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アジアの今昔・未来

第421回
高校の野球部応援の今昔

2017-08-31. 伊藤 努
本欄で少し前、「街の風景に見る店舗の盛衰」という副題で4回ほど文章を書いたが、今年夏に自ら経験したことで「時代の大きな変化」を感じた出来事があったので、前記のミニ連載に追加する形でご紹介したい。その舞台は街中ではなく、夏の高校野球の地方大会が行われていた野球場の応援スタンドである。

筆者の母校の野球部は昨年、東京六大学野球の経験がある国語科のB教諭が赴任したのを機に、若手の同教諭が野球部の監督に就任し、再スタートを切った。それまでの数年間は夏の県大会予選では早々と敗退することが多く、昔はそれなりの成績を上げていた野球部OBの面々を嘆かせていた。しかし、今年夏の県大会に向けては、新監督の指導ぶりに期待し、OB会としても100万円近くするバッティングマシーンを野球部に寄贈するなどして側面支援を行った。

その成果が早速出たのか、激戦区とされる神奈川大会では4回戦まで勝ち進み、会社の休みを取って県内各地の野球場に試合の応援に出掛けたが、球場の内野応援席で揃いのTシャツを着込み、首に汗をぬぐう青のタオルを巻いている一団に出合った。母校野球部の現役部員の両親らでつくる「野球部父母の会」のメンバーだった。

内野応援席には母校の吹奏楽部メンバーとチアリーダー部員、在校生らが陣取る一角があるが、そうした高校生の親と同世代の「父母の会」の母親たちが試合中、校歌が書かれたウチワや冷たい麦茶、氷の入ったビニール袋(甲子園名物のカチワリをまねたもの)を応援の野球部OBを含む関係者に配っているのである。配られた物には、野球部の現役部員のポジションや出身中、抱負などを紹介した写真付きの簡易ケース入りの印刷物もあり、応援準備に多大な時間と労力をかけていることがうかがえた。

筆者の高校野球部在籍は四十数年前の昔だが、高度経済成長時代の当時は親が子供の野球の試合に応援に来ることはまずなかった上に、OB会はあったものの、野球部員の親がわが子の試合の応援のために「父母の会」といった組織をつくることはなかった。他校の野球部も同様だったはずだ。応援席で隣り合った旧知の野球部先輩に聞くと、「昔の親は子供の野球の試合なんかにそれほど関心は持たなかった」とか、「昔は生活が忙しくて、子供の野球の試合に見に行く余裕なんてなかった」といった声がほとんどで、「父母の会」の仕事ぶりや一致結束した行動には驚かされた。「無心の奉仕」という言葉が浮かんだ。

今年の夏はたまたま、4回も目にした「野球部父母の会」の方々は、年齢的には筆者よりは一回りほど下の50歳前後とお見受けしたが、こうした活動を通じて、自らの青春時代を追体験しているのだろう。親子の絆も深まるに違いない。そう言えば、高校野球に携わる野球部後輩からは、「今の高校生たちは親に対する感謝の気持ちが強い、素直な子が多いのですよ」と聞き、思わずうなずいたのだった。