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アジアの今昔・未来

第425回
人材育成が急務の若い国カザフスタン(その2)

2017-09-25. 伊藤 努
ユーラシア大陸の中央に位置する内陸国のカザフスタンは1991年の旧ソ連崩壊に伴い誕生した若い国で、独立25周年の今年、中央アジア諸国の中で初めて国際博覧会(万博)を開催した。ロンドンやパリなど欧州先進国を発祥の地とする万博が「経済的離陸」からまだ日が浅いカザフスタンで開かれたのは、同国の経済発展と政治的安定を国内外に示し、国威発揚につなげようとする「国父」ナザルバエフ大統領の狙いがある。

ナザルバエフ大学
カザフスタンはこれまで、豊富に産出する原油や天然ガスなどのエネルギー・鉱物資源の輸出を原動力に国力を伸ばしてきたが、国家戦略ともなっている2050年までの「先進30カ国入り」の目標達成には、さらなるインフラ整備や産業高度化などの取り組みが欠かせない。

大学時代のゼミ仲間というにわか仕立てのツアー一行はアスタナ滞在中、金融センターの最高責任者や政府系シンクタンク幹部、国営放送局総裁といったナザルバエフ大統領に近い政権エリートと意見交換したが、彼らはいずれも30代から40代前半という若さで、欧米留学経験があり、その口ぶりは国づくりに貢献する意欲に満ちていた。旧ソ連時代の共産党幹部出身ながら、ゴルバチョフ元大統領を政治の師と仰ぐ改革派で開明的な指導者であるナザルバエフ氏は国づくりの前途を見据えて、若者の米欧留学を含め、人材育成、教育充実に積極的に取り組んでいる。自国の将来像を精力的に語る新興国のエリートたちを見て、大統領の教育重視策の成果が徐々に表れていることがうかがえた。

さて、新興独立国であるカザフスタンの高等教育の一翼を担ってきたのが、大学の国際関係論ゼミの先輩であるK氏(元世界銀行副総裁)が学長を務めるナザルバエフ大学だ。大学の名称からもお分かりのように、大統領の肝煎りで2010年に開学し、学部と大学院の学生を合わせて4000人が学ぶ。

この国には、文部省が管轄する国立大学や私立大学が10校以上あるが、ナザルバエフ大学は大統領直轄の新構想大学で、「将来のカザフスタンを担う人材育成」が建学の理念だ。学内での使用言語は英語で、外国から一流の教授陣を招き、卒業生の多くも海外の有名大学に進学する。

首都郊外にあるキャンパスの敷地は80ヘクタールと広大で、威容を誇る正面玄関建物とそれに続く講義棟などのメインキャンパスと景観設計は国際的建築家、黒川紀章氏(故人)の設計事務所がマスタープランを作って完成した。極寒になる冬季の気象条件を勘案して、キャンパス内にある学生寮などの建物がすべて外気に触れることなく移動できる仕組みとなっており、医学部の拡張工事や付属病院、研究開発センターの建設などが今も続けられ、将来は学生数8000人規模の国際競争力ある大学院大学に育てる計画だ。キャンパスを訪問した時期はたまたま夏休みだったが、工学部の研究室では数人の大学院生がロボットや人工知能(AI)の応用化に向けた実験を行っていた。ゼミ先輩のK学長に大学卒業生の進路について聞くと、海外留学した後は、母校の教員への道を含め、カザフスタンの将来を担う仕事に就いてほしいという期待の声が戻ってきた。