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アジアの今昔・未来

第512回
アフガニスタンの和平とタリバン

2020-03-29. 直井謙二
侵攻した旧ソビエトと対抗するイスラム武装勢力の戦闘で始まったアフガン紛争。80年代は紛争で祖国を追われた難民が収容されているアフガニスタンの隣国パキスタンのペシャワール難民キャンプ取材が忙しかった。

首都イスラマバードにあるプロダクションの日本人女性社長からペシャワールに中村哲という医師がいて難民を支援しているときに訪ねたのは30年以上前のことだ。護衛も付けず中村医師は一人で約束の場所に現れた。小柄で飾らない中村医師はペシャワールでの活動について淡々と語った。



昨年、中村医師が武装勢力に殺害された。その死を悼むとともにアフガンの紛争の長さを振り返った。冷戦崩壊の直前に旧ソビエトが撤退し和平が実現するかに見えたが、共通の敵を失ったイスラム武装勢力は7つのグループに分かれ主導権争いを繰り返し、内戦状態に突入した。イランの支援を受けるヘクマティアル派のリーダーのヘクマティアル氏にインタビューしたが、原理主義者らしく他派の勢力が抹殺されるまで戦うと決意を語り和解が難しいとの印象を持った。

隣国パキスタンで学ぶ学生らが母国の内戦を憂いて設立された新たな武装勢力タリバンは急速に勢力を伸ばし、ほかの武装勢力を抑えてほぼ全土を掌握、タリバン政権が樹立された。
タリバン政権時代の2000年1月、インド機ハイジャック事件でアフガンのカンダハル空港に取材に入った。(小欄 第38回タリバン兵士と眺めたY2K初日の出)

内戦で破壊されたカンダハル空港で野宿したが、食料を持参できず空腹の筆者とカメラマンにタリバン兵はナンとミカンを手渡し、今はラマダン中だが異教徒は昼でも食事できるから遠慮なく食べろと促した。(写真)零下5度まで冷え込む空港のコンクリートの床で野宿する筆者にタリバン兵士は発砲スチロールの敷物を与え、ストーブの脇を譲ってくれた。

バーミヤンをはじめとする遺跡は古来アフガンがシルクロードの要衝だったことを物語っている。ラクダを駆ってやってきた遠来の客をもてなす伝統がタリバンにも引き継がれていると感じた。

ブッシュ元大統領の時代に始まったアフガン戦争は終結せずトランプ大統領も公約のアフガンからの米軍の撤退の実現に苦慮している。自国の利益を守ろうと一旦軍が動き出せばなかなか撤退することが難しいのは歴史が語るところだ。

「軍事力があれば身を守れるというのは迷信だ」中村医師の言葉を思い出した。和平交渉に期待したい。