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チャイナ・スクランブル

中国の住宅市場、テコ入れ望めず安定基調、来年は下落も−不動産業者の8割は消滅か(下)
2019-12-18. 日暮高則
法院(裁判所)で10月に公示された不動産企業の破産状況を見ると、1−9月期で408軒の不動産業者が破産、特に地区別では広東省がもっとも多く63軒、次いで浙江省の40軒、江蘇省の37軒。その他、企業売却したり、破産申請したりする業者が後を絶たないが、社会的な反響を恐れて地方政府がそれを抑えているようだ。それでも、法院公告によれば、今年11月20日まで、不動産企業の破産数は地方の中小企業を中心に446軒、毎日平均1・5件の割でつぶれた。かつて不動産は最大の錬金ビジネスと言われ、大連万達集団、万科企業、金地集団、緑地集団など多くのビック企業を生んだが、今は、金融機関からの負債の償還期限が迫って苦境に陥っている。「克而瑞信息集団」のCRIC研究センターによれば、今年上半期、不動産企業は償還のピークを迎え、その償還総額は1706億人民元に達した。2020年下半期から2021年上半期にかけて償還圧力はさらに強まり、3000億元規模になる見込みだという。

不動産企業は、一時、社債転換などを図ってしのいでいたが、国内ではP2Pや影の銀行などの広範な投資家からの調達は難しくなった。米華人紙によれば、現在、金融機関融資の償還期限が迫っているので、やむなく海外での債券発行に向かっている。あるデータによれば、今年初めから11月13日まで、中国の不動産企業が海外で発行した債券の総額は610億ドルで、最終的には通年で624億ドル規模になるという。昨年の発行額は616億ドルだから、これも上回る見通し。泰禾集団を例に取ると、子会社を通してシンガポールで4億ドルの債券を発行し、3年償還で年利15%を提示した。当代置業に至っては、年利15・5%という高金利を掲げた。もはやジャンクボンド並みの金利である。

経済紙「21世紀経済報道」によると、中原地産の首席アナリストの張大偉氏は「将来の不動産業界は変化していき、2000社くらいの不動産企業がつぶれるか、業種を換えるだろう」と予測する。不動産業界に明るい経済学者の馬光遠氏は「現在、デベロッパーの数は多すぎる。今年の不動産業の状況から見て、将来現有の8割のデベロッパーは消滅する可能性がある。それは老舗であろうが、新興であろうが関係なく、つぶれるものはつぶれる。頤和、銀億、上置集団、粤泰、三盛宏業など20年以上の歴史ある企業も今年、財務問題が起き、破産か破産の縁にある」と指摘する。マレーシアで海上都市「フォレスト・シティ―」造りを進めている碧桂園(カントリーガーデン)も、組織替え、従業員の削減、給与切り下げなどが迫られているという。

現在の住宅の需給状況はどうか。1998―2005年の間、毎年平均1億―5億平方メートル、2010−2018年には10億平方メートル以上、この20年では計177億平方メートルのスペースの住宅が販売されてきた。一戸当たりの平均的な広さを100平方メートルとすると、1億7000戸の住宅が売れた勘定だ。それでも、投機目的などもあって膨大な住宅が造られてきたため、空き部屋は目立つ。西南財経大学の研究センターが発表した「2017年中国都市住宅空き部屋分析」報告によれば、同年時点で全国の空き部屋は6500万戸にも達した。都市クラス別に見ると、一線級都市の空き部屋率は16・8%、二線級都市では22・2%、三線級都市では21・81%。三線級の中には、炭鉱による人口増を見込んで過剰な建設投資があった内モンゴル自治区のオルドス市のように、のちに町全体がゴーストタウン(鬼城)化した都市も含まれている。

同報告で経年変化を見ると、2011年の空き部屋率は18・4%、2013年は19・5%、2015年は20・6%、そして2017年には21・4%と、最近になればなるほど増えてきている。この現象は、住宅建築が進む一方で、バブルの影響による高値止まりで一般サラリーマンが手の出しにくい価格になっているほか、一人っ子政策を取ってきたことにより、結婚年齢で住宅購入を求める20−30歳台が少なくなったという原因もある。また、農村工作領導小組副組長で弁公室主任の陳錫文氏によれば、2018年上半期の時点で、大中都市の空き屋率は11・9%、小都市では13・9%、農村では14%と地方に行けば行くほど空き部屋は目立つという。農村では居住者の収入も低く、まだ高値止まりしている物件を買う余裕がないし、農村物件では投機的な魅力もないのだ。

不動産、住宅が売れなくては、企業は成り立たない。債務の償還時期が迫れば、企業は値下げしても売らなくてはならない。そこで「投げ売り」とは言わないまでも、相当な減価で販売しているようだが、この辺の数字は公にされていない。業者だけでなく、すでに購入している人も資産価値を減らしたくないので、減価の幅を公表しないよう求めているからだ。党中央経済工作会議で「穏当な地価、住宅価格」が強調されたことで、不動産業は来年も健全に推移していく可能性が高い。ただ、既設の住宅が多く残され、住宅市場は「供給が需要を超える」状態が続くため、10年後には住宅価格は3割程度落ちるという説も出ている。今や、借金をして購入しても、賃貸に出せば儲けられるといった状況にはない。このため、市況は落ち着きどころか、住宅複数所有者の手放しも始まって、下落傾向になる可能性も否定できない。