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華北の「外国」建築をあるく

第36回 世界の巨大設計事務所の競演:北京CBD(1)
2018-07-30. 東福大輔
 中国の庶民にとって「CBD」という言葉は他の国の国民よりもポピュラーなものなのではないかと思う。というのは、北京はもちろん、どの地方都市に行っても、「今後もCBDは発展していきます」「CBDを清潔に保ちましょう」といったスローガンを謳う看板を目にするからだ。CBDとは「Central Business District」すなわち「中央業務地区」を意味する都市計画の専門用語である。初めて看板を見たとき、ツレの中国人にその意味を聞きかけて、学生時代に受けた都市計画の授業を思い出した。同時に、計画経済、生産計画、都市計画…そういった政治的な「計画」がスローガンにのって庶民にまで浸透している国なのだなぁと腑に落ちたのである。もっとも、当の庶民は無意識であろうけれども。

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建国路、華貿橋付近より西を見る。中央の一番奥に見えるのが「中国国際貿易センター」。
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国貿三期、外観。数十メートルごとに構造・外装が切り替わってゆく。
 当初、北京CBDは天安門から見て東、地下鉄国貿(グオマオ)駅の周辺だけだった。1985年にその中心に建てられたのが日本最大の設計事務所、日建設計による「中国国際貿易センター」である。焦げ茶色の熱吸収ガラスで覆われたこの建物は、会議場、オフィス、ホテル、ショッピング・モールを合わせた巨大複合施設であるが、周囲に現代的なビルが立ち並ぶ今となってはいささか見劣りしてしまうような仕様となっている。特に、会議場のエントランスも兼ねたショッピング・モールは天井が低くて薄暗い。ここで行われるコンベンションは依然として中国を代表するようなステイタスの高いものが多いだけに、なんとも残念だ。

 そのような不満を解消すべく、センターの第三期拡張として2009年に竣工したのがすぐ北側のブロックの「国貿三期」である。現代的な大型ショッピング・モールの傍に立ち上がるオフィス・タワーは地上330メートル、74階建て。設計はアメリカ最大の建築設計事務所であるスキッドモア・オウイングス・アンド・メリル(SOM)で、途中で構造や外装を切り替えつつ、上に向かってすぼまってゆくフォルムの中に全ての機能を押し込んでいる。

元来オフィスの機能は執務室が殆どで、代表的な階(「基準階」とよぶ)の平面を十分に検討すれば良いように思われるだろうが、超高層ビルになると様々な設計条件が増えてくる。 高さ100メートル以下ごとの空調機械室や、十数階ごとに法規が要求する「一時避難階」を備えなければならないし、客用エレベーターは出勤ラッシュ時の交通量を満足せねばならない。SOMは、「東京ミッドタウン」や「上海環球金融中心」など、世界の高層ビルで培った超高層の設計ノウハウを総動員して、諸条件をプロフェッショナルに「解ききって」いるのである。

近くには以前紹介したOMAによる「中国中央電視台(CCTV)本部ビル」が建つが、これは同様の諸条件を力技で解決していったものだ。アメリカの「プロフェッショナル」とオランダの「力技」…これら二つの建物は、三環路を挟んで好対照をなしているが、そこに今まさに、中国オリジナルの超高層が加わろうとしている。北京市建築設計研究院が設計する「中国尊(China Zun / CITIC Tower)」がそれだ。高さ528m、108階建ては、国貿三期の記録を一気に200m近く更新するものだ。今まで何度か触れてきたが、外国人設計事務所が中国でプロジェクトに携わる場合、必ず中国国内の設計院と協働しなければならない。中国の設計ファームは、外国人との協働によって吸収してきたノウハウを今まさに放出しようとしているのである。

<中国国際貿易センター>北京市朝陽区。北京地下鉄1号線国貿駅下車、徒歩1分。
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