南太平洋の島嶼国へ中国の進出顕著、米国は豪、ニュージーランドとともに阻止の方向に 日暮高則(アジア問題ジャーナリスト)

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▼執筆者紹介

アジア問題ジャーナリスト。1973年、東京外国語大学中国語学科を卒業し、時事通信社に入社し、北京特派員、香港特派員を歴任。2003年から、フリーで中国・アジア関係の執筆活動をする傍ら、東京外国語大学、早稲田大学、千葉商科大学などで非常勤講師として現代中国論、国際関係論、中国語を講義。現在は、一般社団法人「日本・中国・ASEAN経済文化研究会」代表理事。主な著書としては、「ネクスト・チャイニーズ・リーダー胡錦濤」(風雅書房、1994年刊)、「1997香港 中国大衝突」(総合法令出版、1996年刊)、「沖縄を狙う中国の野心―日本の海が侵される」(祥伝社、2007年刊)。「趙紫陽―極秘回想録」(光文社、2010年刊)の監修も担当した。

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南太平洋の島嶼国へ中国の進出顕著、米国は豪、ニュージーランドとともに阻止の方向に

 中国は近年、南太平洋の島嶼国家に対し異常な関心と好意を示している。今年10月、トンガのラトゥ副首相を団長とする太平洋島嶼国家政治家合同視察団を北京に招き会談した際にも、「南・南協力」の必要性を強調、「戦略的パートナーシップ」の構築を図る意思を明確にした。これまでも、台湾を国家承認し、外交関係を持っていた国々を切り崩し、自国の勢力下に置く動きを進めてきたが、安全保障面であまり頼りになりそうにないこれらの国々との誼みをなぜそれほど重視するのか。一つには、国連で小さな島嶼国といえどもそれぞれ一票を持つことから、中国は支持国を増やし、国際社会で相対的に有利に立ちたいとの思いがあるからであろう。いや、それより「もっと秘めた狙いは島嶼国が持つ広大な排他的経済水域(EEZ)にある」と看破するアナリストもいる。この海域の漁業、海底資源は魅力的である。さらには、中国は海洋大国として太平洋の西半分の支配権を確保したいとの思いを広言してはばからない。そのための“橋頭保”として南太平洋に点在する国家群は重要と見ているのかも知れない。

<島嶼国には戦狼外交ない>

 中国は最近、「戦狼外交」を止めたようだ。王毅外交部長は世界各地に出張って中国との友好的な関係強化を呼び掛けており、その中で「台湾と付き合えば、相応の報復をする」などという威圧的な言辞は避けているように見受けられる。とりわけ、台湾を承認している国が多かった南太平洋への圧力は一切なく、丁重な接近策を取っている。10月9日に北京で王毅部長に会ったのはトンガのほか、バヌアツ、ミクロネシア連邦、キリバス、パプアニューギニア、サモア、フィジー、ソロモン諸島、ナウルの国々の代表。この中で、王氏はさすがに冒頭で「台湾は中国の領土。植民地にしていた日本が戦後台湾を中国に返したことは戦後の国際秩序の重要な要素となった。太平洋島嶼国が引き続き一つの中国原則を守ることを信じている」と念を押すことは忘れなかった。

  そして、王毅部長は「中国と太平洋諸国との交流は相互扶助の南・南協力の関係にある。島嶼国の内政には干渉しないし、政治的な条件も付けない。現地の政治紛争にも介入しない。第3国に対抗するものでなく、第3国からの干渉も受けない。われわれはただ島嶼国が自らの国情に合わせて進む方向、人民が自主的に選択した道を歩むことを願う。われわれは運命共同体である」と述べた。台湾との関係で釘を刺しながらも、その他については一方的に中国の善意を示しただけだ。「第3国からの干渉」に言及したのは、この地域で影響力を持ちたいオーストラリアやニュージーランド(NZ)を意識したことは間違いない。王氏の発言に対し、ラトゥ副首相らは中国の経済支援に感謝の意を表し、そのあとに「共同体に輝かしい未来がある」ことに同意し、一つの中国原則を堅持することを約束した。

