ただほど高いものはない?

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NEWS  傻瓜通讯―中国語珍道中― 

この “通讯” tōnxùn によく出る “姐” jiě(お姐さん)には、車好きの弟さんがいます。その彼と、車の下取りの話になりました。当時私が乗っていたのは中古で15年物、走行距離も10万キロ近いくたびれた車でした。

「下取り価格なんて、ただみたいなものよ」と言いたくて、言葉に詰まりました。「ただ」は「無料」と考えるなら “免费” miǎnfèiですが、さすがの私も「この場面では違うだろう」と分かりました。

「1万円に届かない」なら “不到一万日元” bú dào yí wàn rìyuán でいいのかしら。先ずはそう告げると、弟くんは一応分かった顔をしてくれます。そこで私は少しずつ金額を減らし「1,000円にもならない」「100円にも……」と続けてゆくと、弟くんが “什么意思呀,到底多少钱?” Shénme yìsi ya,dàodǐ duōshao qián?(どういうこと? 一体幾らなんだよ)……焦れるのも当然です。

傍らの “姐” jiě が見かねて一言。“就是理子拿不到钱!” Jiù shì Lǐzǐ nábudào qián!(つまり理子はお金を手にできないってことよ!)。私「……(ぼう然)」。

こういう時に可能補語を使うのか……吃驚です。補語を使うには,先ず述語があることが前提です。私にとって、ここで述語動詞の “拿” ná(手に取る、持つ)を、頭の抽斗から引っ張り出すのは至難の業です。だって、もとは「ただ/無料」ですよ、日本語では名詞でしょう。そこから動作動詞 “拿” ná へ跳ぶには、頭をまるきり取り替えないといけません。

もう1つ。可能補語は、初級者でも100時間ほどで学ぶ文法事項です。私はとっくに学習済みでした。あーあ、私はこんなことも言えないんだ……。車の査定額以上にがっかりです。もう二度と忘れませんけれど(←負け惜しみ)。この繰り返しで40年学んでいます。


(落合理子)

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《傻瓜通讯ー中国語珍道中》は「東亜学院季報」に掲載していたものを再掲してきました。
2025年4月から書きおろしを掲載しています。

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