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チャイナ・スクランブル

主権返還後20年目の香港、「二制度」より「一国」強まり動揺する経済界、住民(下)
2017-07-13. 日暮高則
香港では、雨傘運動を契機にして独立運動の動きが活発化してきた。「青年新政」「香港人優先」「独立党」「民族党」など多くの組織がある。その一つ青年新政の梁頌恒と游瀋の両氏は昨年9月、立法会議員に当選したものの、議員宣誓で中国を侮辱する態度を示し、免職処分を受けた。それでも2人は今年4月に「香港は中国でない」という横断幕を掲げ、議場に強引に入ろうとして逮捕された。別の組織は解放軍部隊の香港駐留基地に侵入しており、過激な行動が目立つ。彼らの狙いは、こうした行動で北京当局の強硬姿勢を引き出し、香港住民の間に反中国感情を醸成させることにあるとされる。ただ、過激な行動がむしろ「保安条例」制定など当局の政治的な締め付けに向け、好都合な状況をつくり出している面は否めない。そのため、「独立派を陰で操っているのは北京ではないか」とのうがった見方も出ている。

反中国的な動きとは裏腹に、香港と大陸の一体化も進んでいる。香港政府は今年の施政報告で、香港高齢世代の中国国内への移住促進を図るため、これまでの広東省に加えてさらに福建省に転居する場合でも特別年金ボーナスを支給することを明らかにした。香港版の“シルバーコロンビア計画”で、福祉面で大陸との一体化を進める狙いもあると見られる。香港はすでに人口の16%が65歳以上という高齢社会で、しかも土地の高騰から養老施設の建設が難しい。このため、特別区政府は2013年に初めて「広東計画」を打ち出し、香港の老齢世代が広東省に1年以上移住するなら、毎月1135香港ドルの特別手当を出すとした。

今回の「福建計画」はその第2弾で、同省移住者には毎月1290香港ドル支給の大判振る舞いをするという。福建省は広東省とともに海に面し気候的にも香港に近いので、香港人にはなじみやすい。広東省への移住者はすでに2万人近くになっているが、福建計画でも6000人くらいの申請者があると香港政府は見込んでいる。この移住計画に対し、香港民主派などは「明らかな棄民政策」「これによって大陸への依存度が一段と増す」として、大陸との一体化が進むことに懸念している。

H株市場上場を目指す大陸企業は後を絶たず、深圳、香港両証券市場間で昨年12月から、株式の売買注文を相互に取り次ぐシステムを開始した。さらに、物流面では、港珠澳大橋の完成も大陸−香港の一体化を進める大きな契機となりそうだ。同橋は香港のランタオ島から珠江対岸のマカオ、珠海に至る自動車専用の長距離大橋。道路は片側3車線で、総延長35キロが水上を走り、珠江(パールリバー)の中に設けられ人口島でマカオと珠海の2方向に分岐される。2009年12月に着工、今年末の完成予定だ。港珠澳大橋は華南地域の産業再発展のために鳴り物入りで計画されたプロジェクトで、「これでCEPA(大陸と香港の経済貿易緊密化協定)による経済の一体化はますます進む」と中国側の期待感は高い。

だが、香港の汚職取り締まり機関である「廉政公署」がこのほど、橋のコンクリートの強度を調べる試験所の職員が賄賂を受けて検査結果をごまかしていたことを突き止めた。建設会社が規格外の不合格コンクリートを使った恐れもあり、強度に対する疑念が出てきた。そこで香港の路政署(道路管理機関)が再度調査、その結果「目測では、別段異常はなかった」と報告した。ただ、「偽造に関わる不合格コンクリートがどこに使われたかは分からない」と使用の有無を明確にしていない。これで年末の開始時期は延期される可能性もあり、香港−大陸の一体化に思わぬ“ケチ”がつけられた格好だ。

中国はこれまで、香港を一国二制度のモデルとして台湾人に見せ、将来の統一を視野に入れていたと言われる。ところが、香港での20年の経験を経て、今、台湾人で一国二制度に疑念を持たない人はいない。このため、北京当局は最近、台湾に対して一国二制度という“太陽政策”を見せるより、国際空間での締め付けや軍事的圧力などの“北風政策”に重きを置いているようだ。であれば、香港に対してももう遠慮は要らない。強硬派の林鄭月娥行政長官を得て、ますます北京の意向が貫徹されそうだ。習主席は記念式典で、香港基本法23条に基づく「保安条例」、反国家的な人を取り締まる懸案の条例の制定を促したが、実際に林鄭女史がこれに向けて早期に動き出すことも考えられる。