 王毅外交部長は前年2025年5月にも福建省アモイで南太平洋島嶼国との間で、外相会議を開いている。会議後の共同声明の中で、「中国と太平洋島嶼国との関係は近年飛躍的な進展を遂げたことを受けて、戦略的パートナーシップの深化、運命共同体の構築を再確認した」と力説した。加えて、各国とは引き続き広域経済圏構想「一帯一路」に基づき、質の高い経済、社会交流を進めるとし、具体的に、緊急物資の備蓄、気候変動、貧困削減、防災・減災、農業研修や警察訓練などでの支援を約束した。さらに、中国と各島嶼国間をむすぶ直行便についても、共同で可能性を探っていこうと呼び掛けた。だが、直行便はどう見ても採算性が合わない。新たな運航や増便がなされるとしたら政治的な意味合いでしかない。 

 こうして蜜月ぶりを振り撒いてきたが、実は今年10月の北京会合の3カ月前の7月6日、中国軍は南シナ海中の潜水艦からと見られる弾道ミサイル(SLBM)を発射、ツバルのEEZ近くに着弾させた。このミサイルは核弾頭の搭載も可能だ。南太平洋は過去に原水爆の実験場となり、1954年にビキニ環礁で日本の漁船「第五福竜丸」が被爆したほか、2万人以上の現地人が被害に遭った。こうしたことから、南太平洋島民は核兵器やミサイルに対し神経質になっており、豪州、NZも含む18カ国の国・地域が加盟した経済協力機構「太平洋諸島フォーラム(PIF)」は1985年、南太平洋の非核化を定めたラロトンガ条約に調印した。このため、今回の中国の実験に強く反発、とりわけ猛烈に抗議したのは、近年、中国との関係緊密化を図ってきたソロモン諸島であった。

 また、中国海軍は10月14日早朝、SNS「微博(ウェイボー)」の中で、所有する3つの空母の一隻「遼寧」と艦船群が西太平洋で海上訓練を実施したことを明らかにした。SNS声明は「これは空母艦隊の実戦化訓練の水準を高めるのが狙い。年度計画に基づく定例訓練であり、特定国を目標に定めたり、特定の目的を持ったりするものではない」と付け加えた。中国は口頭で経済協力などの“甘い言葉”をささやきながらも、その背後には軍事的威圧が常に存在する。そのため、島嶼国の対中国姿勢は統一性を欠いてきた。PIFは9月3日、SLBM着弾を受けてパラオの主要都市コロールで会合を持ったが、組織内にはキリバス、ナウルの親中国やパラオ、ツバル、マーシャル群島の台湾派が混在し、統一見解はまとまらなかった。結局、ミサイルに対して非難声明とはならず、中国との名指しを避けた「懸念」表明にとどまった。

<中国の島嶼国接近の狙い>

 中国は自らに好意を示す国と反発する国とを厳密に選別する。2019年から、台湾と外交関係があったソロモン諸島、キリバス、ナウルをオセロゲームのように次々に中国の国交国に替えていったが、これらの国には援助の手を差し伸べた。一方、ツバルは親台湾の姿勢を貫いているため、近海にSLBMのミサイルが撃ち込まれた。これは一定の作意があると見られても仕方ない。パラオも筋金入りの親台湾派であり、今回のPIF会合でも台湾の林佳竜外交部長を招待したが、中国の銭波代表が「台湾が参加すれば代償が伴う」と反発、会議参加を止めに出た。従来、島嶼国では経済的な援助を期待して台湾の承認国が多かった。そのため、PIF会合でも「開発のパートナー」として台湾のオブザーバー参加が認められてきた。

