第354回 寒かったタイのゴルフ 直井謙二

第354回 寒かったタイのゴルフ
いまタイは最も気温が上がる季節だが、日本が厳しい寒波に襲われる1月から2月、絶好の季節を迎える。タイの気候は日本同様インド亜モンスーンの影響を受けている。11月から始まった乾季の時期は、空気が乾き日差しは強くなく日本の5月より少し暑いくらいの陽気だ。
この季節、凍りついた韓国や日本などから大勢のゴルファーがタイに押し掛ける。1月末、数人ほどのゴルフ仲間とタイ中部のリゾート地フォアヒンを訪問してきた。フォアヒンは歴代の王様の離宮が点在するほか、タイで初めてのゴルフ場が建設された歴史ある町である。
フォアヒンを訪れた丁度この時、数十年ぶりの寒波が北半球を襲った。台湾では気温が4度まで下がり65人が死亡とのニュースがタイにも伝わってきた。日本でも沖縄でストーブが売り切れ、久米島に霙がふったという。シベリアからの寒気が南国タイまで届き、寒いゴルフとなった。
宿泊したリゾート施設にはゴルフ場のほかにコテージ、プールそれにお洒落なオープンカフェなどの設備があり、広大な庭にはニッパヤシが林立しブーゲンビリアなど南国の花が咲き乱れていた。
夏向きのコテージには毛布しかなくジャンバーを着たまま寝るしかなかったが、寒かった。
ゴルフ仲間の中には東京を出るときコートを空港に預けるべきではなかったと、苦笑いを浮かべる人もいた。
ゴルフ前の朝食はオープンカフェのビュッフェだったが、寒風が吹き抜け、寒々としている。厚着した従業員がオムレツや目玉焼きを焼いてくれるのを待つ間も必死に寒さをこらえなければならない。身を震わせている客は食後のコーヒーや果物もそこそこに部屋に戻っていく。早めに食事をすませ部屋に帰る途中プールを覗くと人影はなく、底を青く塗られたプールが寒々と見えた。

普通はタイのゴルフは暑さとの戦いになる。流れる汗をぬぐいながら茶屋ごとに水など飲み物を飲み、ホールアウトしたら真っ先にシャワー室に飛び込む。
今回はセーターを着用してのスタートとなった。茶屋に立ち寄っても冷蔵庫で冷やした飲み物ばかりで買う気にもなれない。ホールアウトした後も汗もかかずシャワーも浴びなかった。毎回筆者のスコアは思わしくないが、そのたびに猛暑を言い訳にしていた。今回は猛暑でなかったにもかかわらず残念ながらスコアはいつも通り芳しくなかった。
ゴルフのあとフォアヒンの海岸に出てみたが、南国らしい紺碧の海ではなく冬の日本海のような灰色の暗い風景が広がっていた。(写真)
写真1:フォアヒンの海岸、この時は冬の日本海のような灰色の暗い風景
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