仕事柄、いろいろな分野の方々とお会いするが、大学のゼミ同窓として50年以上にわたり交友が続く「3人組」と仕事で接する珍しいケースもある。この3人組のリーダー格は、製鉄会社出身で今は経営コンサルタント会社の代表を務めるH氏で、あとのお二人は国際派弁護士のT氏、外務省OBで大使経験者のA氏。共通点は、同じゼミで国際法を専攻したことと、3人が大学卒業時にそろって難関の外交官試験を受け、リーダー格のH氏を除くT、Aの両氏が外交官になったエリートぞろいという点だ。学生時代にそれほど勉強に打ち込まなかった様子のH氏も、第一志望の外務省入りこそかなわなかったものの、「鉄は国家なり」といわれた時代に最大手の鉄鋼メーカーに入社し、海外営業畑で活躍した経歴を見れば、エリート外交官と遜色はない。
蛇足ながら、現役で外交官試験を突破したT氏は3人の中では最も秀才だった由だが、外務省に12年ほど在籍して、弁護士に転身した。外交官の肌が合わなかったのかもしれない。今は、親友であるH氏の会社の顧問弁護士などを務めながら、公私にわたり密な付き合いが続く。大使ポストを何度か経験し、外務省を務め上げたA氏を含む3人組の交友が続く理由は、3人の性格がそれぞれ違い、相手の長所、短所を認め合って、その人間関係が学生時代と変わらないためではないかと推測する。
「A元大使の叙勲を祝い3人組が一席設けた」
写真右からT氏、H氏、A氏