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アジアの今昔・未来

第433回
「アオザイ美人の仮説」めぐり格闘した特派員

2017-11-24. 伊藤 努
会社の元職場で同僚だった後輩記者(現在は編集局部長)が、親日国であるベトナムをカバーするハノイ支局長としてのさまざまな取材経験や現地体験を綴った本を出した。「アオザイ美人の仮説―おもしろまじめベトナム考」(時事通信出版局刊)という題名からして、日ごろベトナムなどアジアのことについて関心を持つ方々の好奇心をかき立てるのではないか。

著者の高橋伸二君とは10年ほど前、勤務先で職場が同じとなり、以来、上司と部下の関係ながら気の合う記者、デスク(編集者)同士としても、さまざまな仕事で力を合わせてきた。そうした中での最大の仕事が、ベトナムに進出している日系企業幹部向けのニュース・情報の配信サービス(時事速報ベトナム便)の立ち上げだったが、高橋君は新規の情報サービス事業の準備段階から企画・編集の責任者となり、そのまま、新たに開設したハノイ支局の初代特派員として現地に赴任した。

ベトナムの伝統的民族服「アオザイ」を着た可憐な少女らの写真が表紙を飾った本を開くと、「あたふた出張記」「南北鉄道縦断の旅」「ハノイ支局開設!」「奇人と知人と偉人と美人」「南シナ海リポート」「戦争の爪痕」「共産党一党支配のゆくえ」など10章の章立てで、赴任前の何度かの現地出張や特派員時代を含め5年間ほどにせっせと書いてきた血肉躍る生きのいいコラムがちりばめられている。

こうした章立てのタイトルからも、大きな取材対象であるベトナムというユニークな国家やその国民性、伝統、文化、生活などを時には面白おかしく、時には大真面目に論じていることがお分かりいただけよう。本の題名である「アオザイ美人の仮説」は、収録されている同じタイトルのコラム数本に対する読者の反響が大きかったので採用したというのが著者の弁だが、連載中のコラムのネタ(材料)に窮して書いたものが評判を呼んだというのも興味深い。

たまたまベトナム関係のニュース・情報配信の仕事に携わったのをきっかけにこの国の魅力に取りつかれてしまった著者は、現地にどっぷり浸かった実体験を基に、「ベトナムは、美しく、情に厚く、とにかく一途で、ちょっと見栄っ張りで、華奢に見えてとても強く、つまりアオザイ美人そのものだ」と書いている。なるほど、鋭い観察だ。

本の裏表紙には、凛としたピンクの蓮の花の写真が添えられているが、著者がアオザイ美人にほれ込んでしまったのは、その凛とした姿をベトナムという国や国民の中にも見たからかもしれない。時事通信社の前ハノイ支局長の手になる「熱風取材録」に是非とも目を通していただきたい。