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思考する言葉_現代中国領口語辞典
三非
2014-01-28
ここ10年ほど、中国は外国人にとってかなり気持ちよく暮らせる場所ではなかっただろうか。

21世紀に入ると同時に国際貿易機関に正式加盟、中国が経済発展に夢中になり、また「国際接軌」(国際基準の導入)だとか、「走出去」(海外へ出て行く)などというスローガンがもてはやされた。さらに2008年の北京オリンピック開催も決まり、「国際化」「国際都市」作りを目指して、中国社会における外国人の「需要」が増えた。外国人の資金や知識や情報や手段や好みや習慣を吸収し、それをテコに世界に飛び出そうと考えていたからだ。

ここ数年中国で暮らすようになった外国人は、首都北京ですらわずか10年ほど前は、全国人民代表大会や政治協商会議、あるいは党大会などの前約1ヶ月くらい、バーやライブハウスなどが一切営業できなくなり、夜の街が閑散とし、外国人たちは行き場をなくしてぶーたれていたことなんて、知らないだろう。

確かに中国の大都会では留学経験もないフツーの外国人が増え、中国語がわからなくてもどうにか暮らせるようになった。夜は、外国と同じように飲んで食べて集って楽しめる店も増えた。そしてそこで席を並べる中国人も増え、いや、それだけではない、かつて外国人が「占領」していた高級マンションにも、中国人の隣人がどんどん越してくるようになった。

すると、というべきなのかそれとも、しかし、というべきなのかは分からないが、中国人と外国人のトラブルもだんだん、「あら、ガイジン、きゃ〜っ」と中国人が逃げていくというレベルではなくなった。

そして事件が起こった。2013年11月に北京の繁華街でイタリア人が乗っていた電動バイクが、道を渡ろうとした中国人女性をひっかけ転倒させた。その後、女性が電動バイクにしがみつき、大きな声をあげて野次馬が集まりだす。すると焦ったイタリア人が大きな声で騒ぎ始め…

と、どこにでもありそうな光景だが、事件はまず、「女性が(大したケガもしていないのに)外国人を騙ろうとした」と報道され、この中年女性に大批判が集まった。現実に中国では道端で倒れている人に手を貸したのに、逆に「こいつがぶつかったせいだ」と濡れ衣を着せられて、裁判で多額の賠償金を要求された例すらある(この件は「被害を訴えた者」の家族が警察関係者だったことがメディアの調べで分かっており、賠償を求められた男性に同情が集まった)。お陰で街で困っている人に手を差し伸べる人はすっかり減ってしまった。

だが、今回の事件は違った。報道の翌日、今度は「真相は違う。イタリア人のバイクがぶつかり、倒れた女性に罵詈雑言を吐き続けた」と証言する人物が、携帯電話で撮ったビデオを公開。確かに、バイクにしがみついている中年の中国人女性にイタリア人が中国語で「傻×!」などのあられもない言葉を何度も投げつけている。それは…集まってくる野次馬とあまりのことに動転したのかもしれないが、それにしても褒められた姿ではなかった。

だが、この騒ぎのお陰ですぐに身元が割り出され、この男性は実は父親と北京三里屯でコーヒーショップを経営していたことがわかった。さらにバイクが無登録であったこと(ほとんどの電動バイクが無登録だが)、そしてその中国滞在のビザが就業できないビザだったこと、その上その父親も実は同様のビザで商売をしていたことが発覚し、二人はすぐに国外退去になった。それなりにはやっていた店らしいが、今ではカギが掛かったままだという。

それをきっかけに、「三非」の話題が復活している。「三非」とは「非法(違法)入境、非法(違法)居留、非法(違法)就業」である。特に今回は繁華街で堂々と店を開いていた親子が実はこの「三非」であったことに驚きの声が上がっており、そうした外国人はどれくらいいるのか?と語られだした。

そして、英語教師やウェイター、ウェイトレスといった、目につきやすい職業の外国人に注目が集まり、ターゲットにされた人たちが少なからずいるという。

まぁ、現実に違法だからね、仕方がない、実はこれまでがザルだったよね、と外国人たちもため息をつく。だが、中国は2013年にビザ関連の法律も改定され、実際に申請の際に必要とされる資料が厳しくなっている。もちろん、これは中国が「まともな国」に向かっている証拠なのだが、なんとなく寂しい気持ちがするのは、外国人の勝手なノスタルジアだろうか?







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版画:丁未堂