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中国等への研究留学
(派遣留学生)

日本人学生・研究者等への奨学金

霞山会では、日中両国の相互理解を深め、学術研究の促進に貢献する若手研究者の育成に努めています。 派遣留学生は、中国あるいは台湾の大学・大学院や研究機関において研究を行っています。 対象は、現在研究職に就いている方、または、将来研究者を目指す大学3年生以上の方です。詳しくは、下記募集要項をご確認ください。 

奨学金支給と募集要項


派遣留学生同窓会

中国・台湾への研究留学が終了した派遣留学生による同窓会が1999年に発足しました。
日本における中国・台湾研究者のネットワークの形成を図っています。

派遣留学生同窓会 会長挨拶

派遣留学生同窓会会長 安田淳(慶應義塾大学教授)

私が霞山会の第一回派遣留学生として上海の復旦大学へ留学させていただいたのは1988年ですから、もうひと昔前ということになります。その留学の成果を、その後これまでの私の仕事にどれだけ活かして来られたかということは措いておくとして、この留学が中国研究者の端くれとしての私の重要な出発点の一つであったことは間違いありません。そしてそれは出発点であったと同時に、その後ずっと中国を研究するという作業を続けさせてくれている原動力の源泉でもあります。

中国のあらゆる変化の大きさは周知の通りです。ですから留学生が中国で暮らし、学び、遊ぶというありさまも、当時と今日とでは全く異なるところが少なくありません。たとえば厳冬期に留学生宿舎の共同シャワーから冷水しか出ず(ときには水が出ずに熱湯しか出ず)、酷暑の折に大学に保証金を払わなければ扇風機も借りられず、掘っ立て小屋のような「個体戸」(個人営業)の食堂のあまりの美味に入り浸り、香港へ脱出して日本の食材を買い込み留学生同士で分け合うといった当時の情景が、なぜ今でも研究の原動力になっているのかはうまく説明できません。しかし強い興味関心を持つ対象地域で生活すること自体が原動力を生むのだと思います。当時に比べて今日の中国社会がどんなに豊かで便利になったとしても、異文化の世界で生活するということこそが、研究者にとって説明不可能で計り知れない効果をもたらしてくれるでしょう。中国研究者にとって、中国を正確に理解しようと努める冷徹な視点と、中国という異文化世界への興味から生まれる知的好奇心は、どのような時代においても留学生活から得られる最高の資産です。

霞山会が派遣留学制度を通じて、そうした何物にも代えがたい宝物を多くの人材にもたらし続けて下さって30年以上の時間が経ちます。宝物を得た派遣留学生たちは、その後それを有効に用いて日本の中国理解をさらに深めさせたり、あるいは日中関係を発展させたりする働きを続けています。ここに際して、霞山会は宝物をもたらして下さったばかりでなく、それを磨き大きくする手助けも長く続けて下さっているところに、単なる派遣留学や奨学金制度にない特長があります。その一つにたとえば、派遣留学経験者がその研究成果を世に問う機会として、派遣留学生同窓会が霞山会の多大な支援の下に毎年刊行する『中国研究論叢』誌は、すでに20号を数えています。『中国研究論叢』は単なる同人誌ではなく、研究発表のための学術誌として、日本の中国研究の一端を支えるような重要な役割を果たしつつあります。

霞山会は日中間の文化交流において長い歴史と伝統を誇っています。派遣留学生同窓会はそうした霞山会と同窓生との懸け橋となり続けられるように存在し活動しています。