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思考する言葉_現代中国領口語辞典
愛国 
2013-11-27
なにを今さら言ってんですか? と、それを最初に知った時思わずうなってしまったのだが、実は中国では最近、「愛国ってナニ?」というテーマがプチブームなんだそうである。

正直な話、同じ漢字国の出身者ながらわたしが本気で「愛国」という言葉に直面したのは中国で暮らすようになってからである。日本では教科書の中で三島由紀夫とか226事件とか、歴史キーワードとしての「愛国」に触れたけれど、自分の成長の過程で「愛国」という言葉の意味やそのあり方を真面目に考えてたことはなかった。「愛国」なんて空気のようなもん、というか、まぁ、北京はその空気も相当ヤバイので本気で向き合うしかないのかもしれませんが(冗談です)。

この「愛国ってナニ?」プチブームに火をつけたのは、国営テレビ放送局、中央電視台が今年の国慶節休暇に合わせて製作した街頭インタビューシリーズである。昨年もこの時期に「你幸福嗎(ニーシンフーマ)? あなたは幸福ですか?」という質問によるインタビュー集を流したが、「我姓曾(ウォーシンツァン)。ぼくの姓は曾です」という珍妙な問答もあって話題になった。

国慶節に合わせて「幸福」、そして「愛国」。なんだかこっちがこっ恥ずかしくなってしまうようなテーマ選びだが、逆に言えばこのような歯が浮くような、ある意味現実感があいまいな言葉でないと、この国の高揚感を高めることができないのではないらしい。ここでもし「あなたは家を買えましたか?」「車が欲しいですか?」「海外旅行したいと思いますか?」と尋ねた場合、出てきた答はあまりにも現実的すぎて、国慶節のお祝いムードにそぐわないのだろう。

今回も「愛国ってナニ?」という質問に、多くの市民が困ったような表情を見せた。質問者は慌てて質問を変える。ある大学生は「愛国っていうとどんな人、あるいはどんな言葉を思い出す?」と尋ねられ、「それはぼくに聞く質問じゃないな。なんにも浮かばない」と答え、「じゃあ、愛国者って言うと誰を思う?」という質問に「(アメリカ製の)ミサイル」とだけ答えて去っていった。

もちろん、お約束のように日本車を買わないことや他国の侵略、「918」(柳条溝事件)、釣魚島(尖閣諸島)を口にする人たちもいた。だが、一方で「非愛国的な行為とは何か?」と聞かれた時の答は、むやみにゴミを捨てること、汚職すること、デマを流すこと、功利主義に走ること、いろいろなところで中国人の名誉を汚すこと、などと現実的であり、また多様性に富んでいた。

特筆すべきは二人の著名人の答えだろう。まず、中国作家協会の名誉副主席である作家の王蒙氏は、以前アメリカ人に尋ねられた時にこう答えたと言う。

「我々(中国人)はまず唐詩宋詞が好き、そして中華料理が好き。唐詩宋詞は中国の心を示し、中華料理は中国の腹だ。ぼくらの国に対する感情は心腹の感情なのだ」…なかなか文学的である。だが、現代的な「愛国」をうまくすり替えている感じもするのは穿ち過ぎだろうか。

もう一人は、不動産デベロッパーの華遠地産の任志強董事長が番組が放送された時に、中国国内向けマイクロブログ「微博」にこう書き込んだ。

「中央電視台が9月28日にオフィスに取材に来た。ぼくが『どうせ取材しても放送しないんだろ』というと、若い記者は『放送します』と言った。Q『愛国ってナニ?』A『政府のすべてのミスを批判することでこの国で暮らす人民の生活をもっと良くし、もっと多くの権利や自由を享受できるように努力すること』Q『どうやってその愛の深さを証明する?』A『批判が厳しければ厳しいほど、愛情が深い。政府の職権乱用を放任することは逆に最も非愛国的な行為だ』。結局流れなかったね」

中国人の愛国にもいろいろあるんだな。





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版画:丁未堂