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ベトナム 生活図譜

第3回 ベトナムに残る伝統的な市場
2017-05-15. 竹森紘臣
ベトナムではここ2、3年で日本のイオンをはじめ、たくさんのショッピングセンターがオープンしている。ハノイやホーチミンなどの大都市圏だけでなく、地方都市にもたくさん建設されている。スーパーマーケット、服飾などのリテールショップ、シネマコンプレックなどの複合施設が一般的である。休日になるとたくさんの人で賑わうが、昔ながらに市民生活を支えている伝統的な市場も健在である。

ベトナムには主に3つのタイプの市場がある。1つ目は路上にテンポラリーに開かれるタイプ、2つ目は屋根が掛かった広場のような場所に入居するタイプ、3つ目は建物に入居するタイプである。

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路上の朝市
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クー市場(ホーチミン)
路上タイプの市場では生鮮野菜や食肉を主に販売している。<写真1>小売業者だけでなく、農村から自転車に収穫物を載せてきて、農民が自分で販売することも少なくない。時期ごとに異なるさまざまな果物や花などが持ち込まれ、それによって季節を感じることができる。路上には縄張りがあり、農民が自分の場所を持っていることも少ないようで、彼らは自転車に乗り移動しながら販売を行っていることが多い。早朝に店が出て午前中のみ営業をしているところがほとんどである。椅子や陳列台などを運んできて、毎朝ごとに並べて店を作り、お昼過ぎになると片付けられて夜には跡形もなく消えている。

ベトナムでは3ヶ月ほど前から路上に店を出すことに対する取締りが厳しくなり、食堂などは道路に椅子やテーブルを並べられなくなった。朝の市場もどうなるかと心配していたが、こちらは今のところ取締りをされることなく残っている。

ホーチミンのトン・タット・ダム通りにあるクー市場<写真2>は路上タイプの市場のなかでも特別なものである。この市場は屋台型のお店が立ち並び、朝から夜まで営業している。閉店後もお店は路上に置いたままである。この市場は今年の旧正月に撤去命令が出されていたが、今も撤去されずに残っている。昔からお店を出している人たちが要求に応じなかったということらしい。自然発生的に路上に形成された市場で、都心でこのようなかたちで残っているものは珍しい。近代国家に向かっているベトナムにはそぐわないのかもしれないが、旅行で訪れる人たちはノスタルジックな雰囲気を楽しんでいるようである。

広場タイプの市場では生鮮品だけでなく、調味料や洗剤などの生活雑貨も売られている。朝早くから夜遅くまで開いているが、暑い昼間にはほとんど売り子が寝ているのであまり買い物はできない。市場の中には食堂があるところも多く、本格的なローカルが料理を食べることができる。鉄筋コンクリートや鉄骨で建てられた比較的立派なものから、廃材を組み合わせて建てられたバラックのようなものまである。Phuong(坊)という行政単位(日本でいうと小学校の学区程度の大きさ)で管理されていて、新たに出店するためには誰かが出て行くのを待つか、元の店子から権利を買い取らなければならない。もっとも日常的に利用されるタイプの市場である。

建物タイプの市場は、ハノイにあるドンスアン市場やホーチミンにあるベンタイン市場が有名である。これらは観光客が多く訪れることでも有名だが、地元のベトナム人も今もなお生活の中で利用している。これら建物タイプの市場は、もともと路上に自然に発生した小売の集まりが集団化し広場に集まり、最終的にフランス統治時代に建物に収容された場合が多い。当時の当局が徴税、衛生などの管理をする目的で行われたものと思われる。現在では広場タイプと同様にPhuong(坊)ごとに管理されている。

建物タイプの市場は時代や場所で異なるデザインの建物があり興味深い。次回でいくつかの建物タイプの市場を紹介したいと思う。
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クー市場(ホーチミン)