 だが、昨今は状況が変わってきた。経済大国になって発言権を増してきた中国は個別の島嶼国に対してばかりでなく、PIFへの圧力も強め始めた。台湾以上に経済支援ができるようになったからである。「一帯一路」による提携という名目で中国は次々と島嶼国に経済援助、投資を行い、篭絡に掛かった。国内のインフラ建設が不十分であるのに財政的な裏付けがない小国にとって、中国の援助申し出は魅力的に映ったことであろう。もちろん、対島嶼国対策での大きな狙いはいかに台湾の影響力を排除するかであり、国連で中国支持国を増やすことにある。加えて、島嶼国が持つ資源、特にEEZの海洋、海底資源に目を向けていることは間違いない。

 パプアニューギニアは今年7月中旬、国内にある台湾代表処(大使館に相当)を閉鎖したことを明らかにした。中国に機嫌を取った措置である。王毅外交部長はこの決定について、同国のトカチェンコ外相に対し「完全に正しい措置だ」と称賛した。近年、中国が最大にポイントを上げたのは、ソロモン諸島を台湾派から中国寄りに転換させたことではなかろうか。同国はメラネシアに位置する英連邦国の一つだが、2019年9月に台湾との外交関係を断ち、中国と国交を結んだ。2023年7月にはソガバレ首相が北京を訪問し、包括的戦略的パートナーシップの構築を発表、翌24年7月には後任のマネレ首相も訪中した。この接近は、「一帯一路」による経済的支援を期待したところが大きいと思われる。

 ソロモン諸島は経済支援を受けるばかりでなく、2021年末に中国の警察関係者を受け入れ、治安対策など政権維持手法も学び始めた。22年には「安全保障協力協定」が締結され、警察の提携からさらには軍隊の提携までレベルをアップさせた。ソガバレ首相らが中国から治安対策を学んだのは、ソロモン諸島の各地域間、島間で激しい政争があるためだ。同国の中央政治機構はガダルカナル島の首都ホニアラにあるが、そこからフェリーで2時間ほど行ったところにあるマライタ島など3島のマライタ州は親台湾派が多い。このため、2019年、台湾との断交時、州知事らは「中国に接近すると国の政治体制が影響を受ける」と激しく反発した。

<豪、NZの反転攻勢>

 ソロモン諸島のソガバレ、マネレ政権は警察提携によって、国内の親米、親豪の反対派を取り締まれるばかりでなく、安保協定によって、中国艦船をソロモン諸島の港湾に寄港させることも可能となった。これは将来的に南太平洋での中国の軍事拠点造りにつながる動きであり、同国とは“指呼の間”にある豪州、NZにとっては安全保障上の大きな懸念となる。その昔、太平洋戦争の初期、旧日本軍は豪州侵攻も視野に入れてガダルカナル島に飛行場を造ろうとし、米豪の強い反発に遭った。ここでの戦いが事実上太平洋戦争の帰趨を決したと言っても過言ではない。中国がソロモン諸島に軍事進駐するとなれば、まさに旧日本軍の轍を踏むものであり、豪州も看過できず、“反転攻勢”に出ざるを得なかったのである。

 豪州はもともと南太平洋島嶼国への最大の援助国であったが、中国の進出を受けて、一段ギアを上げた格好となった。アルバニージー首相は2024年暮れ、ソロモン諸島の警察能力強化のために4年間で1億9000万豪ドルの援助提供を表明した。中国がソフト面での支援なら、豪州はハード面というか、装備面の支援でソロモン諸島の篭絡にかかった。こうした支援策が奏効し、同国では再び政権の方向性を大きく変える動きとなった。親中路線を推し進めてきたマネレ首相は2026年5月7日、国会で不信任決議を突きつけられて退陣、代わりに出てきたのがワレ新首相だ。NZで教育を受けた同氏は中国への忌避感を示し、「中国との安全保障協定を見直す」との意向を表明し、オーストラリアとの関係再構築を模索し始めた。

