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アジアの今昔・未来

第428回
海外特派員のサポーター(下)

2017-10-13. 直井謙二
特派員のサポーターはビジネスマンばかりではない。現地に定住した在留邦人も貴重な存在だ。マニラ支局はマニラ首都圏のハリソンプラザに面した高級ホテルの部屋を借りていた。(写真)ホテルの一階には様々なテナントが入っている。その中に長期滞在の日本人富裕層の女性をお得意とする美容室があった。経営者のMさんも長期滞在する中年の日本人女性で数人の若いフィリピン人女性を雇用していた。美容室は奥様方のたまり場でセットが終わっても片隅のソファーで井戸端会議が始まる。井戸端会議は在留生活を支え危険から身を守る重要な情報交換の場でもあった。

東西冷戦構造が崩壊し、アメリカ軍が去ったフィリピンには日本を揺るがすような国際紛争も政治もなく、ニュースは日本人が絡んだ保険金殺人や誘拐事件が多かった。事件が起きると支局を飛び出して美容院に駆け込み、事件に絡む人物や事件現場の環境などを取材する。

Mさんは驚くほどの情報をもっていた。調べたい人物の名をあげただけで在留期間から仕事や普段の行動まで教えてくれる。しかし時としてMさんでも即答できないこともある。するとMさんは「少し時間を頂戴。1時間したらまた来て」と答える。その1時間の間に顧客の奥様方に電話をかけまくり情報を集めてくれる。

フィリピンは噂社会と言われるほど情報は噂で広がる。フィリピン人はもともとフランクな人が多いが、女性には特に口が軽い。1時間後に美容室を再び訪れるとまず期待を外されたことはない。無論、噂話だけを信じてニュースにはできないが、取材の糸口をつかむことはできる。

長期滞在の日本人奥様のネットワークに舌を巻いたことがある。一方で美容室と良好な人間関係を維持するには努力も必要なのである。日本での散髪はいつも男性向けの床屋で美容室など利用したことはなかったが、マニラでは女性客が大半のMさんの美容室に通った。
美容室に入る前に隣の洋菓子店でケーキを数個仕入れ、片隅のソファーでセットを済ませよもやま話に花を咲かせている日本女性のお土産にする。井戸端会議に加わるのは楽しく時として企画のヒントにもなるが、問題は散髪の方だ。美容室で働く若いフィリピン女性は女性のセットには慣れていても男性の散髪は不得手だ。Mさんも事情を察知して散髪終了後手直しをしてくれるが、仕上がりはどこか女性っぽくなってしまう。マニラ駐在中は薄くなりかけた頭のスタイルより情報を優先しMさんの美容室に通った。