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ベトナム 生活図譜

第18回 ベトナムの団地
2018-08-21. 竹森紘臣
現在、ハノイでもホーチミンでも建設ラッシュである。特に高層アパートメントの建設がさかんだ。

ハノイの高層アパートメント建設は主に都心から少し離れた第2環状道路の外側で行われており、雨後のタケノコのようにニョキニョキと立ち並んでいる。日本のそれと比べると隣棟間隔がせまく、びっしりと建てられているように見えるが、それでもまだその間に新しい建物が所狭しと建て続けられていて、てっぺんにクレーンを載せたビルが日々その高さを競うように伸ばしている。(写真1)

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立ち並ぶ高層アパートメント(ハノイ、ベトナム)
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Gian Vo 団地(ハノイ、ベトナム)
この建設ラッシュは地方から都心に流入する人口を支えるためのものでもあるが、ベトナムで急速にすすむ核家族化によってハノイ中心部に親と同居していた若い夫婦が新たに居を構えるためのものでもある。また、都心の町屋型の住宅では日照や自然通風などが十分に確保できないため、よりよい環境を求めて郊外の高層アパートメントに移り住むケースもおおいようだ。都心の町屋型住宅では大通りに面している場合はよいが、すこし裏の路地に入ると窓先が1mもあいていない住宅がたくさんある。

さらに2014年に改正土地法が施行されたことで、外国人でもアパートメントが購入できるようになると、海外からの投資が増えてさらに建設が加速した。実際におおくの外国人が完成したアパートメントを投資用に購入している。

これだけ建設が増えてくると各ディベロッパーの間の競争も熾烈になる。他社との差異化のため外国人建築家に設計や監修で参加をしてもらい、それを「売り」として販売をするのである。ホーチミンの2区では日本人建築家の隈研吾氏がコンセプトデザインを手がけたアパートメントが建設されているが売り出してすぐに完売した。
一方で古くから都心に建設された集合住宅も残っている。1970年代から1980年代に公共住宅として建設されたもので日本でいうところの団地に近い。これらはベトナム戦争中や戦後間もないころにハノイに集中した官僚や軍人のために用意されたもので、ソ連の計画技術を導入したものがおおい。団地敷地内には学校や幼稚園、運動施設、市場、病院などが計画され、社会主義の住区理論をそのまま再現したような計画であった。

集合住宅はソ連から導入された大きなコンクリートのパネルを組合わせる工法で建設され当時としては最先端であったが、室内の間仕切壁がおおく風通しがよくないのでベトナムの気候にはあまり向いていない。これらの集合住宅は住民たちによって改築、主にバルコニーの部分に増床されており、そのデコボコと箱が外壁から飛び出ている様子やそこに飾られる色とりどりの植栽で、現在ではハノイの町並みを特徴付ける一つの要素となっている。(写真2)

しかし、これらの集合住宅は老朽化が進み、住民の自由な改造により構造補強なども難しく、現在建替えの計画も検討されているようだ。

やはり誰もが新しく建てられた住宅に住みたいと思うのが当然であり、ベトナムの「懐かしい団地の風景」はもうしばらくすると姿を消してしまうかもしれない。
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ハノイ団地