 豪州はソロモン諸島にとどまらず、他の島嶼国の囲い込みにも乗り出す。まず手始めに、2024年8月、ツバルとの間に安全保障条約を締結。地球温暖化による海面上昇で領土喪失の危機にある同国のため、移民の受け入れも申し出た。ツバルは以前、中国から人工島建設の提案を受けていたが、断っている。豪州は2025年10月キャンベラで、パプアニューギニアとの間で、第3国の攻撃を受けた時に共同で対処する相互防衛条約に調印した。「プクプク(ワニ)条約」とも呼ばれる。さらにアルバニージー首相は今年7月にフィジーを訪問し、相互防衛協定に署名した。フィジーは中国との間でソロモン諸島と同様の警察協力協定を結んでいたが、これによって豪州寄りに戻した。

 ナウルについても2024年12月9日、アルバニージー首相はアデアン大統領をキャンベラに呼び、安全保障条約を締結することで合意するとともに、1億4000万豪ドルを提供することを約束した。実は、東京都品川区と同じ面積しかないナウルはこの年の4月に台湾と断交、中国と国交を樹立したばかり。中国は小国にも手を伸ばし、南太平洋の政治地図を変えようとしているのだが、豪州はこれにも早々に手を回した。ナウル、パプアニューギニア、フィジーとも中国と経済的なつながりが強かったが、政治、軍事的には豪州との関係が切れなかったようだ。ただ一方、同じ中国派で関係が強いバヌアツのナパッツ首相は「(中国からの)インフラ建設支援が受けられなくなる」として豪州との安保協定締結を避けている。

  アルバニージー首相は今年7月3日、パプアニューギニアのマラペ、トンガのファカファヌア両首相を豪州で行われた州対抗ラグビー大会の決勝戦に招待した。この際、「オーストラリア人が愛するスポーツを通じて太平洋諸国と家族的密接さを持つことができる」と親密さを強調した。昨年豪州を訪問したマラペ首相には、ラグビー技術向上のための支援も約束した。南太平洋の島嶼国にはトンガ、フィジー、西サモアをはじめラグビー強豪国が多いが、これは近隣の豪州やニュージーランドの影響を受けたためだ。アルバニージー首相は、こうした共通のスポーツを通じて誼みを深めた上で、安全保障、経済協定を結ぶ方向に導いている。ラグビー文化がない中国には逆立ちしてもできない“芸当”である。

<米国、中国の出方>

 米国は19世紀末以降、軍事戦略家アルフレッド・セイヤー・マハン(海軍提督で「海上権力史論」の著者)の「海洋を支配した国が世界の強国になる」という考え方を信奉し、その通りに世界戦略を進めてきた。特に、米国にとって「太平洋は我が海」という認識が強い。かつて日米両国が激突したのも、日本の太平洋進出を恐れたことが背景にある。その太平洋について、習近平国家主席が以前トランプ氏に対し、「ハワイから西半分の太平洋の支配を中国に委ねてはどうか」と求めたことがあったと言われる。習政権は米国に伍して世界の大国になろうという「中国の夢」を持っており、東シナ海、南シナ海から太平洋に進出し、大洋支配権を持つことは悲願である。

 つまり、中国は世界戦略の観点から南太平洋を見ていることは間違いない。米国はそれを十分承知しており、豪州、NZなどと連帯して中国の南太平洋への進出阻止に動いている。バイデン前大統領時代の米国は島嶼国に5年間で2500万ドル供与するという支援プログラムをスタートさせた。トランプ大統領は太平洋を「アメリカ洋」と改名すると発言するなど、やはり「太平洋は我が海」との認識が強いようだ。大統領は就任後米国際開発局(USAID)を閉鎖し、海外援助の抑えにかかったが、それでも今年9月初めのPIF会合で、米国は豪州とともに島嶼国への資金援助を表明した。米国が総額5億8000万ドル、豪州が6億豪ドル。米国はこれとは別にエネルギー危機への対処や海底ケーブルの新規設置、保守のために1億5000万ドルの資金援助も申し出たという。

