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チャイナ・スクランブル

COVID−19は武漢病毒研究所からの漏洩説が有力−中国は「米軍兵士が持ち込んだ」と反論(下)
2020-03-19. 日暮高則
中国の当局者、幹部は現在、一般的に米のSNSであるツイッターの使用は禁止されている。それなのに、趙氏が敢えてそのSNSを使ったのは、党中央・国務院の了解あるいは指示を受けた行動であることは間違いなく、狙いは米国、世界を意識した我田引水的な発信なのであろう。つまり、米国への責任転嫁によって、中国が原発生地であることを糊塗し、初期の対応の悪さを覆い隠し、世界各国からの、さらには国内大衆から習近平政権に対する攻撃の矛先を巧みにかわそうとする作戦である。

この責任転嫁論に対し、さすがに米国は怒った。趙氏のツイッター発信の翌13日、トランプ大統領は「コロナウイルスによる国家非常事態宣言」を出したが、そのあとの記者会見で趙氏発言に触れ、「明らかに私と習近平主席と話した内容と違う。中国側もわれわれもこの病毒がどこから発生したか、(共通認識として)承知していることではないのか」とあきれた。デービッド・スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は同日、崔天凱駐米大使を呼びつけ、「中国は世界的に疫病を蔓延させ、その情報を世界に知らせなかったばかりか、それによる批判から逃れようと情報面で陰謀を図った。これは危険であり、荒唐無稽である。米国は中国人民、世界人民を守るためにこの種のやり方は容認しない」と抗議した。

崔大使は国務省を出る時、記者から「あなたは米国人が病毒を中国に持ち込んだということを認めるのか」と質問され、顔面蒼白となり、一言も発せず、その場を離れたという。あるいは、海外にいる中国外交官には、COVID−19原因説に関する党中央の大胆な主張の変化を知らされていなかったのかも知れない。トランプ大統領やポンペオ国務長官は、それまで「新型コロナウイルス」とか「COVID−19」の表現を使っていたが、趙氏発言以降、特に発生場所を特定するように、敢えて「武漢ウイルス」という言葉に言い換えている。これも怒りの表れであろう。

米国のメディア、知識人らは、「もし、米国側が中国に病毒を持ち込んで打撃を与えようとするなら、武漢などでなく、北京や上海などをターゲットにするはずだ」「米軍人が感染していたというなら、中国で流行する前に米国で最初に流行していたはずだ」と矛盾点を突き、反論を展開した。なるほど冷静に考えれば、ウイルスの原因が米軍人であるとすると、中国国内の野生動物は”シロ“、コウモリは”真犯人“でないということになる。であれば、当局が現在、しゃかりきになって野生動物退治を進めている意味はなさなくなる。趙立堅報道官はその辺りの主張と行動の齟齬をどう説明しているのか、分からない。

ただ、嘘も100回言えば、信じる人も増えてくる。米国軍人原因説は中国大衆の中には徐々に浸透し始めたようだ。米系華文メディアは「人民の不満は習近平にではなく、米国政府に向くようになった。少なくとも6割の中国人は、最初の病毒は米国からのもので、米側の反発発言は語るに落ちる話だとの認識を持っている」と書き、庶民に意識の変化があることを明らかにしている。残念ながら、中国人民の多くは、自由に海外に行ける時代になっても、報道の自由を持たず、党中央の宣伝機関でしかない自国のメディアを固く信用しているようだ。これは、習近平政権には幸いすることだが、真実に迫ろうとする世界の多くの人たちには暗雲を投げかけている。