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アジアの今昔・未来

第423回
中央アジアのカザフスタンを訪ねて(その1)

2017-09-13. 伊藤 努
最近、大学時代のゼミ仲間ら10人とツアーを組んで中央アジアのカザフスタンを訪れ、わが国ではあまり知られていない遊牧民族の末裔であるカザフ人が多数派の多民族国家の素顔を垣間見てきた。日本からは韓国のソウル経由の乗り継ぎで10時間ほどかかる。やはり「百聞は一見に如かず」で、首都アスタナを中心としたわずか1週間足らずの滞在ながら、1991年のソ連崩壊後に独立した新興国ならではの発展ぶりを訪問先のあちこちで感じ取ることができた。

アスタナ市内の街頭風景
広大な国土の大半が荒涼とした砂漠や草原で、冬季には零下20度、時には30度前後にもなる極寒の地だが、訪問した8月下旬は陽光がさんさんと注ぎ、青空が広がる快適な季節だった。アスタナ市内の広大な敷地で開催中だった国際博覧会(万博)の会場や街角では、小さな子供連れの家族を多く見掛け、若い国であることを実感すると同時に、将来のさらなる発展を予感させた。本欄では、印象に残ったことを中心に5回にわたって紹介していきたい。

まず、訪問先がなぜカザフスタンとなったかだが、この国のエリート養成機関で大統領の名前を冠した「ナザルバエフ大学」で学長を務めるゼミ先輩の熱心な誘いを受けたからである。たまたま、アスタナでは「未来のエネルギー」をテーマに万博が開かれており、ゼミ同窓のKさんが異国の地で心血を注いで人材育成に取り組んでいる大学キャンパスを視察すると同時に、日本政府もパビリオン(日本館)を置くアスタナ万博を見て回ることが筆者ら一行の主要イベントとなった。

当初の計画では、この二つの視察が中心の旅程が組まれたが、たまたま一行のメンバーの一人がカザフスタン駐在の川端一郎大使と親しい間柄で、同大使が仕事柄、K学長と懇意にしているという偶然が重なり、何とも頼もしいご両名のお膳立てでたくさんの素晴らしい日程が次々と組まれていくことになった。

昨年まで8年間も駐日大使を務め、現在はカザフスタン外務省でナンバー2のポストにある親日派の外務次官や大統領直属の国家戦略研究所研究員、新たに立ち上げた金融センターの責任者、国営テレビ・ラジオ放送公社の総裁との個別インタビューが相次いでセットされ、内輪の私的旅行グループの訪問としては破格の待遇となった。こうしたインタビューの合間を縫って、未来都市と見まがう奇抜な高層ビルや公共建築物などが立ち並ぶ首都の観光スポットを駆け足で巡り、時間が瞬く間に過ぎていった。滞在中、食事は昼も夜もやはり地元のカザフ料理など中央アジアの伝統的食べ物が振る舞われたが、羊や馬肉など食材の新鮮さもあって、遊牧民に脈々と受け継がれてきた地元料理に魅了された。昔のシルクロードを行き来した旅人も同じ料理を口にしたのだろう。

今回は総論ということで、筆者の個人的印象を記せば、日本の7倍もある広大な国土に人口がわずか1800万にすぎない内陸国のカザフスタンは島国のわが国とは多くの点で異なるのだが、多数派のカザフ人は不思議なことに顔つきなどが似ている上に、客人に対する「おもてなし」を伝統とする共通点も少なからずあることだった。また、カザフスタンは資源に乏しいわが国とは対照的に、石油や天然ガス、鉱物資源が豊富で、こうしたエネルギー資源の輸出による外貨収入が経済発展の原動力にもなっている。

しかし、資源依存型の経済ではいずれ国が立ちいかなくなる恐れがあるのは、イスラム教徒住民が多数派を占めるカザフスタンにとっては、多くのアラブ産油国の現状を見るまでもなく、自明のことなのだろう。道路や鉄道など各種インフラを整備し、産業発展を通じた国の近代化、現代化を図るためには人材の養成、そのための教育重視が大きなカギを握る。次回は「人材育成が急務の若い国」と題してカザフスタン現政権の取り組みを紹介したい。