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思考する言葉_現代中国領口語辞典
査水表
2013-08-28
「査水表!」という声が階段を伝わって階下から聞こえてきたとき、「そうだった」とわたしは慌ててペンとメモ帳を握って台所に駆け込んだ。「水表」=水道メーター、「査」は調べる。今日は検針日だと張り紙してあるのを数日前に階下で目にしていた。

近年、中国の家庭では電気は玄関先にメーターが設置され、そこに銀行などでチャージしておいた特製のICカードを差し込む。それを忘れるとがちゃりと電気のメインスイッチが切れ、それ以降泣けど叫べど電気は流れなくなる。電気会社にとっては取りっぱぐれのない便利なサービスである。

わたしもシャワーを浴びている最中にスイッチが切れ、不幸中の幸いで泡だらけではなかったので、ドライヤーも当てられないまま濡れた頭で服を着てICカードを持って階下の銀行にチャージに走った。ある高級住宅に住んでいた友人は週末の夜、友達を呼び集めてわいわいとお料理パーティをやっている最中に電気が切れるという悲劇に見舞われた。…そんな経験を振り返ってもICカードチャージは電気会社にはトリッパぐれのない便利なシステムだが、ユーザーにとっては災難だ。

その点、水道やガスは昔ながらの検針方式だから使った分だけ支払えばいいので助かる。だが、中国の場合、それらのメーターの多くが屋内にあるので、検針員が集合住宅の入り口で「査水表!」と声をかけて一戸一戸に心の準備をさせるのだ。

だが、そんな予告のない「査水表〜」ドンドンドン!をうっかり信用してはいけない。

さらに、他の家を回ってきた様子もない「査水表」には絶対に自宅のドアを開けてはいけない。とはいえ、それに応じなければドアを蹴破られることもある。というのも、そこに立っているのは――検針員ではなく、家宅捜索にやってきた当局の人間である可能性が高いからだ。

特にインターネットであちこちの掲示板やマイクロブログにいたずら気分で書き込んだ時――たとえば、チベット問題や少数民族問題、あるいは政府に対する不満や不信感など――この「査水表!」がやってくる、と言われている。当局はIPなどで発信者を掴み、やってくるのだ。もちろん、一旦開ければどやどやといかつい男たちがなだれ込み、正式な令状があろうとなかろうと尋問を受け、もしかしたらコンピューターが押収され、連行される場合がある。

もともとこの言葉が流行るきっかけになったのはテレビドラマが最初だったという。だが、今や実際にインターネットが日常活動の一部になり、新聞やテレビが伝えない話題や情報をそこで目にし、口にすることができるようになった結果、当局がインターネットに設けたボトムラインを、故意にあるいは無意識に越えてしまう人たちが増えてきた。一度や二度くらいならその発言が削除されて終わりだが、何かのきっかけに何度も同じ事が繰り返されたり、何か大きな社会事件が起こった時にうっかりしたことをつぶやくと「査水表」がやってくるらしい。

わたしの知り合いも、大昔にネットに自分のIDを使って作った掲示板を放置しておいたら、そこに当局が目をつけた情報が流れ、なんの前触れもなく「査水表」に遭った。「査水表」という言葉がこれほどネットで普及したのは、「査水表」活動があまりにも日常的に行われていることの裏返しなのだと思う。みなさんも気をつけましょう。

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版画:丁未堂