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チャイナ・スクランブル

世界覇権姿勢露わにした中国に、インド、欧州が一帯一路、5G建設で反発強める(下)
2020-08-17. 日暮高則
<アフリカ>
中国は歴史的に「第三世界に依拠する」外交を標榜してきたため、アフリカなどの発展途上国との関係を重視し、各国に多額の経済援助をしてきた。米AP通信が4月初めにガーナ財政相の話として伝えたところによると、アフリカ諸国で中国から借款を受けている総額は1450億米ドル、このうち今年中に償還期限を迎える額は80億ドルであるという。ただ、途上国の国々は債務を返済するのが難しく、必然的に自国の権益を中国に譲り渡す状況も生まれている。トランプ米政権は近年、アフリカ諸国に対し「債務の罠に陥るな」と説得し、中国とアフリカ諸国の離間を図ってきた。このため、中国も対抗措置を取らざる得なくなり、6月に開かれた中国・アフリカ首脳によるテレビ会議サミットの席上、発展途上国77カ国への借款について償還繰り延べの方針を明らかにした。

中国側はこの繰り延べに対し、「新型コロナウイルスで途上国が苦しんでいるから」と理由を述べ、今後も引き続き物資を提供し、医療支援も続けると約束した。そして、G20サミットの際には、中国から参加国に同様の繰り延べ措置を取るよう伝えると宣言した。中国のアフリカ向け借款は、一帯一路構想で習近平政権の威信を高めるため、つまり政治的な意図の下で出されたものだったから、なかなか無理な償還要求はしにくい側面もあるようだ。北京の経済オブザーバー仲大軍氏は「貧困債務国に対する償還猶予は中国にとってやむを得ない選択。一部の国は返したくとも返す金がないだから、猶予してもどうしょうもない」と述べ、事実上、中国側は償還をあきらめている様子もうかがわせた。

ある米経済アナリストは「今回の措置は、中国が更なる危機を避けるためには妥当な選択だった。中国は国際社会で政治的な盟友を得るために必要な代償であった」と指摘した。「更なる危機」とは、中国が対外拡張的な現在の行動によって国際的な孤立を招きかねないことを指摘しているのであろう。そうであれば、なおさらアフリカの存在は大きい。ブルンバーク通信も「アフリカ諸国は中国にとってはビジネス上の利益以外の、もっと大きな政治資本という意味合いがある。国連の4分の1の勢力を持つアフリカ諸国の多くが中国の盟友である。現在、欧米とは関係悪化の状態にあるのだから、中国がこれらアフリカ諸国を見放すことはできない」と論評している。

6月末に開かれた国連人権理事会で、香港の国家安全法に対する賛否を問うたところ、反対したのは27カ国だったのに対し、約2倍の53カ国は中国の立場を支持して賛成した。賛成に回ったのは、アフリカや中東、ラテンアメリカの発展途上国が多く、これらの国々はいわば中国の国際的孤立を防ぐ手助けの見返りに、中国から多額の援助をせしめている面がある。中国の対外勢力圏の拡大という観点からすると、一帯一路、AIIB投資は経済的にはともかく、政治的には確実に成果を上げているのかも知れない。