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チャイナ・スクランブル

景気先行き不安から中国でP2P金融仲介業者が破綻し、投資家の返還要求活動続く(下)
2018-10-10. 日暮高則
P2P金融平台ではもともと悪徳業者も多かった。古くは2015年に一網打尽にされたP2P企業「e租宝」が有名。平台に掲載された投資案件はほとんどねつ造だったが、ネズミ講的手法で全国90万人から500億元の資金を集めた。これは完全な詐欺事件であり、主犯格の男2人に終身刑が言い渡されている。今年7月には、深圳のP2P平台「投之家」運営業者が「不法に資金調達している」と当局に摘発され、首謀格が逮捕された。「投之家」はP2P専門情報サイト「網貸之家」がバックに付いた平台だと言われていたため、投資者に信用され、延べ287万人から約266億元の金を集めたとされる。だが、掲載案件の多くはねつ造だったようで、いまだに100万人が投じた28億元が回収不能状態にあるという。

杭州に本部があるP2P企業「票票喵」は8月早々に破綻したが、9月初めに女性投資家が自殺するという悲劇まで引き起こしたことでとりわけ悪名が残った。この女性は浙江省に住む王倩さん(31)で、彼女は票票喵平台に掲載された案件に4万米ドルをつぎ込んでいた。資金回収できなくなって警察に訴えたものの、相手にされなかったようだ。悲観した王さんは父母あてに、「企業の株主は責任を取ろうとしないし、警察方の調べも遅い。私はごく小さな存在であり、彼らと戦うことはできない。(投資金回収に)何の希望も持てないし、疲れた」との遺書を残し、首吊り自殺した。票票喵の破綻によって、投資者4000人が投じた1億1700万米ドルが雲散霧消したという。

票票喵は8月初め、自社サイトに業務停止に当たっての告知文を掲載している。それによると、「われわれは2016年2月の営業開始以来、多くの利用者の信頼と支持を受けてきたが、このところ、P2P金融業の生存環境は徐々に悪化。投資者の信頼度も低下し、大量解約が相次いで資金流出が激増した。借り手側にも証券類を紛失させるなどの悪意ある行動が見られ、わが社の経営に重大な影響を与えた。このような状況下では、業務継続は難しいと経営陣は判断した」と書いている。米中貿易摩擦による景気の低迷でレバレッジが縮小、高配当の可能性が消えたことを強調し、さらに貸し手側が投資マインドを下げたこと、借り手側にも返済意思の見えない不正行為があったことなどを理由に挙げている。提示物件がねつ造であったとは書いていない。

だが、亜洲週刊によれば、今年上半期に問題を起こした平台の3割以上の提示案件はねつ造であったり、過大広告であったりだったという。本来なら、資金を欲しがる個人、企業が平台の掲載を仲介業者に申請してきた時、業者はその案件に対し厳格な事前審査を行い、その後に貸し手側に紹介するのだが、このルールはほとんど守られていない。それどころか、多くの仲介業者は、緊急に回転資金を必要とした場合などに、実に“おいしい”短期、高配当の虚偽案件を掲示して客をだまし、金を自らの懐に入れている。常識的に見て考えられないような貸借条件であっても、平台運営企業の親会社が上場企業であるなどと宣伝されると、投資者は信じてしまうようだ。

なけなしの虎の子を持ち出した一般投資家にとって、P2P金融平台が破綻したからといって投資金を簡単に諦められるものではない。投之家事件の時は、投資者約400人が深圳市政府に押しかける事態となった。一部は他のP2P被害者と連携、北京に行って銀行業監督管理委員会に上訴する動きも見せた。票票喵の場合、8月末に、数百人の被害者が抗議のために上海に集結した。「私は来月、3歳の子供の幼稚園費用も払えない」などと訴える人もいたが、警察によって強制的に解散させられた。10月1日からの国慶節休暇の時期を迎えて、小口投資家たちは却って動きが取れやすいと、北京、上海、広州、深圳の大都市に集結。デモ・集会などを持って、世間にP2P金融の理不尽さをアピールしている構えを見せた。

これに対し、公安当局は抗議、陳情者をなるべく大都市に集結させないように電車、地下鉄などの駅頭、バスターミナルで規制するとともに、陳情者を大型バスに乗せ、強制的に帰郷させている。とりわけ、北京での監視は厳重だ。当局がこれだけ厳しく対応するのは、不満を持った一部の投資家がSNS「微信」などで団結して共同行動を呼びかけ、政府に何らかの措置を取るよう要求していると言われるからだ。もしも北京などで大規模なデモ・集会が実現したら、それがいつ反政府行動に転換するか分からない、非常な危険な情勢を作り出す恐れもあると当局側は懸念している。

また、最高人民法院は9月、昨年来各地で設立されているインターネット裁判所(互聯網法院)でP2P金融のトラブルを扱わないことを宣言した。もしも扱った場合、訴訟数はかなりの件数になるし、脆弱な業者が多いので被害者への救済措置も十分に行われない。その結果、却って状況を悪化させてしまうと当局は予測しているのであろう。結局、被害者は、これまでの金融詐欺事件と同様に、あくまで個人の注意義務違反ということで泣き寝入りするしかないようだ。