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チャイナ・スクランブル

中国の住宅価格、今年は小康状態か−政府は“熱せず冷まさず”で必至の対応(下)
2018-04-18. 日暮高則
これまで政府が住宅価格抑のために取ってきた策は数多い。中でも、一番影響を与えたのは住宅ローン金利のアップだ。一般に住宅ローン金利は、中国人民銀行(中央銀行)の貸し出し基準金利を下回っていたが、恐らく政府の指示によるものか、2016年から基準金利並みかそれを上回る利率を設定する銀行が増えてきた。特に2軒目を購入する人に対しては高金利が求められる。2軒目購入者は賃貸に出すケースがほとんどで、その場合は家賃収入と金利との見合いで決断するため、返済額の負担増となれば、当然購入をためらうことになる。このほか、頭金の最低比率の問題がある。これは地域によってまちまちであり、しかもその時や地域の需給状況によって変わりやすいが、やはり2軒目の購入には厳しい頭金設定が要求される。

政府は、日本の固定資産税に相当する「不動産税」の導入も検討している。これは、不動産バブル抑制に役立つほかに、税収によって地方政府の財政を潤わす意味もある。全人代常務委員会で2015年から立法の手続きに入り、今年上程されるのではないかと見られていたが、結局見送られた。香港紙によれば、審議の中で「徴税方法をどうするのか」という疑問が出されたという。現住住宅への課税は人民の反発が大きいので、2軒目からにするとか、住宅面積で区切るとかの案も出されたようで、まとまらなかった。もちろん、開発、不動産企業が断固阻止に動いたほか、地方政府もまた反対に回った。彼らはこれまで農地などを整備し、その土地を開発業者に販売することで地方の財源を確保してきたため、不動産税の導入でこのシステムが断ち切られることを恐れたのだ。地方政府は、将来の安定的な税収よりは開発業者と組んで一時的な土地(使用権)販売での収入の方がいいと判断したようである。

ところで、中国の住宅購入価格が異常に上昇したのは、富裕層が値上がりを期待して複数の住宅を持とうしたことが原因で、価格が上がれば上がるほど資産が増えるため、彼らは嬉しい。だが、その分、真に居住に使おうとする一般サラリーマンは購入しづらくなった。北京で標準的な新築マンションの価格は、2016年に平均年収の30倍を超えたという。地方都市でも10倍以上はザラだ。したがって、一般サラリーマンが購入すれば、高い返済に悩まされ、日常生活を圧迫する。中国メディアによれば、ある男が結婚のため2016年に北京市昌平区の110平方メートルの中古マンションを310万元で購入したが、銀行ローンの毎月の返済額は1万元近くになるという。彼は「住宅を持つのは嬉しいが、返済を考えると苦痛だ」と吐露している。

住宅購入者は銀行ローンばかりか、親せき、友人から借りているケースもあり、こうした「陰性債務」も相当額に上る。2017年の国際通貨基金(IMF)の国際金融安定調査によると、中国人の可処分所得に占める債務の割合が2007年には35%以下であったのに、17年時点では90%と異常な高さになった。債務の主たる原因は住宅費によるものであろうが、こんな多額をどう返済していくのだろうか。それでも住宅価格が右肩上がりであれば、返済不能になったときに住宅を売却し、場合によっては値上がり分の利益を得ることも可能だった。しかし、今年のトレンド予想のように、小康または若干であれ値下がり状態になれば、それは望めない。

経済を安定的に発展させるためには、金融の担保となる不動産価値を増やす一方、その価値の低落は絶対に避けなければならない。そのためには、中間、低所得の一般サラリーマンまで購入意欲を持たせ、住宅購買層を安定的に増やすことが必要である。であれば、これ以上の高値、価格上昇は認められない。中国の党・政府は今後も時々の状況を見ながら、アクセル(規制緩和)とブレーキ(抑制策)を踏み分けていくのであろう。