先日、経済発展著しい中国物流業界の事情に詳しい方から大変興味深い話を聞いたので、ご紹介したい。「3コン1K」という何だか暗号みたいな造語を教えていただいた。
3コンとは、コンテナ、コンピューター、コンビニエンスストアの3つの外来語の接頭語の「コン」、1Kは携帯電話の「K」を指す。携帯電話を漢字で書くと面倒なので、「K帯」と略記することもあるので、そこから1Kの略語ができたのだろう。それはともかく、中国を含むアジア地域では、この4つのものが世紀変わり目の2000年前後からほぼ同時期に開発され、急速に普及したことで、物の流れ、すなわち物流が革命的発展を遂げ、企業活動や国民生活の向上に大きく寄与したというのである。
まずコンテナだが、日本の海運・物流各社が従来使用してきた独自の小型コンテナに代わって、国際標準の大型コンテナを導入したことにより、大量でかつ安価、迅速に製品や部材などを海外の拠点間で輸送することが可能になった。例えば、ベトナム南部のホーチミン(旧サイゴン)近郊で生産した中堅日系企業の陶器メーカーが同国で造った製品を香港、上海などのハブ港を経由して日本の地方都市の港に出荷することで、安価なベトナム製陶器を日本の地方都市にある量販店で売ることができるようになった。
これまでは東京港や横浜港経由で陸揚げし、そこからトラック輸送などで地方の納入先に運んでいたのだが、国際標準コンテナを使うことで、輸送時間の短縮とコスト削減が図られたのみならず、地方の雑貨市場の新規開拓にもつながり、「一石三鳥」の効果が出たというのだ。
コンピューターは生産や在庫、発注、売り上げの管理に最大限活用できるので、事務的コストの大幅削減に役立つ。また、日本ではすでに店舗展開が飽和状態にあるコンビニは、中国をはじめアジア各国でその便利さや消費者ニーズに合った品揃えによって現地進出が加速度的に進み、各国の人々の消費スタイルに大きな変化をもたらしている。コンビニが繁盛するのも、売れ筋商品の品揃えと在庫管理(これは広義の物流と言える)がコンピューターの導入によってきちんとしているためだろう。
買い物や消費を含むライフスタイルが大きく変わるのは、情報の流れも大きな役割を果たす。携帯電話やこの小さな機器に装備されたコンピューター機能は、人々の情報共有化に多大な影響を及ぼす。「3コン1K」の力、恐るべしである。