 南太平洋島嶼国間の海底ケーブルは、まず米国、日本、豪州の2018年合意に基づきグアム島との幹線を2023年に敷設、さらに同島から東の各島嶼国、西はパラオを経て東南アジアに枝線としてつなげられた。島嶼国への海底ケーブル敷設については、同海域への進出を望む中国が熱心であったため、米日豪州が資金提供してこの参入を阻止した。米国は2020年、通信の安全性確保から中国製品を通信網から排除する「クリーンネットワーク構想」を示したが、南太平洋でもこの構想通りに進めた。海底ケーブルの“切断事故”が2024年以降、欧州のバルト海や台湾沖合で頻繁に見られたため、敷設に当たっては特に機密保持に気を配った。通信の安全性確保のほか、島嶼国の囲い込みという観点からも、西側にとって中国企業排除は必然であった。

 それに対し、中国はどう出たか。南太平洋島嶼国に近い国家・地域群のうち、台湾はもとより、英連邦国、ファイブアイズの加盟国や南シナ海で争うフィリピンとの共同歩調は難しい。そこでインドネシアに目を付けたようだ。王毅外交部長と董軍国防部長が今年8月ジャカルタを訪れ、2プラス2の会合を持っている。特に双方は軍事的な提携に強い関心を持っているようで、インドネシアのシャムスディン国防相が董軍氏だけをバリ島に招き会談、2プラス2会合の前にも軍隊での歓迎式を行った。中国側も求めに応じ、インドネシア側が弾薬、ロケット、ミサイルを自国生産できるよう一定の技術を移転したとも伝えられる。軍人上がりで前政権の国防相でもあったプラボウォ大統領は軍事面で中国を頼りにしているようで、中国側もこれを好感している。

  米シンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ」が今年9月に発表した「第2列島線戦略」に対し、中国は強い関心を持っているようだ。そこでは、太平洋における米軍の軍事力展開を日本本土、沖縄、台湾、フィリピンの第1列島線からグアム、北マリアナ諸島、パラオ、ミクロネシアの第2列島線まで引き、沖縄駐留の米軍はグアム基地に移転すべきだという考え方が示された。「中国軍のミサイル能力が高まっている現在、日本の本州、沖縄の米軍は直接攻撃を受けるので危険。より防御しやすい第2列島線まで下げる方がいい」という論旨だ。これは、第2次大戦後、米国がずっと守り続けた西太平洋の安全保障体制を根底から転換させるものだ。

  米国がもしこの戦略基準で動くとしたら、米軍は台湾の確保に関わらないどころか、日本、韓国、フィリピンの防衛にも関与しないという意思表示になってしまう。日米安全保障条約も意味をなさない。香港の親中国誌「亜洲週刊」は台湾統一の視点からこの“後退論”を大きく取り上げ、「米国が台湾問題に干渉しないという明確な意思表示。米国内に棄台(台湾切り捨て)論が出てきた」と手放しに歓迎した。「タイム」誌が昨年10月、「頼清徳総統はreckless(向こう見ずな男)」と形容し、「台湾は(頼清徳によって)現世界でもっとも危険な衝突を引き起こすところになると米国は認識すべきだ」と論述したことも「亜洲」誌は併せて紹介している。さらに、昨年春の「フォーリンアフェアーズ」の論文を引用する形で、「米国の戦略は勝利できない戦争には決して突入しないということだ」と述べ、棄台論を現実化させるよう強く主張した。

 プライオリティーズ誌論文の示す方向性は、トランプ大統領の「米国第一主義」、西半球支配の「ドンロー主義」からすれば、考えられないこともない。しかし、現実はどうか。米国は今でもイランとの戦闘を続けており、はるかに遠い中東の紛争にも介入し続けている。であれば、「我が海」とする太平洋海域で、影響力を落とすようなことがあり得ようか。台湾について公式には「あいまい戦略」を維持しながらも、実際には、9月の米中首脳会談で習主席が強く反対したにもかかわらず、その一週間後の10月早々、F16戦闘機2機を台湾側に引き渡している。棄台論とはほど遠い。その延長線上で考えれば、米国は、中国の南太平洋進出にも警戒的であり、豪州、NZとともに阻止の方向に動くことは間違いない。

 

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