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蔡英文再選に黄信号が点り、混沌としてきた来年の台湾総統選−柯文哲氏出馬が注目点(下)
2019-02-13. 日暮高則
国民党の方はどうか。前回総統選挙で蔡英文女史に敗れた朱立倫元新北市長(57)が雪辱を期して再出馬表明した。ただ、選挙ではほぼダブルスコアの大差を付けられたことが党員の鮮烈な記憶として残っているためか、支持への盛り上がりに欠ける。現党主席である呉敦義氏(71)も出馬のチャンスをうかがっているようだ。彼は民進党の地盤である南部高雄市の市長経験があるほか、馬英九総統の下で行政院長や副総統を務め、一級のキャリアを誇る。ただ、それだけに“手垢の付いた”政治家といった印象はぬぐえない。「最後は総統で終わりたい」と本人は強い意欲を持っているようだが、熱烈な支援態勢は組めないのではないか。

さらに下馬評に上がっているのが、間もなく78歳になる王金平元立法院長だ。高雄の農村出身で、高校教師から若くして立法委員になった。連戦、馬英九両元主席ら大陸出身の幹部が多い国民党の中で、彼は珍しく民進党員とも親しい本土派だ。最近、「橋」という題名の著書を出版したが、このタイトルの由来は院長(議長)として民進党と国民党の橋渡しをしてきたという自負の思いが込められている。香港誌によれば、王氏は、人気上昇中の地元高雄市の韓国瑜市長(61)の支持を期待して出馬する可能性が高いという。ただ、国民党内では馬英九前総統と王金平氏の不仲は有名で、もし王氏が出馬すれば、馬氏が必ずつぶしにかかるとも言われている。その馬氏も最近、「八年執政回顧録」と題した本を出版しており、執政時代の素晴らしさを吹聴している。あわよくば、自身の再出馬の可能性を探っているという説もある。

実は国民党員の中で、一番期待度が高いのが他ならぬ高雄市新市長の韓国瑜氏だ。マスメディアは地方選挙時ばかりでなく、当選後もずっと韓氏の一挙手一投足に注目し、報じている。それによれば、大陸福建省の企業家団体が高雄市の農漁業生産物をコンテナにして55個分(総額約71万米ドル)購入し、直通ルートで送らせたという。今後も台湾−中国南部の流通が増えれば、南部経済は活況を呈する。さらに、高雄の不動産を大陸客にも積極的に販売しようとの動きにも出た。陳水扁総統の時代に、大陸人による台湾の不動産購入は可能になったが、厳しい制限が設けられていた。馬総統は緩和措置に動いたが、蔡総統になって再び規制された。韓市長はこれを高雄に限って再び緩和しようと言うのだ。「この経済救世主ぶりを全島で示してほしい」とばかりに、一部の党員は、市長を中途で辞任し、総統選に出るよう求めている。国民党の候補者は5、6月ごろに決まる見込みだ。

もう一人、総統選出馬がうわさされているダークホースがいる。政党に所属しない台北市長の柯文哲氏(59)だ。彼は、昨年の統一地方選で国民党、民進党両候補を破り、再選されたばかり。韓国瑜氏と同様に、本来は市長職に専念し、総統選など考慮する立場にないのだが、本人はかなり乗り気だとも言われている。ただ、懸念材料がないわけではない。今年1月27日に投開票が行われた立法委員の台北市補選で、柯文哲氏が推した無所属候補者、陳思宇女史の獲得票が民進、国民両党の候補者に遠く及ばなかったことだ。政治アナリストなどはこれを見て、「組織動員力がない無党派の限界。柯文哲氏が総統選に出るなら、政党を作らなければならない」と指摘している。

柯氏も動員力の欠如、個人人気だけに頼る選挙の限界を感じたようで、ひそかに周辺の支援グループに政党、組織作りを指示したと言われる。地方末端までの組織作りは一朝にできるものでないので、来年総統選には間に合わないが、将来自らが総統の地位に上がった場合、立法院内与党の支援態勢が絶対必要になってくるからであろう。それはともかく、選挙まで1年を切った今、総統選への態度表明は早々にしなければならない。柯氏は「フランス大統領に当選した際のエマニュエル・マクロン氏を見習って無所属にこだわり、態度表明はギリギリまで行わない。民進、国民両党の候補者が出そろったあとの今年6月以降に考える」との意向だと言われる。

この”余裕“の姿勢は依然民意調査などで示される彼への個人的人気度の高さが背景にある。米研究機関の依頼で国立政治大学が実施した民意調査によると、来年総統選に柯文哲氏と国民党・朱立倫氏、民進党・蔡英文女史の3人が出馬するとの想定で有権者に聞いた場合、柯氏が38・7%のトップ、朱氏が21・5%、蔡女史が15・3%となっていた。TVBSテレビの1月23日の最新調査では、柯文哲氏の支持率が36%、朱立倫氏が30%、蔡英文氏が15%。蔡女史の代わりに頼清徳氏が立った場合でも、頼氏の21%、朱氏の29%に対し、柯氏は33%で尚トップだった。この数字を見れば、柯氏が総統選に大いなる色気を持つのは当然だ。

ただ、民進党にしろ、国民党にしろ、候補者はまだ固まっていない。朱立倫氏の代わりに韓国瑜氏が出馬したら、また別の数字が出てくるだろう。さらに今後一年、大陸中国の出方、米中貿易戦争の行方なども選挙情勢に大きな影響を与えるだろう。来年総統選までまだまだ混沌状態が続きそうだ。