第520回 動き出したタイの環境保護  直井謙二

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第520回 動き出したタイの環境保護

今年1月のダボス会議は環境への対応をおろそかにしている企業には融資や投資が集らなくなる仕組みが論議されるなど、より踏み込んだ環境保護を訴える会議になった。環境保護には取り残されていたとみられるタイにも確実に変化が訪れている。

日本は真冬の1月、1年ぶりにバンコクを訪れた。バンコクは気温が32度、冬の日本では口にしていなかったビールが飲みたくなる陽気だった。ホテル近くのコンビニで缶ビールを3缶買ったが、レジ袋の提供を断られた。プラスチックごみを減らす取り組みとしてレジ袋の提供を停止したという。冷えた3缶のビールを持って人混みの中をホテルまで戻るのに苦労した。

タイのプラスチックごみについてはすでに書いた。(小欄 第496回アジアの海洋汚染プラスチックゴミ問題)プラスチックゴミの問題を指摘しておきながら自らはマイバッグを持たず当然のようにレジ袋を期待した自らを恥じた。退職したプレス仲間とバンコク郊外にゴルフに出かける際ふと着替えを入れるビニール袋が気になった。

タイでは1ラウンドまわれば汗だくになる。着替えを持参し、シャワーを浴び着替える。プレー中に着ていた服はゴルフ場が用意したビニール袋に入れて持ち帰っていたが、もはやビニール袋が用意されていない可能性がある。

羽田空港の免税店で買い物をした時免税店が用意してくれたビニール袋を用心のため持って行った。ところがゴルフ場ではビニール袋が以前のように用意されていて拍子抜けした。ゴルフ場までは影響が及んでいないと思って油断していたら、翌々日回ったゴルフ場にはビニール袋は用意されていなかった。まだ徹底されてはいないようだが、ゴルフ場も例外ではないようだ。

庶民の台所、屋台はどうかと覗いてみたが、まわった範囲ではまだビニール袋におかずを入れて販売していた。煮込みなどのおかずはどうしてもビニール袋が必要だ。

ダボス会議で日本企業のトップがプラスチックやビニールの再利用技術を披露していた。ビニールやプラスチックがなければ困ることもあり再生技術は有効だが、消費者が捨てることなく回収ルートに戻すかどうかの問題が残る。

たばこの規制も厳しい。日本でも分煙や禁煙が進んでいるが、シンガポール同様タイでもほとんどの公共の場は禁煙だ。日本では受動喫煙を少しでも和らげるため電子タバコを吸う人が増えているが、タイでは体に悪影響があるとして3年ほど前から電子タバコも禁止になった。

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