先日、都内にある国際機関主催のパーティーがあり、会場入り口で受け付けを済ませると、背後で女性から声を掛けられた。昨年転職して、その国際機関に勤務しているYさんだった。2年ぶりの再会である。「最近、ベトナムとミャンマーに出張してきたのですよ」という話しぶりに現在の仕事の充実感がうかがえ、うれしくなった。
Yさんは昨年まで、筆者の勤務先のシンガポール支局の編集スタッフの1人として、得意の語学力を生かしながら、地元英字紙から必要なニュースを拾い、それを日本語の記事に作成する仕事に従事していた。中国や東南アジアには海外支局が幾つもあるが、各支局にはYさんのように語学が得意な日本人の編集スタッフが何人もいて、会社の業務を支えてくれている。
そうした海外支局の現地編集スタッフの中で、なぜ彼女のことを知っていたかというと、数カ月に1回程度の頻度で書いてもらうアジア関連の短いコラムの文章がいつも上手だったためだ。コラムで取り上げる話題から、Yさんが日本の大学を卒業した後、タイのバンコクにある名門チュラロンコン大学に留学していたことも分かった。タイで生活した人でなくては書けないようなアジアの人々の心の機微や文化の特徴、周辺各国との関係などが綴られ、アジアに駐在する読者の参考になるヒントがちりばめられていた。
勤務先の国際機関主催のパーティーで歓談するYさん