最近、日本の地方の経済団体幹部らを主たるメンバーとするタイ投資視察ミッションの一行に加えてもらい、同国各地に進出している日系企業の経営責任者と意見交換するとともに、それぞれの工場を見学させていただいた。大手の製造業から食品会社、中小企業と視察した日系企業は多岐にわたったが、大手メーカーの場合、タイ人従業員の数は1万人近くにも上り、日系企業が地方都市の雇用創出や町づくりにも深くかかわっていることを改めて実感した。
視察ミッションの際に見聞した興味深い話題については、追い追いこのコラムでも取り上げていきたいが、今回はこの視察旅行で面識を得た全国紙のバンコク駐在記者とのバスで移動中のやりとりの一端を紹介したい。この記者をAさんとしておこう。
ミッションの一行は総勢15人程度なので、移動はマイクロバスだったが、この程度の人数だと、1週間も一緒にいれば全員と知り合いになれる。初対面のA記者とも意気投合し、互いの特派員経験を紹介し合っていると、ともに欧州とアジアの支局で複数の駐在経験があり、国家が崩壊した旧ユーゴスラビア紛争やアジア域内の民族紛争をカバーしていたことが分かった。取材した時期は異なるが、同じような取材対象に巡り合っていたという仲間意識が働いたのか、話が弾んだ。
タイの地方に工場を構える日系企業