付けに変わっていた。この頃、ベトナムの入国ビザが緩和され日本のボランティアも援助の手を差し伸べるようになった。

成人し結婚し子供までいる現在、ドクさんと呼ぶのがふさわしいだろう。今年2月末、天皇皇后両陛下が初めてベトナムを訪問され、ドクさんに対面された。宮内庁幹部は突然の対面を「枯葉剤の問題が風化する中、平和を願って活動するドクさんを直接ねぎらいたいお気持ちでは」と推察する。

1年半ほど前ツズー病院を訪ねた。お世辞にも立派とは言えなかった病院が高層ビルになっていてベトナム経済の成長を再確認した。日本の大学の客員教授に成長した「ドクちゃん」もツズー病院も見違えるほど成長した。これからはドク「教授」と呼ばねばなるまい。