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第618回 記者会ゴルフと緊急ニュース(上) 直井謙二

第618回 記者会ゴルフと緊急ニュース(上) 直井謙二

記者会ゴルフと緊急ニュース(上)

タイやシンガポールなど東南アジアは野外スポーツには気温が高すぎる。毎日最高気温が37度を超える季節はテニスやサッカーなど激しいスポーツは熱中症の懸念もある。さらにチームで行うスポーツや対戦相手がいるスポーツは途中でやめにくい。

事件が起きいつ取材に出るか分からない記者にとって仲間に迷惑をかけずに中止できるゴルフは運動不足解消にもってこいだ。駐在したバンコクもマニラにも記者会ゴルフ会があった。記者会ゴルフの特徴は技量の平均レベルが低いことだ。(写真)ビジネスマンや大使館員には接待などでゴルフをプレーする機会が多いが、記者は初心者が多い。

筆者もバンコクに赴任してからゴルフを始めたので最初はスコアを数えるだけで精いっぱいだった。赴任後まもなく大手航空会社の営業マンから電話がかかり来月「PGA」が行われるので参加してほしいと誘われた。「PGA」は「プロ・ゴルフ・アソシエーション」の頭文字だ。プロと一緒にラウンドするなどとんでもない、始めたばかりでついていけないと断ると、営業マンは笑いながら「PGA」とは「プレス、ガバメント、エアライン」の略だという。何のことはない記者と大使館員とそれに航空会社のスタッフの合同ゴルフ大会のことだった。プロゴルフファーとプレーすることを連想したことが恥ずかしくなった。

暑いさなかタイの名門コース、ナワタニゴルフ場でラウンドしたが、スコアは130で疲れ果てた。表彰式では予想通り成績の上位は大使館員と航空会社のスタッフが占めた。記者団には何の商品もないと思っていたら、大使館員、エアラインスタッフそれに記者会とグループ別の表彰で記者の何人かは賞品を受け取った。

ラウンド後の総評で大使は「記者の皆さんは初心者ながらセンスはある。今日のコースは難しかった。一層の練習に打ち込んでください」と述べた。あまりのひどいスコアに記者がゴルフを止めてしまわないようにとの配慮と慰めがうかがえた。

東洋のベニスと呼ばれるバンコクのゴルフコースは池が多い。初心者にとってゴルフコースの池は鬼門だ。経済成長著しいアジア、最近は姿を消したが池の周りには落ちたボールを拾い生活費にしている現地の若者がたむろしていた。池にボールが落ちると我先にと池に飛び込みボールを拾う。筆者がティ・ショットを構えると、座っていた全員が立ち上がり池に飛び込む準備をする。若者は筆者のかまえを見ただけで初心者だと分かるようだ。そして若者の期待通りにボールは池に落ちた。

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