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習主席、党大会直前に主要軍幹部の人事断行−長期政権へクーデター防ぎか(下)
2017-09-07. 日暮高則
2012年春のミニ・クーデターは、周永康氏らが次期総書記にほぼ確定していた習近平氏を降ろし、代わりに薄熙来氏を据えようとする企てとされ、これには軍側から徐才厚、郭伯雄両前副主席も絡んだと言われている。したがって、習近平氏は徐、郭両氏に関わりがある軍幹部をことごとく排除する意志があったようで、今回の集中的な軍幹部の解任、審査もその一環だ。房峰輝参謀長の後任には李作成陸軍司令員が抜擢された。李氏は1979年のベトナム懲罰戦争に参加し軍功を挙げた“戦闘英雄”だが、なぜか徐、郭両副主席やその親分格の江沢民元国家主席に嫌われた。そのためか出世に縁がなく、長く地方軍区副参謀長や副司令員にとどめ置かれていた。だが、そのことが却って幸いした。

解任した軍幹部の後任を見ると、習近平氏が福建省、浙江省、上海市幹部時代に誼みを通じた軍人や、自らが提唱する政策にかかわる人材を登用するケースが数多く見られる。張陽政治工作部主任の後任には、苗華海軍政治委員が就任したが、これは2段階跳躍の昇進だ。苗氏は福建省出身で、軍務を31集団軍(本部アモイ)からスタートし、同軍政治委員も務めた。アモイ副市長など福建省に在勤した習主席とは旧知の間柄である。今年1月に更迭された呉勝利海軍司令員の後釜には沈金龍南海艦隊司令員が異例の昇進で就いた。南シナ海で多くの島嶼を埋め立て基地化したことは、習主席が目指す大国化、「中国の夢」実現にかなうもので、その防衛任務に当たった南海艦隊の貢献が認められたのだ。

2012年の北京クーデター時に武警司令員を務めていた王建平氏が2014年に更迭され、その後聯合参謀部副参謀長に移ったあと、昨年9月、規律違反で身柄拘束された。その後任に副総参謀長だった王寧氏が就いた。彼も、習主席の福建省在勤時代に31集団軍におり、同省漳州にある91師団軍長などを歴任した。武警はクーデター防ぎの要であるため、習氏は特に関係親密な軍人を配置したようだ。さらに、李作成参謀長の後任の陸軍司令官には中部戦区司令官だった韓衛国氏、空軍司令官には北部戦区空軍司令だった丁来杭氏が就任したが、両氏も福建省での在勤経験がある習系軍幹部である。

習近平主席はこうして軍組織を“友だち”幹部で固めて2期目に入ろうとしているが、それで新しい軍事委員会の構成はどうなるのか。習主席1期目には2人の副主席がいたが、このうち範長龍氏が引退し、許其亮氏が筆頭副主席となるのはほぼ確定だ。星島日報は9月1日、消息筋の話として、「従来の軍事委副主席2人制から4人制に換えて、平の軍事委員は設けない。4人の副主席は許氏のほか、張又侠、魏鳳和、李作成が就く見込み」と報じた。胡錦濤時代には、郭伯雄、徐才厚の2人の副主席が共謀して軍権を壟断し、事実上、腐敗に満ちた組織にしてしまったという反省があるからのようだ。

確かに、胡錦濤前国家主席は軍に基盤を持たないため、事実上軍人事は江沢民系の郭、徐の両副主席に任せきりだった。この結果、軍人は昇進するために上役に賄賂を贈ることが慣例化し、数億元の金が2人に集まった。軍人は賄賂のため、私服を肥やすため、業者との癒着を強め、軍内は腐敗の巣窟となった。郭、徐の両氏は胡主席を事実上無力化し、私服が肥やせるこの”おいしい体制“を続けようと、18回党大会時に胡錦濤氏の軍事委主席継続を画策し、習近平氏の就任阻止の動きに出たという。香港誌「争鳴」が暴露している。習主席が2人を嫌ったのはそのことも原因だったかも知れない。

19回大会体制で習氏が軍事委を少数化し、とりわけ自らに忠誠を誓う幹部だけを集めたならば、独裁体制が一段と強まる。星島日報紙も「習は軍隊の最高総帥になって絶対的な権威を確立するだろう」と指摘している。習主席は10年間の執政期間を終えるべき2022年以降を見通しているようだ。つまり、長期政権、終身政権を目指し、そのために任期のない党主席を復活することも考えていると言われる。問題は無理をすると必ず党内から反発が出るが、その時に軍の主要幹部を腹心や自派で固め、軍権を確保していれば、政変、クーデターは起こされにくい。権力の安全弁として、習氏は軍権の掌握に知恵を絞っている。