3年前から毎年夏、大学准教授を務めるゼミの後輩に頼まれて関西にある国立大学の大学院で非常勤講師として集中講義を行っている。大学院の授業なので、1コマ1時間半の講義・演習では、筆者が半分の時間を使って話し、後半は極力、テーマを振って学生主導の討論となるように心掛けている。受講生は、学部を卒業したばかりの若い日本人学生と社会人の学生、それにアジアを中心とした海外からの留学生がそれぞれ3分の1ずつといった組み合わせが続いており、教室内は世代も違い、国籍も異なるという「国際的な空間」となっている。従って、議論は、取り上げるテーマによって時に世代間の論争になったり、留学生から日本国内ではあまり聞かない意見が飛び出したりといった具合に、進行役を仰せつかる教師の筆者にとっても大変興味深く、自分自身の勉強にもなる。
授業の題目は一応、「メディアと異文化理解」とし、さまざまにあるメディアの情報を主体的に活用することで、外国や国際社会の理解に役立つことを自らの記者経験などを基に話している。講義終了後はこちらが教務学生課に提出する成績のほかに、学生による授業評価もあるということで、集中講義が曲がりなりにも続いているのは、心優しい大学院の受講生たちがぎりぎりのところで合格点をくれているからだろう。韓国政府から派遣された社会人留学生の金君が昨年夏、「先生の授業は自らの体験や経験を紹介した上で、独自の知見を説明するので、外国人のわたしにも理解でき、いろいろな見方が可能であることがよく分かった」と感謝の言葉をくれ、うれしかった。
集中講義終了後の打ち上げ会、右側に留学生の顔が並ぶ