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韓国百名山

第52回 済州島にそびえる韓国最高峰 漢拏山
2019-04-19. 森正哲央
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朝鮮半島で北を代表する山が白頭山なら、南を代表するのは、広大な山裾をともないそびえる済州島の漢拏山といえよう。韓国では、朝鮮半島や朝鮮民族を指して比喩的に「白頭から漢拏まで」と言うことがよくある。風水地理説では、中国から発した生気が白頭山に溜まり、智異山を通り、南端の漢拏山(あるいはその先の日本)まで流れているとされる。漢拏山は韓国人の国土観に大きなウェイトを占めている。

頂上部のカルデラ湖、白鹿潭があり凹んだように見えるので頭無岳、このほか釜岳、鎮山、仙山、浮羅山、穴望峰、女将軍など多様な名で呼ばれた。瀛洲山の名は、不老不死の果樹が育つ三神山(蓬莱山・方丈山・瀛洲山)の一つで、漢拏山は金剛山、智異山とともに韓国三神山の一つとなっている。瀛州は済州島の古名でもある。

1966年に漢拏山天然保護区域、70年に国立公園に指定され、2007年には自然遺産としては韓国で唯一、世界遺産に登録された。登山コースは、北の観音寺(8.7キロ)と東の城板岳(9.6キロ)、西の御里牧(4.7キロ)、南西の霊室(3.7キロ)、南のトンネコの計5コースがある。このうち、白鹿潭を望むことができるのは北の観音寺と東の城板岳の2コースだけで、残りは1600m地点で入山規制のため行き止まりとなる。南傾斜は急で、北は比較的になだらか、東西は平らだが距離がある。今回は霊室から登り御里牧へと下った厳冬期の山行を紹介したい。

先ずは、済州島の南に位置する西帰浦の街から霊室へと向かう。中文行きバスを中文三叉路で下車、タクシーに乗換える。中文三叉路から霊室入口へ行くバスもあるが、始発は9時過ぎとかなり遅い。第二横断道路(通称1100路)を走ること15分、霊室入口三叉路でタクシーを降りる。本来なら三叉路を右折して4.9キロ先の霊室休憩所(1280m)まで車で入れるが、道路が氷結している冬季は、チェーンなしでは上がれない。だが、歩き出そうとしたところ、ちょうど通りかかった車がひろってくれた。

霊室コースは距離が短いが傾斜がきついことで知られる。霊室の名は釈迦仏が法華経を説いたとされるインドの霊山・霊鷲山にちなむ。霊室休憩所は朝早いためか閉まっていた。赤松の林を抜け道順川にかかる橋を渡ると、潅木が疎らな急坂となる。眺望が広がり、右手に霊室奇岩(名勝84号)と屏風岩が姿を現す。雪を被った黒い絶壁は、人を寄せつけない迫力に満ちている。さまざまな形の岩が羅漢にも見えると、霊室奇岩は五百羅漢、五百将軍とも呼ばれ、「瀛州(済州)12景」の一つにも挙げられる。東に目を転じると、山裾のセオルムとポッレオルム(側火山)がおわんを伏せたようにぽっこりと隆起している。

傾斜はきついが風景に見惚れているうちに、屏風岩の上部まで苦もなく到着。ソウルから来たという夫婦と挨拶を交わす。道は平坦となり、迷路のようなチョウセンシラベの群生地を抜けると、青空のもと、青黒い西北壁が立ちはだかっている。以前は西北壁にもルートがあったが、岩壁の風化が激しく落石なども頻発したため1986年以降、閉鎖されたそうだ。

樹林を抜けたところで朝、車に乗せてくれた3人組と再会。さきほどの夫婦も来て、ひとしきり話に花が咲いた。みんなからパンや蜜柑をもらう。左手にウィセオルム(1714m)を見ながら雪原を進む。

空の青と雪の白の2色の世界で、眼下には雲海が広がり、道の目印は、数十メートル間隔で立っている竹竿の赤旗だけ。前を歩いていた女性が携帯で「すごいファンタスティックな世界!」と報告しているのが聞こえてきた。オルムに沿って左にカーブしながら進むとウィッセオルム待避所が見えてくる。ここが霊室と御里牧コースの実質的な終点となる。

帰りは御里牧コースを下る。4.7キロと距離が短いうえに緩やかなので人気のコースだ。静かな霊室コースとは反対に、登山者が列をなし登ってくる。観光ついでというような軽装の人も多い。マンセ丘を過ぎ、1424mのサジェビ丘までは見晴らしの良い高原の道。一帯は4月から5月にかけてカラムラサキツツジが、6月にクロフネツツジがピンクの花畑を演出する。訪問客も春が一番多いそうだ。

サジェビ丘を過ぎたら、ハリギリ、イチイ、カナクギノキなどの樹林に入り、急に傾斜がきつくなる。35分も下り、無水川にかかる橋を渡れば、駐車場はもう目と鼻の先。御里牧登山口の探訪案内所は資料館を付設し、漢拏山の地形や生態を紹介している。駐車場から10分ほど下るとバス停で、済州バスターミナルまでは30分所要。冬期の入山時間は御里牧と霊室が12時、観音寺と城板岳が9時まで。
 
●アクセス(バス)
・済州市〜御里牧〜霊室切符売場〜中文三叉路 1日8本(冬季は7本)8時〜16時(冬季は15時)