自宅軟禁下に置かれていた金大中氏の取材は厳しかった。飛び交う催涙弾と安企部を中心とした警備当局のブロックを受けたが、はずみで金大中氏の私邸に雪崩れ込んでしまった。カメラマンは入れず、レポートも出来ず取材にならず途方に暮れていたところ、日本語で「そこの日本人の方、もう出られませんよ。食事でもどうですか」と声をかけてきた人物がいた。振り返るとそこに立っていたのは金大中氏本人だった。翌日にはカメラマンの入邸が許され、早速単独インタビューが実現した。(写真)
「共に民主党」が金大中氏の私邸を守ろうとする動きの背景には
2000年に同氏が北朝鮮の平壌を訪れ、金正日総書記との南北首脳会談を初めて実現させた歴史的実績が影響している。その後、
2018年には文在寅前大統領が板門店で金正恩委員長と会談したが、現在は南北関係が再び悪化している。
40年を経た今もなお、野党を中心に金大中元大統領に寄せる期待は揺るがない。朝鮮半島統一をリードした同氏の自宅は、今も「共に民主党」にとって変わることない理想を象徴する存在であるのかもしれない。