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ベトナム 生活図譜

第24回 ベトナムの暦と街並み
2019-02-28. 竹森紘臣
日本ではまもなく天皇陛下の退位により、平成という時代の幕が降ろされる。世界では西暦をつかう国が増えており、現在でも改元を行う国はアジアでは日本だけだという。世界の国々は中世以降、キリスト教の布教や植民地化の影響、また貿易をスムースに行うために西暦が浸透してきた。ベトナムも国の暦としてはいわゆる西暦が使われている。ただし、生活の面ではまだまだ旧暦の文化が残っている。なので、ベトナムでの生活や仕事をしやすくするためには、旧暦にしたがった行事やルールをを知っておくと便利である。月に2回、先祖を祀るためにお金を意味する紙を燃やすのは旧暦の1日と15日である。この日は家族で集まる日なので移動もおおく、なんとなく街中がそわそわしている。仕事でいうと旧暦の7月にものごとを始めるのはよくない、ということで契約ごとは7月にはしないなど、われわれ日本人からビジネス的な障壁にもなるような約束事もあるがベトナムの人たちはこれらのルールを非常に大切にしている。

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西湖で鯉を放す様子(ハノイ、ベトナム)
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旧正月前の市(ハノイ、ベトナム)
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お寺での初詣の様子(ハノイ、ベトナム)
ベトナムで売られているほとんどのカレンダーには西暦と旧暦が表示されている。このダブルスタンダードともいえる2つの暦が、われわれ外国人に、ベトナム人というものを理解しにくくさせている。この二重性はポストコロニアルなベトナムの特徴をよく表してるもののひとつではないかと思う。中国やフランスに長年にわたって支配されたり、ベトナム戦争時代には南部にはアメリカの傀儡政権が樹立する中で、いろいろな影響を受けつつも自国の文化や習慣を今になっても保っている理由は暦にあるのではないか。

さて、この暦による一番大きな行事といえば、やはり旧正月、テトであろう。テトとは「節」という漢字が当てられていた言葉で、中国でいう春節である。現在でも年齢を数え年でいう習慣がベトナムでは残っていて、みんなで元日にひとつ年をとるという意味で非常にめでたい日なのだろう。最近ではそれぞれの誕生日をお祝いする習慣が広まっているが、そうなった現在でもやはりテトは一年で一番大きなお祭りである。このテトの期間の始まりは旧暦12月23日の「かまどの神様の日」ではじまる。この日は竈の神様が天界に帰って一年の報告をする日で、ひとびとは神様のために紙でできた靴と冠を燃やし、その灰といっしょに鯉を近所の池に放す。(写真1)神様は鯉に乗って天界に登るといわれているからだ。この日からテトの準備が一気に加速する。街にはテトの飾りつけやお年玉袋などを売る市がたったり、テトのときに飾る桃の花や金柑の木が道に並べて売られて、街の雰囲気が華やかになっていく。(写真2)そして年が明けると初詣に出かけるところは日本の正月にも通じるところである。(写真3)

テトのほかにも中秋節や端午節などさまざま年中行事が行われている。中秋節には街中に節句のお菓子である月餅のお店が立ち並ぶ。歴史のある文化的なイベントで都市の風景が一年を通して移り変わるのは美しい。これらのイベントはベトナムの街を特徴づける大切な要素だ。一方でクリスマスなどの新たなイベントで街が賑わうのもよいのだが、これから廃れていってしまう行事もあるかもしれない。新しいものもよいのだが、ほかのどこにもないベトナムの素敵な街並みを守るためには、この暦を大切にすることが重要かもしれない。