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ベトナム 生活図譜

第23回 ベトナム現代住宅事情
2019-01-30. 竹森紘臣
第18回の「ベトナムの団地」でもご紹介したが、ベトナムは現在まさに建設ラッシュで空の隙間を埋めるように毎日至るところで工事が続いている。ハノイ市の第二環状線沿いに流れるトーリック川の西側は現在でこそミーディン新都心として開発されているが、十数年前まではこの川がハノイの都市のエッジとして認識されており、その外側であるミーディン地区は農村であった。このエッジを境にその外側は新しく開発された場所で高層建築が立ち並ぶ。

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高層マンション足下のショッピングモール(ハノイ、ベトナム)
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ハノイモデル、モデルハウス(ハノイ、ベトナム)
高層マンションはほかのアジアの国々と同様に地上3‐4階までの商業部分の上に住宅棟が計画される。大規模なものになると大きなショッピングモールを基壇として数本のタワーが建てられる。地下は2階ぐらいまでがショッピングモールの一部になり、その下の地下3‐4階に巨大な駐車場、駐輪場が計画される。ショッピングモールには地下に巨大なスーパーマーケット、その上に有名チェーンのカフェやレストラン、アパレル店舗などが入るが、今のところその内容はどこも判で押したように同じだ。(写真1)

住居はだいたい2LDKから4LDKのタイプで計画される。数年前までは内装が工事されずスケルトンのままで販売されていたが、現在では内装まできっちりできあがったものを販売するのが主流だ。以前は購入後にオーナーがデザイナー兼現場管理人として内装を仕上げるのが当たり前で、オーナーが自ら簡単な図面を描き、建築材料屋さんをまわり、業者の手配をして現場で指示するというのが普通であった。しかし現在では昔のようにそのために会社を休むことも容易ではない。またディベロッパーにとっては他社との差をつけるために、より洗練された内装や設備のグレードをその宣伝材料として利用するためにプロに委託し、実際よりもきらびやかな内装完成図とハイグレードな設備で集客をするのである。

ハノイは1000年を越える長い歴史を持つ都市であるが、その中心部であり続けた旧市街やその周辺は人口密度が非常に高く、健康的な住環境の確保は長年の課題であった。90年代には「ハノイモデル」(写真2)として日本の建築家や大学が過密居住地域でどのように快適に住み続けるかを提案した。その提案では熱や風のコンピューターによる解析を用いて住みよい住環境モデルを設計するといったところにとどまらず、既存のコミュニティーや都市基盤を引き継ぎながらハノイという都市がどのように存続すべきか、というようなメッセージも込められていたように思う。この「ハノイモデル」はハノイ土木大学の敷地内にそのモデルハウスが建設されたのだが数年前に取り壊されてしまった。現在行われている住宅開発やマンション開発を否定することもない。新しい家族がおおく誕生し続けているこの国では住宅の供給は大きな課題でもある。過密により難しくなった採光や通風を解決してくれる。しかし供給されるその住宅は果たしてベトナムで伝統的に続いている文化に配慮したものであろうかという疑問が少しずつ呈されるようになってきた。現在建設されている住宅は近い将来は都市のストックとして残るものである。もう一度足下を見つめなおそうと都市計画を再考する政府の動きもあるようで、今後の新しいベトナムの住環境の発展が期待される。
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ハノイ周辺の開発地区