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チャイナ・スクランブル

「香港独立」の標語が新学期の大学に出現、台独との提携も−大陸も過敏に対応(下)
2017-10-12. 日暮高則
このように親中国派や大陸出身者の反発はあるものの、独立派が香港で一定の勢力を持ち、市民に影響を与えつつあることは事実だ。主に大陸の一党独裁反対や民主化推進を訴えてきた香港の多数派民主勢力はこれまで港独派と一線を画してきたが、8月18日のデモでは方針を転換し、すべての反中国勢力を糾合する形を取った。このデモは、14年秋の雨傘運動を指揮し、逮捕された香港大学生の周永康、羅冠聡、黄之鋒の3被告に対し前日17日に懲役6−8月の実刑が言い渡されたことへの抗議の意思を表す目的であったが、この時期、独立派の幹部も同じく逮捕され、政治迫害を受けていることで合同デモとなった。連携により、参加人数は、雨傘運動以来最大規模となる2万2000人(主催者発表で5−6万人)を記録した。

雨傘運動の参加組が結成した独立派の「香港衆志」では、8人の常任委員のうち3人が入獄中、2人が裁判中である。別の独立派である「熱血公民」の鄭松泰立法会議員は昨年10月、議場で中国の国旗と香港特別区の旗を意図的に逆さまに立てたほか、「青年新政」の他の2議員も「香港は中国でない」の垂れ幕を立てたり、議員宣誓で中国を侮蔑するような表現を使ったりして起訴され、裁判になっている。独立派は警察の追及でかなり活動が制限されているが、それでも今年10月1日の国慶節では、「香港衆志」の数人のメンバーが灣仔の紫荊広場で朝8時から行われた国旗掲揚式でデモ行進をし、「強圧政治で、なんで国慶なのか」「政治的抑圧反対、政治犯を釈放せよ」と声高に叫んだ。

北京当局が無視できないのは、香港、台湾の両独立派との間で連携の動きが出てきたことだ。昨年、繁華街・旺角地区での暴動事件に加わった李倩怡さん(18)は起訴され、今年1月に裁判所から出廷要請されていたが、法廷には姿を現さなかった。そして6月になって分かったことだが、李さんは台湾独立派の助けを借りて台湾に逃亡していたのだった。台湾内政部(内務省)の話では、李さんは1月に台湾に入り、”政治庇護“を申請したという。別の報道によれば、台湾の18人の立法委員(国会議員)が「香港に関心を持つ台湾国会民主連線」という組織を作り、香港独立派を台北に招いてエールを送る集会を開いているという。

さらに、雨傘運動を指揮した戴耀廷香港大学准教授ら3人の港独派が7月末日本に来訪、神奈川県三浦市の休暇施設で開かれた「台湾民主基金会」主催のシンポジウムに参加し、台湾独立派との交流を深めたという。ここには、カナダや日本にいる反中国的な団体メンバーのほか、現役自衛隊員も参加、中国共産党体制崩壊後の台湾、香港独立の可能性について論議したと言われる。このため、国務院台湾弁公室は特に着目し警戒心を持ったようで、馬暁光スポークスマンは開催前にわざわざ、「われわれは台独、港独勢力の結託には断固反対する。この種の陰謀は人心が得られないし、力も持ちえない」とのコメントを出した。

台湾ではこの9月、新しい行政院長〈首相〉に頼清徳前台南市長が就任した。同氏は民進党の中でも独立志向の強い新潮流派の派閥に属しており、自身も筋金入りの独立派と言ってはばからない。市長時代に「親中愛台」の考えを示したが、これは、「中台関係ではあくまで台湾が中心で、中国には友誼の手を差し伸べる」という意味だと言われる。9月末の施政方針演説で「私は台湾独立を主張する政治家だ」と語って周囲を驚かせた。その後は、若干トーンダウンさせ、頼氏は「私が言うのは実質的な台湾独立」「われわれはすでに中華民国という主権独立国家であり、改めて台湾独立を宣言する必要などない」と述べ、蔡総統の現状維持姿勢にすり寄った。それでも、大陸側は過敏に反応し、馬暁光スポークスマンは「台湾は中国の不可分の領土の一部であり、永遠に一つの国家になりえない」と反駁、警戒心を強めている。

皮肉なことに、かつての香港宗主国の英国は香港独立に反対を表明している。植民地最後の総督だったクリス・パッテン氏は昨年11月、「独立を求める動きは民主主義を強めることに反する。独立運動は茶番だ」と非難した。カロリーヌ・ウィルソン元香港総領事も「港独は支持しない。主権返還以降、一国両制は非常によく機能している」と語った。英国植民地時代の旗を掲げ、英国の支持を期待する港独派には冷たい仕打ちになっている。これは、恐らく「一帯一路」戦略で中国との提携を期待する英国側に中国側が言わせた言葉とも取れるが、それだけ独立派の動きに神経質になっている証左でもある。香港と台湾の独立志向勢力が一定の勢力を持ったとの認識を持ったとすれば、中国は今後、さまざまな形で圧力を強めてくるだろう。