topics & News to Home
霞山会とは
月刊『東亜』
講演会・シンポジウム
中国への研究留学
日本への研究留学
東亜学院中国語学校
東亜学院日本語学校
日中交流
霞山会館
交通案内
各種お申し込みForm

■中国マクロ経済分析
 慶應義塾大学駒形研究会

■霞山学生会
■リンク集
■サイトマップ
一般財団法人霞山会
東京都港区赤坂2-17-47
赤坂霞山ビル
TEL.03-5575-6301
FAX.03-5575-6306

2011年韓国

野党民主統合党の敗因
2012-05-25. 奥薗秀樹
総選挙をめぐっては、当初圧倒的有利との見方が支配的であった野党民主統合党が、事実上の“敗北”ともとれる結果に終わったことについても分析しておく必要がある。

まずは党公認候補の選定をめぐる内部葛藤である。民主統合党はそもそも、野党第一党の民主党が一部の強い反対を押し切って、親盧武鉉グループが主導する市民統合党、韓国労働組合総連盟と統合する形で結成された。盧武鉉政権の韓明淑元国務総理が代表に選出され、ノサモ代表を務めた文盛瑾や、盧武鉉の盟友で大統領秘書室長を務め、次期大統領選の有力候補の一人と目されている文在寅盧武鉉財団理事長の存在も相俟って、党内では親盧系が主流派を形成し、主導権を握ることとなった。

これに対して、金大中政権の流れを汲む“本流”を自認しながら非主流派に追いやられた形の旧民主系(湖南系、東橋洞系)が警戒を強める中、公認候補の選定が行われ、盧武鉉政権の与党ヨルリンウリ党系や親盧系の現職・元職の多くが推薦されたのに対し、金大中政権期に要職を務めた東橋洞系が脱落するケースが相次いだ。候補選定に絡む不正疑惑も提起され、親盧系執行部による公認作業を通した“湖南殺し”であるとの声があがる等、両派間に深刻な確執が生じる事態となった。

両派間の軋轢は、盧武鉉政権誕生後に、親盧勢力が与党新千年民主党を離脱し、ヨルリンウリ党結成に至る経緯にまで遡るもので、東橋洞系・湖南系の味わった背信感には根深いものがある。ソウル首都圏に多く在住している全羅道出身者が親盧系主導の民主統合党にそっぽを向くことになれば、その影響は甚大なものとならざるを得ない。そして何よりも、繰り返される内紛は、同党が旧態依然とした体質から抜け出せないでいることを露呈し、既存政治自体に不信感を募らせる有権者の失望を買うことになった。

次に、“左クリック”と言われる選挙戦略がもたらした影響である。民主統合党が掲げた政策は統合前の民主党より明確に進歩色を強めていた。市民統合党や韓国労総との統合によって結成された以上、それは当然であった。そしてさらに、総選挙をひと月後に控えて民主統合党は、民主労働党、国民参与党、新しい進歩統合連帯の三者統合によって結成された左派色を最も鮮明にする進歩政党、統合進歩党との選挙協力に乗り出したのである。こうした相次ぐ左派進歩勢力との統合連携は何れも、総選挙で過半数を獲得し、反与党勢力の総結集によって一気に政権交代を実現せんとするシナリオを念頭に置いたものであった。

野党にとって今回の総選挙は、「政権審判論」で挑むべきものであった。ところが、批准済みの米韓FTAの政権交代による破棄や、済州海軍基地の建設反対といった主張は、進歩勢力との連携協力の為には必要不可欠なものであったが、何れも盧武鉉政権が積極推進を主唱していたものであるだけに、国民への説得力ある説明が困難であった。セヌリ党朴槿恵非常対策委員長による「巨野牽制論」や「未来選択論」は、こうした野党の政策の“左シフト”に揺さぶりをかけるもので、左傾化する野党が国政を牛耳る事態の危うさと国家の将来に警鐘を鳴らすものであった。“左クリック”が、政権与党に批判的な一方、理念対立や混乱を好まず、安定志向を強める穏健中道層の離反を招いた可能性は否定できない。

最後に、ポッドキャストの時事トーク番組「ナヌンコムスダ」のコメンテイターとして高い知名度を誇る金容敏候補による、高齢者や女性、キリスト教団体を中傷する発言の数々は、候補個人の資質はもとより、それを庇護して切ろうとしない民主統合党の良識を問うものとなり、有権者を失望させる決定打となった。