親日的な東南アジアの国ベトナムに魅せられてしまった日本人は多く、この欄でも俳優の杉良太郎さんや報道写真家の中村梧郎さんを紹介したが、意外な分野で同国への支援事業をしている方として、旧大蔵省OBで国税庁長官を務めた大武健一郎さん(65歳)がいる。税制の専門家である大武さんがベトナムの大学生ら若者に教えているのは、複式簿記である。
大武さんがなぜ、このような支援事業を行っているかというと、大きく分けて2つの理由がある。第1の理由は、まだベトナム戦争が激しかった大学生時代に、当時の南ベトナムから来ていた留学生と親しくなり、「自分が社会人になったら、同じアジア人としてベトナムのために何か手伝いたい」とずっと心の中で思っていたのだという。大蔵省(現財務省)では、ベトナムの難民問題を担当。国税庁長官のときは、ベトナムのニン元国家税務総局長と親しくなり、義兄弟の契りを交わした。インタビューを受ける大武健一郎氏