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アジアの今昔・未来

第527回
コロナウイルス禍の2020年夏

2020-09-08. 伊藤努
年初には予想もしなかった新型コロナウイルスの感染拡大が日本だけでなく世界中で社会的、経済的な混乱を巻き起こしている。すでに60代の筆者にとっても、子供の頃のコレラの大流行が日本社会に深刻な影響を及ぼし、最近では新型インフルエンザの感染が大きなニュースになったことなどを鮮明に記憶しているが、新型コロナウイルスの猛威はこれらの比ではない地球的規模の疫病として人類の前に立ちはだかっている。人類の誕生以来、ヒトとウイルスは長い間、基本的に敵対関係にありながらも、人間の側が免疫システムで抗体を獲得したり、近現代にはワクチンで感染を抑制できたりと、ある程度は共生が可能な関係が構築できつつある。

そうした折に出現した今回の新型コロナウイルスは、人類にとっては手ごわい未知のウイルスが依然として存在し、ヒトやモノの移動が迅速かつ世界的規模になったグロバール化時代の現代には、20世紀初めの第一次世界大戦の際に大流行したスペイン風邪(当時の新型インフルエンザ)のような深刻な疫病が起こり得ることを物語っている。

新型コロナウイルスは、感染拡大を防ぐためのさまざまな規制や自粛措置が講じられ、教育現場でも保育園・幼稚園から始まって、小中高・大学でも4月の新学期前後から休校措置が取られ、学びの場はかつてない混乱に陥った。教育の場はやはり、先生(教師)と生徒(学生)の対面による学習が基本であり、インターネットを活用したオンライン授業を普及させる好機だという声はありながらも、その弊害も専門家から種々指摘されている。

今回の新型コロナウイルスについては、感染の予防や感染の回避につながるワクチンなどの特効薬の研究開発にかなりの時間がかかるため、この感染症との共存や共生を意味する「ウイズ・コロナ」あるいはコロナウイルス後の日々の過ごし方を描く「新しい生活様式」がさまざまに推奨されているが、新型コロナウイルス以前の日常を修正する必要のある「ウイズ・コロナ」の生活にはかなりの息苦しさを感じている人は多いのではないか。

今年のお盆休みの時期は、感染拡大を恐れて地方への帰省や遠方の観光地への旅行を控えた家族が多かったようだが、筆者が時々訪れる都内の郊外にある自然公園やその近くを流れる小さな清流には、虫取り網や小魚を捕まえる網・かごを手にした家族連れがいつもよりたくさん繰り出していた。公園には、家族用の小さなテントも張られており、即席のアウトドア生活の試みなのだろう。虫取りに関心がなさそうな親子連れは、バットにボール、あるいはサッカーボールなどを持参し、草地の広場で懸命に汗を流していた。

筆者は小学生の時分、親戚のおじやおば、きょうだいなど一族が数台の車に乗り込んで、数時間かけて奥多摩の渓谷に日帰りの遊びに出掛けたことがあり、釣りや水遊びなどまる一日、自然の中で過ごしたことをいまだに鮮明に覚えている。

自然公園や近くの清流で親子やきょうだいと共に過ごした自然の中での遊びの記憶は、楽しげな様子の子供たちが大きくなったとき、新型コロナウイルスという疫病の影響を被った自らの変則的な学校生活とともに脳裏に深く刻み込まれるに違いない。