東南アジア諸国連合(ASEAN)は東南アジアの10カ国を包含する地域協力機構で、タイやインドネシア、フィリピンなど原加盟国の5カ国で結成されてから42年、当時の創設者らの悲願とされた現在の10カ国体制ができ上がってからでもすでに10年の歳月が過ぎた。6年後の2015年には、結びつきがさらに強まる国家連合的な「ASEAN共同体」を発足させる段取りで、ASEANは新たな段階を迎える。
加盟国の間では首脳会議をはじめ、外相や財務相、経済担当相などさまざまな閣僚レベルや高官級の会合が開催され、合わせれば年に200回前後ものASEAN関連の会議があり、政府関係者の交流は深まっている。それに比べると、一般国民レベルでの行き来や交流、接触は少ない。というよりも、筆者の印象では、ASEANの国々は近隣同士なのにもかかわらず、他国の人たちに対する関心が総じて低い。もっと率直に言えば、「ほとんど関心がない」と表現できるかもしれない。
これに対し、同じアジアの大国である日本や中国、あるいは先進国の欧米に対する関心や憧憬の念は高い。身近な例では、ドラえもんやポケモンはタイの子供たちにとっても人気のキャラクターで、バンコクの街角のあちこちでこの種のニッポン出身のアニメ主人公の姿を見ることができる。バンコクを走り回る車の10台に9台は日本車だ。
ヤンゴンの寺院の僧侶